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学園回想編に行くか、新キャラ目線で行くか悩む
早朝四時といったところだろう
朝日が昇る直前の一刻を侵入のタイミングに決めた俺達はプレスコットの外郭に到着していた。
かつて俺が落ちた物見台が外郭に並び、その高さは20mに届くほどだ。
昨日の今日なので、見張りは強化されている。
そんな中、
俺たちが見つからないのは幻惑魔術を行なっているからだ。
視覚は光の反射により構成されているので、
その光が通過するように一帯の光の粒子に働きかけ、
光に潜む魔素操作により俺達を通過するようにする。
この間違ってやり方を昔した事があるが、えらい目に合うので要注意だ。
どうなるかって?
全身が抉られるような五感が麻痺する痛みに襲われるのだ。
ハリネズミに全身串刺しの刑に処されたと思って欲しい。
要は光の透過を許容するために、身体に無数の穴が空いてしまうのだ。
身体の結合が著しく阻害されるのだ。
存在の危機であるのだ。
こしこし
その昔、学園の浴場でちょっとした出来心で、
試してみた結果とても痛い目に合った。
出来心って何かって?
浪漫飛行でインザスカイする事さ
裸でな
それはさておき、
不可視化は魔素による光の書き換えを行う事で成立する。
身体に飛んできた粒子が当たり、反射するタイミングで情報交換が行われ、情報を持った光が視覚に作用する。
このプロセスの中で魔素で情報の改竄を行うと、あたかも姿が消えて見える。
もちろん、この魔術でそこにない岩を出現させ、隠れやる事もできる。
便利な魔術だ。
その反面、身体を中心に全方位一帯の魔素の操作が求められるので、かなり消耗する。
魔素はどれだけ使っても無くならないが、体力の消費はする。結局、魔力切れは魔素が身体の外部へ出てしまう事で、根本の原因は身体に魔素を繋ぎ止めておけない本人の体力低下や技量にある。
魔素を身体に繋ぎ止める力、魔力の原理とはこういうものだ。
「じゃあ、朝日が差し込む瞬間に塀を飛び越えて、
一気に駆け抜けるよ」
ヤージュが緊張感なく、枝で土に渦巻きを書きながら言う。
こいつのギャップはとどまる事を知らない。
ふと、ルルーセンを見ると俺以上にジト目をしている。
昨日から本来の姿を取り戻して天然というか幼稚さが戻ってきているようだ。
「中央部には今回の作戦本部が置かれている。
昨晩、1つの隊を残してアストレアに退却している。
ここにいる戦力は、第2騎士団とアストレア駐在騎士団、そしておれの隊の残存隊だ。」
プレスコット内部は魔素が濃いため、上手く感知出来ないが、都市を出た隊の動向から察することが出来る。
ルルーセンが頷き、続ける。
「まずは戦闘を避け、お前の旧友の屋敷へ行き、中央部への架け橋となってもらうという事だが、本当に上手く行くのか」
「大丈夫だ。問題ない。ただし、一度事情を理解するまでに捕縛されるのが手っ取り早いと思われる。
目的を知れば、あいつは必ず食いつくさ。」
あいつというのは、学園での同期である。
今だに前代未聞の英傑が揃ったと言われる俺の代の中でも、俺を含めて5人のトップがいた。
その中の1人が東方区での統治長に命ぜられたと聞いた。東方区は俺に生家がある所だ。
サナス家の宗家であるサテ家の生まれで、普通では面会も取り得ない程身分が高い。
しかし、旧知の奴の本性は病的なコレクターだ。
この世界の珍しいものには目がない。
そして、凄腕の生産者でもある。
集めたコレクションを分析し、自身でその技術を吸収し習得していた。
発明家でもあり、学園時代は色々苦しめられた。
何故手助けが必要かというと中央部を区切る塀は高濃度の魔素を外部に漏らさないようにする障壁の役目を持っている。
破壊して進もうとしても、簡単ではない。
戦闘を避けるべく今は尚更に得策でないのだ。
唯一の入り口は東西南北に1門ずつあるが、入退場が厳しく管理され、身分資格や推薦状が無いと入ることさえ出来ない。
だから、手助けが必要だ。
すうっと空気が変わる
山の稜線から朝日が覗き、黒い要塞都市の肌を白く染め上げていく。
背中を押されるように、3人は塀を駆け上がる。
鷹が一羽大空に舞った。
空飛ぶ鳥からはその姿はあまりに小さく、
年月が描いた染みに溶け込んでいた。
鷹は要塞都市に目を向ける。
戦線を守る要塞都市は大きく、直径10キロに及ぶ円形である。
所々にヤージュの攻撃によって焦土と化してはいたが、その機能を止めるには至っていない。
その中央部にはまた円形に区切られ、一際高い建物が聳える。
装飾が施された頂点には教会のシンボルがあしらってある。
その教会の窓から、1人の少女が空を見上げ、
顔を曇らせながらその鷹を見つめていた。




