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手のひらの上の戦争



「皆様に集まっていただいたのは他でもありません。これから皆様には殺し合いをしていただきます」


ひと昔前に流行った『デスゲーム』の一文みたいなことを実際に言われるとは誰が思おうか



「とは言っても実際殺し合うわけではありません。先日回収したアーティファクト『箱庭戦場』のエネルギーを補給したいのです。」



俺たちに見せられたのは人形を入れて遊ぶような戦場を模したジオラマだった


「このジオラマと殺し合いが何か関係あるのか?」


「これを解析したところ定期的に複数人間を取り込み、その時に発生する『闘争心』をエネルギーに変換していることがわかったのです。」



アーティファクトというのは強力な力を持つため迂闊には破壊できないそうだ

実際、夢見の巫女の予知では破壊した時、エネルギーが枯渇した時に大いなる災いが国に降りかかると釘を刺されてしまった


「それで俺たちに死んでこいと」


安い命だ。マッチ棒よりも軽く扱われているんじゃないか?


「はい、実際に死なないとはいえ、それ以外は実際の戦闘と変わりませんしまだわからないことが多々あります。エネルギーの変換のために一般人が危険に晒されるのはギルドの方針に反するので、どうか皆様の活躍を期待しております」


俺らには人権はない。仕事も選べない人間はさっさと言う通りに動け!

そんなふうに言っているように聞こえた

なんだろうか、このモヤモヤした気分は


「よし、負けないぞ!」

「いつでもこい、全員片っ端から潰してやるよ」


「カズナリさん」

か「あぁ、ここは辞退しよう」

アキナが不安げに俺の方に近寄る


明らかに俺たちを除いた全ての人間が異常すぎる。


ここにきた人間たちは皆『アーティファクトの処理』という内容で連れてこられた人間だ。


なのに味方同士で殺し合うことに関して皆違和感を感じないのだ

お前ら、仲間同士でどうしてそこまで躊躇なく戦おうと考えられるんだ


「よお、誰かと思えば追放された二人じゃあーないか」


「お前のことは知らんぞ」



俺を知る人間、この物言い、きっと


「〈ドンガメ亭〉の人、何の用ですか!?」

「そのダッセェ名前はやめろよ。今は〈薄氷騎士団〉っていう名前があんだからよぉ」


「なに!?」


ワザンの野郎ドンガメ亭の名前まで変えやがったのか。これでは完全な別物、バオさんが居た証は徹底的に消すつもりなのかよ


「ふざけるな・・・これじゃ完全にクランの乗っ取りじゃねえか!」

「新しいリーダーが決めたことだ。死んでしまった人間にそれを止める権限なんてねぇのさ」


「盛り上がってまいりましたね。この続きはこのアーティファクトの中でよろしくお願いします!」


なんだか乗せられてるようであまりいい気はしないが戦う理由はできた。

俺たちが箱庭に触れ、入り込むのを受付嬢は嬉しそうに見届ける


「それでは皆様、楽しんでいってくださいね!」



「なにが楽しんでこいだ、命のやり取りをしてるんだぞこっちは」



いつもなら隣にいる彼女はここにはいない。


最後に一人生き残るバトルロイヤル形式ということもあり皆出発地点がバラバラなのだ。関係的にかなり離されてた地点にいるかもしれない


ザッザッザッ


(誰か来たな)

足音からして男性?静かに歩くアキナではなさそうだな


(相手は魔法使いか、気付かれたら厄介だな)


いくら防ぐ手段があるとしても遠くから一方的に狙われてはなす術はない。

基本的に真正面からの戦闘しかやったことはないが闇討ちなんてできるのか?


ザッザッザッザッ!


「うおおおおおお!」


おいちょっとまて、何故俺は叫ぶ?

俺の体が勝手に叫びやがる。


「な、何者・・・ぐおっ!」


ザガッ!


幸い、反撃される前に一撃でトドメをさせたのはよかった。しかし、しかしだ


(俺の意思に反して俺が叫んだ?目立たないようにしたはずなのに)


「誰だ!?」

ザッ

「そこにいやがるのか!」

ザザッ


詮索はあとだ、さっさと逃げなくては


ザッザッザッザッ


「思ったより足音が聞こえるな。注意して動いても音が出てしまう」


ひたすら走り続け、なんとか追手を引き離すことに成功したようだ。さすがに疲れたのでここで休むとするか



|(殺気!後ろに誰かいる!)


ゴン!


間一髪、後ろから現れた敵に襲われる前に【カウンター】を仕掛けることに成功した


「こいつ、アサシンか。どうしてこいつの奇襲は成功したんだ?」


そういえば

このゲームギルドバウトオンラインには職業ごとに得意不得意があるような話は聞いたことがある。

アサシンの得意分野が闇討ちだから俺のようにバカみたいに大声を出して突撃をせずに後ろから攻撃できたと思えばしっくりくる。


「つくづく旧世代のゲームだな」


こんなとんでもルールマニュアルを見たが何も載っていなかったぞ?VR MMOはこれしかやったことはないがこれが普通なのか?


