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転生してから考える世界構成学  作者: ユタセコ
3/39

2


カチカチカチカチカチカチカチカチ


座学を受けている俺は早速、窮地に立たされていた。


懐かしき教室で待ち受けていたのは、

禅問答のような抑揚のない内容の授業から誘導される

睡魔との闘いだった。


神々しいお爺ちゃんが穏やか声に乗せて

α波を全方位放射を行い、

サウナのように重く肩に伸し掛る。


カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ



くそうっ!

横からヤージュが頰杖をしてこちらを見てやがる。

寝るんですか?と目が訴えかけてくる。

その目のが失望と嘲笑で成り立っている、

気がする。


すっと横のヤージュに視線を向ける。

ふぃっと、目線を外し黒板をみるヤージュさん。

これは、わざとだな。

俺を試してやがる。



実は始業前に神様になる覚悟を聞かれた。


死して消え失せるか、神と成るか。

少なからず、気持ちを持ち直した俺はやるっと言った。


ヤージュの正面見据えてやると言った。

ちょっと男前に、

少し眼力を意識して、

さりげなくポーズを決めて言った。


しかし、この体たらくだ。

ガツン

俺は心の中で机を叩いた。

授業中なので、心の中で。




くそう!




カチカチカチカチカチカチカチカチ



シャーペンを握りしめ直し、

太ももにカチカチとドーピングを打ちこむが、

もはや抗体が生成されてしまったようだ。

痛みを感じない。

眠気が溢れ出し、脳天から意識が飛んでいきそう。



コンナナズデハ


前歯で下唇を腹ペコのハムスターのように甘噛みする。

カピバラでも良い



この教室には俺達以外にも10人程いるが、俺以外の奴は時折頷いたり、メモを取りながらなるほど顔をしている。カピバラ顔は俺だけだ。


俺はというと、もはや何をメモすればいいのかさえ分からない。


てっきり、

世界の成り立ちとか、

神さまの系譜的な歴史とか、

そんな予想をしていたが、的外れもいいとこだった。


最初の話はこれだ。

“貴方たちはここに存在している

その存在足らしめるには確信を超えた確信がある。確信が個々を繋ぎ、安定をもたらす云々‥”


深い話なのだろうか?

俺が必要な話なのだろう?

俺には分からんよ、阿保じゃけえな。


しかも、最後の方は確信を全く理解したら存在は消失するって言ってるし。


もう、いいよ。


もしかしなくても、俺は落第神さま候補ってやつだろうな。


ヤージュは時折、授業に耳を傾けて頷いているから、

分からなくなったら聞けばいい。


だって、机こっちに向けて座ってるしね。

基本、俺をみてるし。

不良なのかな?

皆んなはちゃんと前向いてるよ?

