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転生してから考える世界構成学  作者: ユタセコ
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豊穣の月の欠けら2

「それはそうと、こっちは面白い事になってるね」

ヤージュはウインクすると、ルルーセンを促した。


屋根から中央教会の正門を見下ろす位置に立っている。

足元の茶色い屋根葺が、教会の白い塗り壁と対照的だ。

むしろ、教会が聖域を白で誇示しているかのように感じられる。


その教会の正門が開き、外部から中へ入る集団がある。

その1人には身に覚えがある。

「あれはパウェル殿と一緒にいた男ではないか。」

「ふふふ。いいねぇ、僕はいい事思いついちゃった。」


えぇっ、と怪訝な顔をするルルーセンを尻目に、

口元を猫のように口角を釣り上げる。


「それより私は、その豊穣の月についてもっと聴きたいのだが?」


背中に語りかけるも、軒先でしゃがみこんだヤージュは、猫顔でザックが中に入っていくのを見つめ続けた。

ザックは拘束もされず、導かれるように消えていった。


「さてさて、じゃあ、もう1つルー君に教えてあげよう!」


見届けたのち満足するやいなや、

屋根の上をひらりと身を翻し、手を天へ向ける。


「僕たちを含め、エルレム國とマキビト国の者たちは生まれながらに業を持って生まれきます。

バージンペインと呼ばれるそれは、人の原罪と結びつき僕らを束縛するんだよ。

僕らにあって、木や獣やこの自然が背負っていないものは何でしょう?!」


「人の原罪だと...?」


「そう、そこに君の苦悩や不自由さが生まれる根源があるのでーす。」


ヤージュは羽根を羽ばたかせ、空に羽ばたく。

羽根が空に散り、晴天に一陣の風が吹く。

羽根は街に流れ、朝を迎えた人々の頭上を人知れず流れる。


「ふふふっ。


もうすぐこの世界は均衡が破れ、激しい渦の中で引き裂かれ始める。


脈々と引き継がれた人の業は、原点に帰結する事で精算を求めるのさ。

ルー君、君は観測者として僕たちと共に全てを目の当たりにするだろう。

人と獣の狭間に寄り、調停を求められた役目は終焉を持って満たされるだろう。

過去の祖先も終焉の安らぎによって弔われるのだ。」


見上げるルルーセンは、頭に直接響くようなヤージュの言葉に慄きを覚える。

加えて、ヤージュの姿が変化を起こし始めた事が拍車をかける。


天へと舞った姿は鷹への変現ではなく、

見たこともないものだった。


その身体は一対の羽根で覆い隠され、下から手だけが垣間見れる。

もう一対の羽根は天高く延ばされ、その曲線故に頭上で交差している。


不気味なのが、羽ばたく事なく天に静止している以上に、顔が4つ前後左右にある事だ。


「なんだ、その姿は.....」

思わず呟くルルーセンの頭上で、

その天使が目を開く。


額にかかる装飾を揺らし、焦点は教会の聖堂だ。


「欲望のまま知識を求めた人の子よ。

身の程をわきまえるが良い。」


その言葉と共に、聖堂へ炎の剣が天より突き刺さった。

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