ゲームのシステム上戦闘は回避できないだろうな

あいつは無事だろうか?


俺が心配を寄せている時、離れた通りに見覚えのある人影があった


「アキナ!」


やった、彼女は無事だったんだ!

さすがは俺よりもゲームセンスが上なだけはある。


嬉しくて彼女の元に駆け寄る


俺は鞘から剣を抜き、一気に斬りかかる


ん?


ブン!!


「きゃあ!!」


何故だ。何故アキナを狙った


「か、カズナリさん・・・どうして?」


ち、違うんだ。今、体を操られていて

弁明しようにも口すら動かない



運営の野郎、協力できないよう操っているのか

しかも、仲のいい人間とは意思の疎通もできないときたもんだ


なんとか攻撃を外そうとするがすぐに標準が彼女に向く


攻撃すればいいんだろ


【シールドバッシュ】!


ドォッ!


少女の体が跳ね飛んだ。すまん。こうするしかないんだ

しかし、距離を離した。なんとかこれで少しは時間稼ぎができる


そういう風に世の中は上手くは回らない



「おやぁ?仲間割れかぁ?」



なんと、アキナが飛んだ先にワザンの部下がいたのだ


「まぁいいヤガミ様の施しのおかげで戦闘を避けられてたんだからなぁ。2人ともじっくりいたぶってから殺すとするかぁ」



やはり最後まで残っていたか。それもズルをして

おそらく俺たちは簡単に倒せると踏んで現れたのだろう


|(まずいぞ、アキナはさっきの攻撃でダメージを受けている。)


「なら、先に倒しますれ」


しかも相手は正確な剣撃で相手を翻弄する前衛職〈ソードマン〉

それに対し後衛職の彼女は杖を構える


「そうくると思って【魔法防御】を使用するぜ。」


「そ、そんな・・・」


ワザンの下っ端は魔法に対する耐性を上げてきた

仮に魔法を放っても一撃で倒すことはできず、返しでやられてしまう

俺が彼女を守ることができるのならまた状況は変わるが駆け寄ろうにも【かばう】にはもっと距離を近づけなければならない


「距離的にこの女を先に殺せるのは俺だ!たとえ俺が貴様に殺されたとしても、守れない事実には変わらん!何も守れないナイトとしての心の傷を貴様に刻みつけてやる!」


「あ、あなたなんかに私はやられません•••!」


そんな折彼女の杖は俺に向けられた


アキナ、お前・・・



最後に放たれた魔法に俺は身構える

それは決別の一撃か、それとも


ヒュン!


「ぐっ!」



しかし


痛くない。何かの効果を付与したのだ。そしてこの効果はー



「そうだ、俺は諦めない!」



なぜなら


「これを見てもそんなこと言えんのか、喰らえ!」


無情にも剣が振り下ろされる



ガキン!


「あれぇ、なんで?硬い!?」


下っ端は戸惑っている。

少女の柔肌を切りつけたはずなのに鋼のような手応えがあったからだ


「今、お前が斬ったのは俺の盾だ。アキナのスキル【範囲拡大】を使ってこれでガードの当たり判定を伸ばしたんだ」


よかった。こいつには会話はできるようだ


「てめぇから死にたいならお望み通り殺してやるよ!か【連撃】」


敵の斬撃のスピードが上がると共に盾の耐久力が下がってくる


「いくら防ごうが盾の耐久力が無くなった時!お前は死ぬ!無意味だったんだよ!結局お前の彼女も死・・・」


「そこに攻撃を受けるたびにダメージが上がる【怨恨】さらに【スイッチヒッター】で武器を持ち替え【カウンター】で攻撃されたらどうなるか」


「え?」


ガガガガガガ!!

その間も下っ端の斬撃は続く。

ゲームシステムの弊害がここで出てきたのだ


「ま、まさか!くそ、止まれ!」



ガガガガガガ!

しかし連撃は止められない。

盾の耐久力がなくなりダメージが入るがそれでいい。


あいつを倒せるなら


「行くぞ!【スイッチヒッター】【カウンター】!吹き飛べぇー!」


ゴシャアッ!


「ぶげべぇ!」


剣のひと薙ぎで敵が吹き飛んだ

そして敵を倒した時、俺は体力がなくなり死ぬ・・・


最後に立っているのはアキナ。お前だ



こうして味方同士の無益な殺し合いは幕を閉じたのだ




「体が勝手に?やっぱり仲の良い人同士だと積極的に襲うようプログラムされてたんでしょうね」


戦いが終わり、あったことをアキナと話した 


「俺が攻撃した時怖かったか?」

「はい、少し•••」

そのあと彼女は「でも信じてました。きっと誰に操られてたんだろうと」と付け加えた


「しかし、あの時指示もしなかったのによく俺に【範囲拡大】を使ってくれたな。」


俺の問いに彼女はかつ「それは・・・」と言ったあとすぐに答えた


「なんとなくカズナリさんの考えがわかったんです。カズナリさんだったらこんな感じでやるんだろうなって」

セパタクローです。別視点の話もかけたらいいなとか考えております。ではまた次回

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