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ぐぐぐぐっ
眉間に皺を刻み、目頭を抑える。
思い出すのは黒板教室の老人教師だ。
“貴方たちはここに存在している
その存在足らしめるには確信を超えた確信がある。確信が個々を繋ぎ、安定をもたらす”
“存在が希薄なるは即ち確信の揺らぎ。個々の霧散に屈服する”
これだ!
本当の初めに教師の言葉がこれだった。
世界の始まりは存在の確信あり、世界の終わりの確信により存在が終焉するって言ってたな。
それを踏まえて、この石ころを屈服させるとはどういうことだ?
石ころの確信を揺らぐ事をするのか。
とりあえず摂理眼で石ころを見ながら振る。
何も変化はない
じゃあ、個々の霧散ってのはどうだ?
石ころが石ころで無くなるのは、
砂みたいにバラバラになるってこと?
今度はサスハラで石を最小粒子まで分解すると、
含有していた魔素が一部身体に吸い込まれた。
手の平にあった石はサラサラと砂になって溢れて行く。
おおっ!
こういうことか?
じゃあ更に分解するとどうだ?
ほんのひとつまみもない残った砂を更に分解する。
砂を構成する原子は主に3種類つあり、お互いにくっついている。その原子の中央に魔素が複数寄り添っているのだ。
興味深いのは魔素も1種類だけでなく複種類あるのだが、原子の種類で寄り添う魔素が決まっている。
原子と魔素には相性があるようだ。
サスハラで原子同士の繋がりを切って行くと、繋がりを行き来する魔素がこれまた身体に吸い込まれた。
サスハラの力を止めると、手の平で小爆発が起こった。
腰を抜かしながらも摂理眼で見ていた俺は、
同様原子が凄い勢いでくっつき集合体になるのを見ていた。
そしてその集合体は空気中の魔素を再び纏い始めている。
最後はちょっと予想外だったが、
大筋の方向は見えた。
物質でいう屈服とはそのもの自体を構成する最小単位まで分解するか、もしくはその手前の機能や役割を失った状態になる場合に当てはまる可能性が高い。
そして、構成する最小単位そのもの自体を繋ぎ留めている力に魔素が使われている。
結合を解けば、その分の魔素を獲得できる訳だ。
ということは逆に言えば。
俺は溢れ落ちた砂に手をかざし、自身の魔素を流し込むことで、砂を結び付け石に再構成して行く。
世界を逆行させている。
これが神の力サスハラ。
ようやく自身に与えられた力を正しく把握した気がする。
とてつもない力だ。
直接触れずに出来る事も大きい。
俺はもう一度石ころの結合分解と再構成を繰り返した。
そして確信する。
結合分解して得る魔素量と再構成に消費する魔素量は同じだ。
そして、一旦身体を巡回した魔素は俺の意識を汲み取り制御出来る。
これが魔法発現の原理なのだ。
俺は、この時に魔法はもちろん、周囲の自然をも支配する方法を手に入れた。
これがことの顛末だ。
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足元に広がる大河と自身の魔素を巡回させる。
魔素で水を拘束し、支配下において行く。
意識が融けあい、自分の輪郭がぼやけるが、
この程度なら問題は無い。
魔素循環は支配範囲を見誤れば、逆に自然に支配されるおそれがある。
大河の魔素が俺に流れ込み、大河の一部として飲み込もうとする。
存在意志に競合
支配する側と支配される側
一方の力の奔流の裏では、その逆の方向へ力が流れる
これも分解の基本だ。
ヤージュに向かいながら、
一帯を支配下に置いた俺は歩みを止め、
その場で振りかぶる。
しかし、身体の勢いは寧ろ強くなり、
ヤージュが視界一杯に肉薄する。
それは、足元の氷自体がせり上がり、
俺の足場ごと向かっているからだ。
大波に乗るサーフィンのように氷塊がうねり、
付近が波立つ。
ヤージュはその場から飛び立つと、
先程と変わらず、同じ動きで拳突き出す。
拳が接触する。
今度は、単純な殴り合いでは無い。
支配権をかけた攻防がここから始まる。
拳を介し、ヤージュの魔素量に愕然とする。
脳内に浮かぶイメージはかつての地球が宇宙に浮かぶ姿だった。
惑星1つ分の質量に及ぶ重厚な魔素が、
俺に流れ混んでくる。
俺とヤージュがお互いに違和感が無いという事は、
魔素行き来にも拒絶が無いという事は察しがついていた。
俺も負けずと魔素を流し込む。
自身の魔素は勿論だが、平行して大河の魔素を集め自身の魔素に返還し補う。
また、飲み込まれてしまいそうなヤージュの魔素は大河へそのまま受け流し、大河の存在意志と打ち消させる。
側からは一瞬の静止に見える衝突が途方も無い旅の道のりに思える。
俺は奥歯を噛み締め、魔素の奔流に伴う痛みに耐える。
その視線に相対するヤージュは涼しげな黄色い瞳を投げかけてくる。
コイツが凄さが底無しであるのは、転生直後から分かっていた。いくつもの世界を終焉させたという話を俄かに信じられない俺は、本当にこの世界で地球と同じような営みがある事実に直面し、途方にくれたからだ。
本当に世界を作るという事は、まだ考えが及びもしないことであると。
しかし、この世界の法則や成り立ちを紐解くことで、少しずつ核心に近づいてきた。
ここで全力で死に果てても良いから、
ヤージュとの差を認識したい。
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