机ごと。




俺はこれまでの人生は実践あるのみで生きてきたから、壁が見つかってから足掻いていた。

前準備はほどほどに。

今は齧歯類の顔をする役目に甘んじよう。



それよりも周りの奴らを見ておこう。


俺の席の3つ前には、三人組が座っている。

2人の天使と一緒だ。


顔は後ろからだと分からないが、

神さま候補と思われる奴は真っ青な長髪だ。


背筋をピンと伸ばし、まっすぐ黒板先生を見据えている。


両隣の天使は背が小さく、双子みたいに背格好が似ている。その2人にはなぜか座学前にガン見された。

俺と言うよりヤージュを見てと言う感じだったが。

不良と優等生の因縁だろうか。


ヤージュと違うところはヘアバンドはしていないが、代わりに腕に同じ模様の装飾をそれぞれ付けている。


あれが天使の共通の目印なのだろうか。

他の天使も、分かる範囲でイヤリングなど様々な装飾品として身につけている。


そういえば、壇上の教師もしているな。

白地の羽織りものの上に襷のように掛けている。

何か意味があるのだろう。

この座学日間が終わったら聞いてみよう。


早くこの座学終わらないかな。


そんなこんなで、

何も身につけられないまま、

3日間の授業は進んでいった。


--------------


「3日間どうだった?感想をどうぞ!」

ぐいっと顔を近づけ、待ってましたとヤージュが迫ってきた。


座学が一通り終わり、人がまばらとなった教室だ。

正直、感想など無い。

ただ所々、神さま候補生にしか与えられない力の説明やなんかは分かっているつもりだ。


少しニヤついているから、大半について俺がついて行けなかった事には気付いているのだろう。


「最早、完璧だ。問題ない。」

「、、、へぇ、頼もしいな!じゃあもう直ぐにでも世界創っちゃう?やっちゃう?始めようか?」

「いや、待て、出来るのだが、まあ待て」


全開のニヤつきを隠そうともしないだとっ!


ヤージュの思いがけない追い討ちにたじろぎ、どもってしまう。


「そうだよね、うん。しかし君に朗報があります!」

「お、おう」

「まだ君は神さま候補なので、世界をすぐに創ることは出来ません!」

頭の上に大きなバツを作り、左右に揺れる。


なんだ、そうなのか、早く言え。

とても安心したよ、ヤージュ君。


「まずは第1ステップとして世界征服をしてもらいます!」

「なんで、そうなるの?」


世界征服の旅にご招待されたが、

ちゃんと意味があるようだ。


「終末を迎える世界に入り込み、先ほどの世界構成学の基礎を実践してもらいます。

世界を創るのには模倣が一番の近道なんだよ。世界を征服するには、その世界の構成を理解し、利用しないとできないからね。

神の力があれば楽勝!見事征服して終末を迎えれば、めでたしめでたし!」


「・・・魔王にでもなれってことか?」

「意外とファンタジー脳だね!魔王ってのはある意味正解かな!


どんな世界も一定の法則で成り立っているから、その法則の穴を見つけて攻略しちゃうってことね!


その世界の従属関係や身体開発を攻略しちゃえば魔王でも勇者にもなれるよ!


寧ろ、穴がない法則で構築された世界はそう簡単に壊れないから、授業も分かってない君が頑張っても到底無理だね!無理無理!」


ほう、意外とズケズケいうタイプなんだな

爆笑してるし、天真爛漫がすぎる


「だから、世界構成学を極めるには実際の世界を解き明かすのが一番近道なのだ!」

「確かに、考えるより実践の方が身にあってるから歓迎だな」


良かった、

まだ学ぶチャンスが残っていて!

こいつの場合、本当にすっ飛ばされそうだった。


「そっかー、ファンタジーがいいんだねぇ。」

ヤージュは一瞬目を伏せて思案すると、再び笑顔を作った


「OK!確認出来ましたー!」

「えっ、?」


「早速だけど、終末が近い世界にこれから転生してもらうよ!

僕も遠くない場所に転生するとはずだから、

安心してね?


早ければ10年位で会えるかな。

そうそう、せめて出会う前には死んだりしないでね?

色々手続きがめんどくさいから。


あと、違う神さま候補も、同じ世界に何人か転生するみたいだから世界征服を誰がするか競争だよ?」


「えっと、これからって他に準備は‥?」


「あとねー、これ重要!死んでも消滅はしないでここに戻れるんだけど、君が神さま候補ていうのを放棄して死ぬと、消滅一歩手前だからね!」


おいっ、きけ


「前にも言ったけど、転生したらすぐに仲間を見つけて、心から打ち明けてね。そして、2人以上で行動すること!2対が基本ね!それで高確率で生き延びれるから!それではいってらっしゃーい!」


いってらっしゃい?


一気に捲し立てられたと思った矢先、

足元の床がすっぽり消えている


「うおぉぉぉぉ?!」


宙でもがいたが、捕まる所はまるでない。


一気に不恰好なまま暗闇に落下して、元いた部屋が、厳密には床がなくなった四角い形光が遠かって行く。

ちゃっかりヤージュがにこやかに、いってらっしゃいの手を振っている。


俺、転生は初めてだけど、この転生の仕方は絶対間違っているはずだ!


「ヤージュ、覚えてろょぉぉぉぉ!」

初めての転生に向けての情け無い捨て台詞と、表情は明らかに悪者のそれだった。

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