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ヤージュに奈落に落とされた後、
俺が目覚めたのは、3歳の俺だった。
あれは誕生日を家族で祝い、床に就いた夜のことだった。
頭に焼けに付くような音が響き、俺は俺である事を自覚した。
記憶の境界がはっきりしているの訳では無いがこれは確信出来る。
それまでの記憶の外に骨格がある事に気付き、
意味で記憶が自身の一部に過ぎないと分かったという感覚だ。
周囲からは次の朝からよく喋り、意志がはっきりとしたように思われていた程度だったようだ。
そりゃ、いきなり転生したおっさんが入ってきたとは思わんよな。
これが転生というやつかと、最初は自分の身体を動かし確認したのを覚えている。
身体の見た目の構造は全く同じ。
神さまは自分の見た目に似せて人間を作るって聞いたことあるけどホントそうかもね。
俺もそうするもん。
そして、俺は世界征服の準備をはじめる!
、、、な訳がなかった。
ヤージュは10年もあれば会えるって言っていたし、とりあえずの人生の再出発を祝ってダラダラ過ごした。
仕事に追われない日々が最高すぎる!
しかし、早速俺の第1の試練が襲う。
ご近所のいじめっ子に目をつけられた。
そっとして欲しい子にちょっかいを出す嗅覚に脱帽です。
転生先の俺は身体能力が低く、何故こんなに動けないのか不安になるほどだった。
やり返す気力があったのはほんの最初だけ。
やり返す度に返り討ちに遭い、相手の面白みは増すばかりだった。
そんな奴を放ってくれる訳無く、常態化して事の訳に気づく頃には手遅れだった。
転生しても世間は甘く無いんや。
でも俺は大人だ。
室内でダラダラするのは最もやりたい事である。
いじめを理由に部屋に閉じこもる日々が始まる。
窓から溢れる木漏れ日のある広い10畳程の自室には、多くの書物が与えられていた。
というのも、転生した家はそこそこ裕福だった。
お屋敷というには十分な家に、整えられた庭も広い。
まぁいじめっ子が都市の中央部出身で、俺が地方区の準貴族の立場っていうのも、一因があると思われるのだが。
もちろん、ネットもテレビも無いので本を読み漁る毎日を送るようになるが、ここで運命の出会いがある。
それは、魔法だ。
そう、この世界には魔法が存在するんだよ!
あのいじめっ子に復讐してやるよ!
そういうのが王道だろっ!
一気にバラ色の中で、いじめッ子を膝まつかせる妄想
が爆発し、やる気がみなぎる
心なしか妄想の中の俺はイケメン2割増しだ。
それから、
努力する日々が始まった。
魔法のといえば火を飛ばすような魔法に代表されるようなものが想像しやすいが、俺は少し考えた。
単純に魔法で勝つよりも、奴が得意とする腕力でのしてやろうと。
つまり、身体能力の強化する魔法を探し始めた。
系統としては干渉魔法と呼ばれ、自身の肉体に干渉することで効果を発する。
でも、どうやって発動させるか俺は分からない。
基礎知識や研究論文など、自室にないものは書庫室から持ってきたり、公共の図書館で読み漁った。
いくら知識や理屈を頭に入れても、魔法は発動しない。
親兄弟で魔法が出来る者を訪ねたが、皆首を縦に振らなかった。
魔法そのものが出来ないのか、教えてくれないのか判断出来ない俺は、自身で色々試す他なかった。
ある時は、庭の隅で大声で魔法名を叫んでみたり、
ある時は、近くの林で座禅を組み魔法名を呟いたり、
ある時は、冷たい滝に打たれて魔法を噛んだり、
ある時は、街中で秘伝書がないか店主に聞いてみたり。
この前は夜明け前に目が覚めたら、
身体に魔力が充実している気がしたので、
魔法名を叫びながら窓から外へ飛んだが、
いつも通り重力からは解放されなかった。
周りの白い目には慣れたが、
未だ発動は叶わず。
そんな家族使用人から声が出たのか、俺は教会に連れて行かれることになる。
でも、これはチャンスだ。
この世界では、いわゆる神を祀る宗教が普及していた。國名でもある絶対神のエルレムを頂点とし、各役割を持った神が序列で系譜を連ねている。
まあ、どの世界も同じような神話があるということだ。
それらというもの、神を祀る教会には毎週末家族と祈りに行くようになった。
もはや神父とは顔見知りだ。
絵に描いたようようなローブを着て、頭には烏帽子のような帽子を被っている。
いかにも聖職者という白と青のコーディネイトだ。
ちょうどよい頃合かな。
明日は教会へ行く日だので、
神父に魔法について聞いてみたいと思う。




