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慢性書きだめ貧乏症を治したい
エルレム國 創世記1 禁忌の章 抜粋
人はエルレと交渉をした。
人はエルレになりたかった。
エルレは一瞬で世界を駆け、世界を照らすことが出来た。
エルレが訪れない場所はなく、エルレが動かなければ人は眠った。
エルレは憧れであった。
エルレは人に知性を与えることにした。
知性とは槍である。
しかし人は既に槍を6本持っていた。
2対の手、2対の足、歯と尾はエルレムが授けたものだった。
人は尾を差し出した。
エルレは尾を裂き、2対のエマを生んだ。
人は完全なものに成り上がった。
尾は引きずり、揺れ動くことで人に不安定をもたらすものだった。
エマにより人は知性に目覚めた。
人はエマに憤怒した。
人はエマに震駭した。
人はエマに絶望した。
人はエマに悲嘆した。
人はエマに狼狽した。
人はエマに激昂した。
人は尾を返さぬよう求めたが、
エルレは逃げてしまう。
人はエルレを追いかける。
エルレは一日の半分を岩に隠れるようになった。
人はエマにより眠らずに追いかける。
禁忌の岩戸を探して。
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久しぶりの我が国の首都である城下町だった。
襲撃にあった村人を守りながら、
無事にたどり着けた事に胸をなでおろす。
城へまっすぐに続く参道に当たるここはメインロードだ。
通りに面した店舗は食べ物を始め、この国一帯の物流がここに集約される。
週末ともなれば、民衆で賑わい活気が昼夜問わず続く。
しかし、その光景も最近は半減しつつある。
周辺地域での襲撃により物流もまた、被害を受けている。
例えば、今回襲撃があった村では果樹木の栽培が盛んであり、その果汁を惜しまずに醸造された果樹酒は特に人気が高い。
しかし、その作り手が村人が避難したことで来季の収穫は絶望的だ。
さらに言えば、火の手が果樹栽培園が広がっていれば、復興すら危うい。
そんな危機が我が国のあらゆる国境近くで点在しているのだ。
私たちは未然にこの災害とも呼べる脅威に対して、
同胞を守るべく村へ赴き、物資の補充と守りの強固を行なって来た。
しかし、最近では先手を取られることが多くなり、戦線は後退し続けている。
このままいけば、この町まで戦火は届きうる。
この我らの首都の成り立ちは、創世時代まで遡ることが出来る。
元々は国祖神オオキラを祀る神殿がある信仰地であったが、宗教対立によりこの地を守るため城が建てられたらしい。
町は三重の城壁により分けられ、中心地、行政・市街地、農業地兼干渉地となっている。最外部の城壁の外には堀も設けてある。
堀と言っても水はなく、天然の崖を利用したものだ。
その昔にオオキラが地面を殴り、隆起した火山の火口がこの地だそうだ。
オオキラの武勇伝は様々あるが、神々の中でも豪快な方みたいである。
都市の中心地には城があり、今の国主であるキビト様一族が住まわれている。キビトというのは代々国祖を守る祭祀の一族の名前で、国主になると名前を捨ててキビト様と呼ばれる。
ちなみに私の一族も遠い遠い昔に分かれてはいるが、この血筋の流れを受けている。マキビト国のルルーセン・キビト。これが私の名だ。
この成り立ち故に、貴人どもも迂闊に手は出せない。
しかし、戦線がこの町まで後退すれば、私たちはいずれ滅亡するだろう。
敵の手ではなく、徐々に膨れ上がるこの都市に集中した民衆の食糧が尽き、瓦解する方が早いのだ。
それでも、民衆を守ることを辞めればもっと早くにその顛末に陥ることも想像に難くない。
この国は最早、終焉への道を駆け上がる歩みを止められない暴れ馬のようなものだ。
中枢に近い者ほど、その危機感は蔓延するのが早い。
私は今回の遠征報告の為、これから行政区へ向かう。
私以外の将軍も揃っているという。
全員揃うのは現国王の戴冠式以来だろうか。
町から溢れる営みの匂いや、柔和な顔々で少し緩んだ己を感じて、
ふう、と短く息を吐き気を引き締める。
将軍全員揃うと無事に済む事などあり得ない。
ましてやこの状況下だ。
将軍は私も含め6人おり、
全員が突出した戦闘力を持つが、
その気性は捉える事が難しい。
全員一致の議論をしようとする意思さえ皆無だ。
歴代の将軍には仲違いした末に衝突し、
一帯を焦土とかした歴史もあるという。
いかんいかん。
なんにせよ、この国の民が第1優先だ。
髪をかきあげ、辺りを見回すと、
平穏な日常が広がっている。
行き交う獣人に目をやる。
獣人といってもその姿形は様々だ。
私は狼の血を引き、
常に頭に三角の耳がそびえている。
遠くの音を捉えるのに長けている反面、
獣人と一目で判別される。
また尻尾があり髪の毛質などもそれだ。
獣人の中には一目ではそれと分からない者もいるが、その者の子に特徴が顕われない訳ではない。
狼の親に対し蜥蜴の子や魚類の形質が顕われる事も少なくない。
我々の身体には無限の獣の情報が引き継がれているという。
そして例外なく我々には尻尾がある為に絶対的な判別が可能だ。
それでも、一目で見分けられぬ者は隠密で貴人の社会に溶け込み、情報を集める任に就くことが多い。
なぜならば、身体にその特徴がより濃く顕われた方が身体能力が比例する為だ。
表だって活躍出来ぬ分、裏で暗躍してもらう。
私の様な将軍に辿り就くものは、表の代表格だ。
身体能力が長けている分、より獣さが増す。
そして、
完全なる獣化が行えるの事も将軍には必須と言って良い。
私が変容すれば体長5mを越す狼になる。
気が付けば、城門の前までたどり着いた。
化け物揃いの将軍共とのご対面の時間だ。




