十九章頼れる仲間たち
「エルちゃんと散歩してたら〈ドンガメ亭〉の昔のメンバーに会ったんですか?」
「そうなんだ。まさかウチの近所にいたなんて夢にも思わなかったよ」
今思い起こしてもアレは本当に偶然としか言いようのない出来事だった
エルディナをスマホに移住できるアプリの試運転も兼ねた散策の帰りに
〈ドンガメ亭〉の名付け親でバオさんの友達が経営しているカフェに立ち寄ったのだ
バオさんと連絡取れるのは難しいらしいがあんな別れ方をしたゴルさんとまた会えると思うと本当に嬉しかった。
「エルさんやカズナリさんの話だと結構個性的な人たちなんですね。どんな人たちなのか楽しみです」
「うん、とてもいい人」
ノリの違う二人だからアキナはどう思うか不安だったが、エルディナと仲がいいとわかって意外と好印象だった
記憶を失ってから普段さみしげだったエルディナもうれしそうにしている。
「アバター姿は俺もまだ見てないからそれも相まってビックリすると思うぜ?もうそろそろ来るはずかな。」
俺たちが店長のことで談笑しているとドスドスと大きな足音が俺たちに近づいてくるのがわかった。
「お待た〜!」
あの声は店長だ
「えっ!?うわぁ!」
俺たちはその声のする方を向くと店長の姿に姿に俺たちは驚愕した
失礼なのはわかってはいるがそれもそうだ俺たちの前に鎧を着た二足歩行の大トカゲ、その身長なんと2メートル。
攻撃力と体力、防御力特化のために仕上げた筋肉隆々の体つきは一眼見ただけで戦士職であることがわかる
ここまで来るとトカゲの獣人というよりかはドラゴンだな・・・
「ちょいちょい、あたしもいるって」
メリダの巨体に意識がいってて気づかなかったが隣にはギャルの店員サキちゃんもいた。
こちらは幸運値と俊敏性、魔法力に特化したホビット
120センチくらいの幼児体型。店長の横に立っていることもありいっそう小柄に見える
聖衣に身を纏った姿はまるでお人形のようだ
「や、カズナリさん。エルちゃんこないだぶり!アキナさんはじめまして。エルちゃんから聞いてるよ」
「はじめましてアキナです。こちらこそよろしくお願いしますサキさん」
人見知りしやすいアキナと仲良くなれるか?という不安はあったがどうやら杞憂だったな
「プロフィールの設定、以前のイベントから調べてきたんですか!?」
「世界設定の項目とか他のと比べてあまり書かれてないから苦労したよ」
キャラクターの生い立ちとかそういうのは他所では流行ってるのだろうか?
話も盛り上がってもうすっかり打ち解けてフレンド登録している
「店長、忙しい中すみません。今日はよろしくお願いします」
「気にしないでウチはいつもヒマだからー。さ、特訓にいきましょ」
「依頼はゴブリンの討伐、要救助の子供を二人確保。あとは討伐だけよ、頑張りましょ」
俺たちはレベルアップとスキルや武器を使った立ち回りの練習を兼ねて
店長ことメリダさんの先導で依頼を受けることとなった
以前にも初の依頼の時、先輩ギルド員と依頼をこなしたことがあったが、あの時のような手柄を取るためだけの同行者とはちがう
強敵や面倒な部分は店長が引き受けてくれていたし、親切にわかりやすく教えてくれている。
今まではアキナと二人だけで切り抜けていたが
先輩プレイヤーと一緒に戦うことがどれだけありがたいことなのか改めてわかった
「さぁ、来なさいおチビちゃんたち。私がまとめて面倒見てあげる!」
店長がゴブリンの大群に躍り出るどヘイトを一身に集めた
一斉に飛びかかり交戦してる間、盾を構える俺の後ろでサキとアキナは店長に回復の【回復付与】そして防御力を上げ
俺は【かばう】のスキルでサキとアキナを守る
「えええええい!」
店長が長い得物をぶん回すと、紙クズのようにゴブリンたちが四方に飛び散った。
「グエエ!!」
「危ない!【カウンター】!」
店長の攻撃により吹き飛んできたゴブリンが後衛の俺たちに飛んでくる。
飛んでくるのは死んだゴブリンだけではない。体力が削られても生きているゴブリンもこちらに飛んでくる。
飛ばされた勢いを利用してこちらに飛びかかるのだ
「よし、作戦通り!」
そこで俺の出番だ
【庇う】のスキルは有効範囲内にいる味方に飛んできた攻撃を自身が引き受けるスキル
そこに相手より先に攻撃できる【カウンター】が乗るとどうなるか。
せめてこの場にいる誰かに一矢報おうとして飛びかかる討ちもらしたちは本来俺たちの誰かに与えるはずだったダメージを自分たちが受けることとなるーーーー
「これで全部か。増援もなさそうだな」
残存勢力もほぼ死に体だったので、各個撃破で倒すのは簡単だった
半ば裏技のような立ち回りで全員無事に攻略できたのだ
【視界強化】を使い、辺りを確認したが敵はいない。
そのまま俺たちはリザルト画面に移行し、全体討伐依頼の評価Sを得ることができた。
「お疲れ様。みんなうまく立ち回れてたじゃない。今度はみんなで実践やってみましょ」
「店長ありがとう。おかげで効率よくレベルを上げられたよ」
「お疲れ様でした。皆さん。すごいです。私なんかまだまだで・・・」
「そういうアキナさんだって大活躍してたし。私もレベル上がったことだし次は大活躍しちゃうかもね」
依頼も終わり、俺たちはおさらいと改善点の話し合いも兼ね、ゲームの中で慰労会をすることにした
「まさかカズナリくんもナイトだったなんてね、初めて見た時ビックリしちゃった」
そう、俺は旧クランマスターのバオさんと同じ職業だ。
「これも、運命の巡り合わせかしら」とロマンチストなことを口走っている
「さっきの立ち回りを見た感じカズナリくん攻撃しながらのスタイルで行くんでしょ?【パリィ】と【フェイント】はつけないの?」
「あれって攻撃職向けっていうか、あまり盾役がつけるイメージじゃない気がしたんですが。バオさんは確かにつけてましたが」
「そうでもないわよ?前線で戦うなら戦略の幅も広がるから重宝するわよ」
攻撃を受け流す【パリィ】、敵の虚をつく【フェイント】はタイミングこそ難しいが使いこなせれば攻撃にも防御にも使えるスキルだという
バオさんの構成を疑っていたわけではないが
ここは選り好みしてる場合ではないよな。みんなを守るためにもあいつらに勝つためにも
「スキルポイントは成長すればするほど重要になってくるからスキル選びやレベルアップはよく考えて使ってね」
せっかく手に入れたチャンス無駄にはしない。
見てろよ、バオさんの仇、今度こそお前たちを倒してやるからな




