外伝 悪魔の食卓
私の名前はハチマングウ。
ゲーム運営会社(株)ショコラ•オ•ノワゼットの社長だ。
私は社長業務でのストレスや疲れを発散すべく
暇な時間があれば依頼をこなすプレイヤーたちの『さま』をモニタリングしている
目の前にはテーブルクロスのかかった机に何も載っていない皿と食器がある
料理を食べる素振りをしながらプレイヤーの悲劇に遭い、傷つくさまを見るのが私のスタイルなのだ
「いやぁ、先日のアレは良かったよ。生き残った双子のプレイヤーが難破船に取り残された奴。あそこに一人乗りのボートが流れるや否や醜く争うさまはあれはとても美味だった、」
SNSを見た時はその双子はその一件以来仲が悪くなったそうだがそれはまた別の話だ。
「反乱分子どもに結託されないためにも増やしておくのもいいですねぇ
次回も仲間割れのミッションを用意するようゲームマスターたちに通達しておきましょぉ」
プロデューサーはただただ笑っている。
周りは私のこれを奇行と言うが、この会社でそう言う野暮なことを話す人間は徹底的に排除した。
私が思うに悲劇というのは食事だ。希望に満ち溢れた人間は鮮度の高い食材と言っていい
それに手間隙をかけて絶望の中に叩き落とす。その時絶品の料理が完成するのだ
「ああ、楽しみにしているよ。早いところ仕事を終わらせないとな」
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私は早々に仕事を終え、前もって約束しておいた時間に少し早めに帰宅することができた
録画したものを見ることもできるが、やはり生放送で見た時の感動は大きい
今回のメインディッシュは
〈ドンガメ亭〉あらため〈薄氷騎士団〉だったかのメンバーとそれと先日出会った生きのいい食材二人
彼らを同じ依頼に誘い込むことに成功したのだ
「アレの準備は出来ているな?」
「もちろんですよ。男の方に『親しい人間に対して攻撃を仕掛けるプログラム』を作らせておきましたよ!」
「急に攻撃を仕掛けられたらあんなナヨナヨした女だったら交友関係もボロボロでしょうね」
今回は曰く付きのアーティファクトの処理という名目でプレイヤーを誘い込んでよかった
「か、カズナリさん。どうして・・・」
モニター越しに恐怖と絶望の声が聞こえる
当然だ、死闘の末に出会った仲間が自分に向けて攻撃を仕向けてきたのだから
「やめてください!どうして剣を振るうんですか!?」
「いくら叫ぼうが無駄だよ。向こうは声が出せないんだからね」
カズナリという男も攻撃の標準をズラしているが
斬るのは時間の問題だ
「お、仲間割れかぁ」
「ん?なんだアレは?これはどういうことだ?」
と、そこに薄氷騎士団の男が乱入
「おい、ヤガミ、どういうことだ!」
「む、向こうがなにがしらの方法で戦闘を回避された時の策ですよ!」
後から聞いたが、あの男がヤガミのお気に入りのクランの人間らしい。ヤガミの権限により今の今まで戦闘に参加せず、仲間割れでお互いが混乱しているところを乗じて乱入したらしい。余計なことを
「そのせいで攻撃の対象を向こうに向けられてしまったではないか!そういうのが余計というのだ!」
ヤガミの襟首を掴み、乱暴に揺らす
「や、やめてください。やめ・・・」
やめるものか、私の怒りが収まらんのだ
「そこに攻撃を受けるたびにダメージが上がる【怨恨】さらに【スイッチヒッター】で武器を持ち替え【カウンター】で攻撃されたらどうなるか」
「しゃ、社長。あれを」
「あ?」
こちらが仲間割れしている間に戦況がまた動いたのだ!
「はぁ!?どういうことだよ!」
ゲームシステムの穴をついての攻撃。
一番この二人が築いた信頼による連携での対抗手段
「この攻撃で二人が倒れれば」
必然的に女の勝ち
ガシャァァーン
陶磁器の皿でディスプレイの発生機を叩き割った
それでも怒りがおさまらない
「はぁ?はぁあぁぁー!!?」
なんだよこれ、なんで美談にしてんだよ
仲間割れする予定だったのにお互いが協力し返り討ちにしたのだ。これによって関係がより良くなったと思うと
胸糞の悪い最悪の終わり方だ
途中まではよかったのに、それもこれも全部
「だいたいなんなんだ、あの乱入者は!さっさと消してしまえ!」
「しかし、今回は仮想空間の出来事ですし」と渋るプロデューサーにしつこくやるようにいってようやく行動に移してくれた
「はぁ、そーですか。社長が言うんじゃ仕方ないですね。
『アーティファクトは不明な点が多い、これによって仮想空間で死んだプレイヤーは現実でも死んだことになる』こんな感じでどうでしょうか?」
「それでいい、さっさとしろ!」
カズナリだったか、気に入らん連中だ。
だがこれでいい気になるなよ
運営の力を持って必ずや潰してやるからな




