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転生してから考える世界構成学  作者: ユタセコ
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1

マキビト国には火炎樹と呼ばれる樹木がある。


春になると鮮やかに色付き、其の身を揺らす。

枝から落ちる真っ赤な葉は地面を覆い、

まるで炎帝がその場にいる事で地面で炎がとぐろを巻くように風に乗る。


炎帝とは、初代の6大将軍の1人を指す。

創国の地は地面が硬く、農業に適さなかった。

今では莫大な広さを誇る果実園を見れば

当初は荒れ果てた地だったとは思えない程の酷さだったという。


炎帝は其のような地を燃やし、耕し、五穀を巻いた。

それに加えて、薬学の祖とも言い伝えられている。

何故ならば、手当たり次第口にしてはその植物の効能を確かめる事が出来た。


彼は頭部と四肢を除き胴体が透明だったのだ。

幾百の薬草を自身で試しては、其の効能を確かめた。

劇薬を飲んだ際は其の臓器が真っ黒になるのが見て取れた。


日常は一対の純白の衣を纏い、

その透明な胴体を隠していたという。

民に何かあれば、純白の衣に似た翼を広げ四方八方に駆けつけた。


そんな炎帝を慕い、民は夜が開けぬ暗闇の中にいた我々を導く紅の月の様だと言い合った。


それ故に、後を引き継ぐ将軍は〝暁〟と呼ばれる。

夜が明ける直前、そして赤い月。



ルルーセンは、聖堂に突き刺さった炎の剣が、

その姿を幾千幾万の火炎樹の葉が散る様に消えていく様を呆然と眺めていた。


そして思い直す。

ヤージュは紛れもなく暁の将軍ルカ・サダスであったのだと。



ルルーセンはその身を翻し、屋根から地上に降り立つ。

その姿は、銀色の毛並みを流し、巨躯を躍らせて走る野獣であった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ザックは瓦礫の中、注意深く周りを伺う。

周囲にいた者たちの中には、瓦礫の下敷きになった者もいる。


この魔術は、一昨日隊長が相対した暁の将軍だろう。

どういう経緯か分からないが、

隊長は奴らと共に姿を消したはずだが、


まさか自分を救出に来たのだろうか。

いや、まさか。


ザックは胸に沸く想いを、

無理やり押し殺し、

自身のすべき事を優先させる。


「何にせよ、姫君をつれ出さなければ。」


乖離魔法で瓦礫を跳ね返し、

教会の一角にある高塔を目指す。


視界が開けると、聖堂があるはずの場所が廃墟と化している。

忽然と現れた縦穴は、地中深くまで突き刺さった魔術の威力を如実に表していた。

あと少し、タイミングが遅ければ、あの渦中で助かる事は無かっただろう。


背筋の寒さを、唇で噛みしめ走り出す。

「どうかご無事で」


塔を駆け上がり、開け放った部屋は、

衝撃で窓が割れ、家財がひっくり返っていた。


その一角に身を震わせる姿が1人


「ヲビ様、ご無事でしょうか?!」

駆け寄り、膝をついて確かめる。


顔を挙げたのはまだ小さな少女だった。

不安げな顔に生気はなく、白い顔に黒い髪が張り付く。


「ここを出ます。お話は後で」


そういうとザックは手を引き、階段を降って言った。

黒髪の少女はその手に身を委ねた。

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