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第三部 レジスタンス

ルイとの戦いを終え、レジスタンスの結束を改めて確認したその夜、時刻は深夜一時を回っていた

昨日の今日で疲れていただろうアキナが寝ていることを確認し、俺はヘッドセットをつけてGBOに潜った


「話が本当ならここか」


仲間のタレコミでチート用の不正ツールやレアアイテムを電子マネーで売買している話を耳にした俺は夜型の同志達を募って一斉に検挙することにしたのだ


「元々人はいないですが夜ともなると不気味ですね」


同行している仲間ランサーのツラヌキから【テレパシー】を使って語りかけてくる。


プレイヤー達の拠点であるギルド街は広大なマップでありながらも交流のほとんどがVRチャットで賄われているため人口密度は低い

確かにあまり人目につかない空間で裏取引を行うのは確かに最適だろうが

VRチャットを通さず敢えてGBO内で済ませるあたり運営が陰で繋がっている線も濃厚になった


まず運営の対応は最悪だが、問題ある(正しくは不都合になる)プレイヤーに対しての処置は迅速かつ優秀で

普段はクソの役にもたたない衛兵たちが不正を起こしたプレイヤーに対して常に目を光らせている。抵抗しようものならマスター特権で秒殺だ


にも関わらずプレイヤーたちが売買しているのは妙だ


「売人が一人、護衛は三人。全員のステータスシートは控えてあります。」

「これなら打ち合わせ通りプランAでいけそうだな。全員持ち場に着いたな?」



敵の構成は他の能力を格闘戦と攻撃のために犠牲にした格闘士(クロスファイター)、主にデバフと攻撃を得意とする後衛職魔術師(マジシャン)、攻撃よりの防御職君主(ロード)

特にロードはナイトと攻撃と守りの能力で差別化されてる以外はほぼ同じなのだが

能力値と専用スキルが攻撃より担っているため事実上のナイトの上位互換と言われているクラス

俺のクラス(ナイト)が不遇と言われる所以(ゆえん)


これらの情報を知り得られるのだからエルディナの存在は身に染みて感じる

夜遅くまで付き合わせるのはかなり気が引けるが、NPCである彼女は睡眠や食事は必要がない


「俺たちレジスタンスの初の作戦だ。心してかかれよ」


「了解!」


俺はランサーの仲間を引き連れ、二方向から突撃した


「へっ、真っ正面から飛んでくるとか馬鹿か?」


真っ先に動いたのは格闘士だ。そのスピードはトップクラスだ

おもむろに手をかざした。本来なら使えない魔法を使うつもりだったのだろう。

しかし、何も起こらない


「何故だ!?チートが発動しねぇ!」


エルディナの持つ第二の能力。データを修復し、チートの効果を無かったことにする効果だ

自分の売り物を過信していたのだろう。彼らから先攻を奪うのは容易いことであった。



「キリル、テメェが持ってる盾は飾りか。さっさと庇いやがれ」


バイヤーの怒号に慌ててロードが盾を構えようとする。

しかしそこは攻撃よりのクラス。不慣れな守りに対して剣と盾を持ち替えるのに手間どっている


このゲームの仕様上中型盾以上の武器で守ろうとする場合【スイッチヒッター】のスキルをセットしていなければインターバルが発生するのを忘れていただろ

チートばかり頼っているから初歩的なプレイングミスにも気づかないんだ




守りの体勢に入るキリルをアサシンは揚々と横切った


「クソッ、使えねぇ!【ファイアウォール】」

「おい、待て!それをされたら俺たちが・・・」


マジシャンは悪態を突き、火柱を出して前方を焼き払った。

・・・周囲の味方を巻き添えに


「役にたたねぇんだから文句は言えねえだろうが。ロードの装甲もぶっ飛ばすほどの火力まともに食らえばいくらカズナリだろうと」


味方を巻き込んでの火力呪文、火力マックスのチートによって一面は火の海と化した。

それによってカズナリらを倒した確証を得た魔術師であったが、次に映る光景で彼の表情は凍りついた


「カズナリ、何故無傷で。」

「俺だけじゃないぜ」


俺の言葉に気づくよりも先にランサーの槍は魔術師を捉えていた

直後魔術師の体は巨大な槍に貫かれた


俺だけではない。一緒に突入したランサーも無事だったのだ


「ランサーの突撃にはわずかだが無敵時間があるんだよ。その時【シェルター】を発動すると直前の突撃効果が残ることを最近知ってな」


周囲の攻撃を防ぐシェルターといえどチートでは防ぎきれない。

だからこそ攻撃に無敵時間を持つランサーと一緒に攻撃を仕掛けたのだ

防ぎようがあり、他の味方を潰してくれると思い敢えてそのチートだけは使えるようにしたんだ


「クソッ、撤収だ。てっしゅ」


たじろぐバイヤー

逃げる間もなく彼の意識は飛んだ。あらかじめ後方に回り込ませたアサシンの一撃により倒されたのだ



「カズナリさん、バイヤーと客は麻痺させておきました」

「ありがとなカゲヌイ。ツラヌキ、お前もよくやった。送り込んだ他の仲間たちも取り締まりに成功したとメールがきた。俺たちも撤収をー」



その瞬間だった。


〈問題あるプレイヤーを感知しました。アカウントを停止します〉


バイヤーと客その護衛たちの体は光に包まれ消えた。


「消えた。今更、運営が!?」

「キャラクターシートの方は?」

「非公開になってます」


さいわいエルディナが収集したデータは彼女の力によりある程度はバックアップができたようが肝心の会話ログやフレンド欄は復元できなかった。


エルディナでもなければキャラクターシートの復元まで辿り着かなかったのだ。それに運営が対処しなかったのは運営がエルディナの存在に気づいていないと言う証拠だ。それだけでも十分な収穫だろう


「売り物のツールと武器まで消えてしまった」

「データの方は確保してある。参考人がいないのは痛手だがアジトで洗いだそう」

「あの、カズナリさん」


本部に引き上げようとした俺たちだったが、アサシンが俺に問いかけた


「さっき捕らえる時スキルを使ってチートツールらしいの横取りしたやつです。凍結して使えなくなってるんですが役に立ちますかね?」

「ないよりも十分マシだ。ありがとな」

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