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これでプロローグ終了
「さて、始めようか。」
俺はつぶやき、自分の右手を覗き込んだ。
ここ最近、俺は街外れの公園に入り浸っている。その成果は徐々に出始めている。
まず、俺が粒子と言っていたものには名前をつけた。
魔法の素だから魔素とした。
なかなか安易だろ?
また、魔素を視ることが出来るこの能力にも名前を付けた。
不思議な事に頭にふっと浮かび上がったのが
プロビデンスの眼という名前だったが、
長いので摂理眼とした。
摂理眼でみた神父の魔法を思い描くと、
この魔素が魔法で変換される事で様々な効果を得る事が出来るのだろう。
また、俺にはもう一つ可能な能力がある。
物質を分離する能力だ。
摂理眼と同じく神様見習いに与えられた力だ。
この能力があると筈だ思ったのは、講義での一幕だ。
その内容はたわいもない世界を創造することの基本方針だ。
どの世界にも共通し、世界を創造するということの定義は何だったか。
創造とは分離である、だ。
だったら俺にも出来るはずと思い試したらビンゴ。
名前は無限の創造を意味を込めて、サハスラ(分離能力)と名付けた。
では、どうやって効果を得ているのだろうか?
この謎をとこないと魔法世界の摂理は理解出来ない。
創造とは分離である。
一聞するとイマイチ飲み込みづらいが、少し医学に携わっていた俺は意外とすんなり受け入れられた。
病気の診断を受ける時を思い出して欲しい。
まず、体温計で熱を測る。
聴診器で心音と呼吸音を確認。
喉の状態を確認し、眼球を調べる。
これらは病気の分離作業と言っても良い。
はっきり言えば、病院に来ている時点で異常を感じているのだから病気にかかっているのは確定している。重要なのはどんな病気かだ。
医者じゃなくたってあなたは病気です、と診断することは容易い。
そこに発熱の有無で
大きく分離する。
発熱があればウイルスの感染が疑われるので、喉、鼻、肺の炎症の場所を特定する。
こう言ったプロセスは病気という大きな括りを細分化していき、その病気の特徴を際立たせていく行為だ。
もしこのプロセスをせずに診断を下す医者は信頼出来るはずも無い。
診断室に入れずに風邪だから薬出しときますと、いきなり受付でいわれるのと同じだ。
会社の組織も同様に、部署というものに細分化をすることで業務機能を特化させる。
会社とは全ての部署を全て合わせたものをいい、部署は部分的な役割の一つだ。
おそらくであるが、
世界を構成するということは万物の特性を持った世界の元となる塊に、意味や特徴付与するように分離していくことなのだろう。
と、俺は考えている。。
自信はそんなにない。
自称落第神さま候補だし。
さて、
同じように魔法を考えていくと、魔法というものは魔素の分解又は変換などの過程の副産物が効果と考える事が出来るだろう。
その効果は細分化していくと系統に分けられそうだ。
例えば、身体能力の強化に特化をすれば俺の念願のが叶うという事だ。
魔素から身体能力の成分を抽出するのだ。
さて、では魔素の分解又は変換はいかにして行われるのだろう。
基本は等価交換と考えるべきか。
もし、無から有を生み出すという考えがこの世界で常識だったとしても、受け入れるのはよそう。
あくまで、論理的に考えよう。
この世界はまだ宗教で支配されている。
この世界の住人は魔法についてそう思うかもしれないが、俺は魔素を身体にストック出来る事を実際に摂理眼で視ている。
このストックを使って、魔法つまり魔素の分離変換が行われているのが妥当な考えだ。
そう考えると、
魔素が全ての魔法の効果を包括する万能の素材であるということになる。
例えば、等価交換を基本にすれば、
魔素→身体強化効果+身体強化効果以外にまず2つに分離出来るということだがどうだろう。
手のひらに集中し、サハスラを発動する。
魔素は2つに分かれるが、その片一方は各3つの更なる微細な粒子になり留まったが、半分の3つは手をすり抜けそれぞれ在らぬ彼方飛んでいった。
残りの3つは次第に3つくっつき、やはりあらぬ方向へ身体をすり抜けて飛んで行ってしまう。
安定をしてないのか?
