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エピローグ〜始まりに続く物語〜

第一部完(プロローグに続く物語)



「カズナリちゃん。クランマスターになる気はない?」

「えっ?」


《黒蛇党》主催の格闘大会にてワザンとの短くも長い因縁に決着をつけ、ギルドの受付でクランの手続きをしていた時のことだ。

オネエのメリダさんが慣れた手つきでウィンドウで手続きを行っていると、突然クランマスターにならないか?と提案してきたのだ。


〈ドンガメ亭〉は元々はメリダさんが現役時代に元クランマスターのバオさん達と一緒に立ち上げたクランだ。

その後なんやかんやあって乗っ取っていたワザンが死に、ワザンに付いていた人間達も離れていったことでなし崩し的にメリダさんが引き継ぐことになったのだ


だからこそクランマスターはメリダさんがやるのだと思っていた俺に投げかけた一言は俺を戸惑わせるには十分であった


年功的な序列で言えば当然彼女がやるものだと思っていたし

つい先日までぼっちだった人間にクランマスターをやるなんて発想は思い付かない。ましてや一週間ほど所属していたとはいえ自分はほとんどクランとは部外者だったのだから。

俺は慌てて、じぶんはその器でないことを伝えた



「しかし店長の方が先輩ですし、それに俺、実力もないですよ」

「私はつい最近まで離れてた復帰勢、それにね、ワザンと戦ってた時のあなたの姿、あの人に似ていたのよ」


懐かしむ顔をするメリダさんを見て、若干寂しさか安心かわからない感情が湧いた

同じ職業、同じ技構成の俺に今は亡きバオさんの姿を寄せているのだろうか、

そうだよな、そうでなきゃ俺がクランマスターなんかに選ばれるワケないか


なら、迷うことはないこの話は無かったことにしてもらおう


「メリダさん、俺はバオさんのようにはなれないです。俺なんかがリーダーにならなくてもーー」


そんな時だ、思いもしない人物から思いもしないことを言われた


「胸を張ってください、カズナリさん」

 

ピシャリと言ったのはアキナだ


「クランマスターは私も賛成です。私がいつも困っている時、カズナリさんいつもベストな方法を選んでくれました。だからもっと胸を張ってください」


ここにはいないエルちゃんも同じこと考えてるだろうととアキナは付け加えた

これまで俺はワザンとその部下の追撃や運営からの嫌がらせに抗うために無我夢中でやってきたことだった


しかしアキナはそのおかげで救われた人もいたのだと言う


「あたしもカズナリさんがマスターやるの賛成かな。あの時カズナリさんなら絶対にワザンをやっつけてくれると思ったもん」


そうだ、俺の戦いはまだ終わってはいない。

ハチマングウやヤガミたちの息のかかった者だってまだいる。

そんな奴らが何も知らないプレイヤーを相手にやられた側も気が付かないくらいに不条理を受けていることだってある


こんなところでやる、やらないを言ってはいられない

やらなきゃいけないんだ


「ーありがとうみんな。俺、やってみるよ」

「そんな固くなってやるもんじゃないわよ。クラブ活動みたいなものだから。楽しくやってきましょ!」


こうして店長や他のMMOでクラン的なリーダーを務めているサキちゃんの手助けのおかげでクランマスターの手続きを難なく済ました俺たちはクランマスターとしての就任祝いを済ませた。


クランマスター就任した次の日のこと

サキちゃんが持ってきてくれた依頼書に目を通していた時のこと、俺は不可解な依頼を見つけたのだ


「要人護衛依頼?」

そんな俺に対し皆は怪訝そうな面持ちで俺の顔を見る

「この依頼、別におかしなこと書いてないよ?要人護衛なんてMMOじゃよくあることだよ」


MMO熟練者のサキちゃんが俺に指摘する。

俺が違和感を感じた依頼書は普通の「要人護衛」。

依頼内容はギルド≪アークライト≫を支持しているギルド評議会の人間を要注意ギルドである≪黒蛇党≫から守るといった内容だ

護衛対象が犯罪者と言うわけでもなく、狙われている理由も護衛の手段も見た限り何も問題はなさそうである


普通の(・・・)MMOならな。」


しかし、だからこそ|ギルドバウトオンライン《このゲーム》では異端であったのだ


「メリダさん、これまでにこんな依頼はあったか?」

ギルドバウトオンラインで一番プレイ時間の長い店長に質問を投げかけると

店長は俺の言葉の意味に気づいたのち首を横に振った


「確かに言われてみればこんな依頼は初めてね。」


そう。俺達の所属するギルドは異端な組織ゆえに入ってくる依頼もおかしな依頼ばかりだ

その中でこの依頼はあまりにもマトモ(・・・)すぎたのだ


皆もその意味に気付きだし、息をのむ


「おそらく、俺の持論だけどこの依頼は罠かもしれない(・・・・)


いや、この会社は悪意をゲームに組み込むことに関しては一流のゲーム会社だ。間違いなく罠であることは間違いない、が



こんな俺が言うのもなんだが、心のどこかでトップがおかしいだけで良識が残ってるスタッフが残っていると信じていたのも事実であったのは確かだ

それを確かめるためにもこの依頼は外せなかったのだ


それに


「あと、メリダさんとサキちゃんには≪黒蛇党≫と≪ジュラ自警団≫との抗争を武力にて仲裁する依頼に行ってもらいたいんだけどいいかな?」


俺はメリダさんとサキちゃんがいなかった頃の話をした。

本来味方であるはずの〈八綺集〉によって殺されそうになったこと

《黒蛇党》、そして《ジュラ自警団》がオラカイト王国内で大きな動きを見てせいることを話した


「俺やアキナはあまりにもギルドに目立ち過ぎている。そこで今この王国内で何が起こっているのか、軽く調べてほしいんだ。」


かくして俺達は依頼へと向かう

そこで運営にギルドバウトオンラインに対してのわずかな期待を失った俺達は徹底的に戦うことを決めることとなったのだ

俺たちの戦いは続く


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