それとも根本的に違うのか?
毎日いくらやれど、同じ結果を辿った。
ここまでが昨日の話。
実に半月の試行錯誤をつづけたが、魔素を分離することは叶わなかった。
いきなり仮説が実証できるとは思わなかったが、座学からヒントを引っ張り出して来れた俺は少しワクワクしていた。
それは半月の間に崩壊し、落第という文字が頭から離れなかった。
そして今日の俺は一つの違う仮説を試してみようと思っている。
早速、手のひらの魔素に集中する。
そして魔素と魔素をくっつける事に意識をした。
方法としては、先日の魔素を分解した片一方の微粒子3つを、もう一つの魔素にくっつける。
そうすると不安定になった3微粒子は6微粒子の魔素1つに引かれるように動き、9微粒子として安定した。
もう片一方も1つの魔素と同時にくっつけ、
2つの9微粒子の魔素が2対で安定した。
これを繰り返し、魔素を幾重にも繋げていくと魔素を構成する微粒子の数が増加していき、僅かずつ光を帯び始める。
そう、これは神父が治癒魔法を使った時と同じ光だ。
よし!良いぞ!!
って思った瞬間力が抜け落ち、
膝を地面につき倒れてしまう。
俺の保有している魔素を使いすぎた。
これがいわゆる魔力切れってやつか。
そのまま寝転がり、回復するまで目を閉じた。
記念すべき魔法発動の一歩手前まで来ている!!
魔力切れのせいで指先を少し動かせる事しか出来ない状態になってはいるが、俺の精神は酷く興奮していた。倒れてなかったら、声を上げて町中走り回っていただろう。
この魔力切れは、繰り返すことで魔素のストック数を増やす効果が期待できる。
魔素を入れることで器を大きくするのではなく、枯渇した器に魔素が流入する反動で器を大きくするのだ。
ここまで出来るようになるのに半月かかったが、失敗も無駄にはなっていない。
それはさておき、何故魔素を分解ではなく結合させる結論になったか知りたいだろ?
それは、この世界が創造し終えたものではないかということに気付いたからだ。
この世界の神様、
まあ、先輩とでも呼ぼうか、
先輩は神話を真に受ければ、エルレムを生み、その身体を分解して世界の骨格を創った。その分解作業は月日と共に進んでいき、俺がこうして見渡す限りに見えるものとなって現在、色々な形状で存在しているのだろう。
そうして分解し切った果てがこの魔素という事だ。
つまり、魔法とは魔素に分解されるものの前の状態で有り、魔法を行使することは魔素を連結させる事で分解前の特化機能を復元する事なのだ。
魔素とは魔法の構成子として特化された粒子であった。
最初の半月、俺はこの世界の中で世界を創造しようとしていたことになる。
そりゃ、出涸らしみたいなものから世界は創れないわ。
この世界を攻略するために、
この世界を創造した先輩が行った分離作業を逆行していくことで力をつけていけるのだ。
良かった。
方針が付くことでこんなにも希望が見える。
待てよ。
極論いえば、この世の魔素や物質を連結して1つにまとめ上げればエルレムが復活するという事か?
世界が始まりに戻ると言っても良い。
これはこれで、
ちょっと楽しみになってきたな。
ちなみに、魔素を連結させた方法は化学の原子をイメージしてみた。
魔素を原子とした場合に、分子を構成するためには電気的な安定が必要だ。
なので、安定する3つの微粒子を一方にくっつける事で強制的に電気的不安定を作り出し、連結することが出来た。
我ながらナイスアイデアだ!
褒め称えたいぜ
ふふふふふっ
残る問題は、
魔素をどうやって集めるかだ。
完璧に絶対量が足りていない。
そこでだ。
中央教会のある中心都市部へ行こうと思う。
何故かといえば、
中心都市部は、憎きいじめっ子の出身地だからだ。
あいつの異常な魔素の原因が、きっとあるはずだ。
次回から本編スタートします




