タイトル未定2026/06/08 16:39
増毛を拠点にしながら、遠征もした。
今回ヒッチハイクで目指す先は、一部の独善的な旅人たちが崇める「北海道三大秘境岬」の一つ、雄冬岬だ。
そこで出会ったウニ丼は、今でも忘れられない。丼がでてきた瞬間、思わず息を呑んだ。これ、ご飯よりウニの方が多いんじゃないか? と疑いたくなるほどの贅沢な盛り。僕たち二人は迷わずビールを数本注文し、朝から豪華な宴会を始めた。
海岸に出ると、辺り一面カラスが羽を休めていた。その時、同行していた亮子さんが僕の袖を引いた。
「マツモ君、見て。あれ、蝦夷黒鳥よ。滅多に見られないの」
「……え? ただのカラスじゃないの?」
「何言ってるのよ。羽根の艶に気品があって、まるで皇帝でしょ? だから蝦夷黒鳥なの」
……もちろん、真っ赤な嘘だ。だが、陽気な日差しと昼間から飲んだビールのせいか、僕もその嘘を信じてしまった。
ここで、賢明な読者ならこう思うかもしれない。「マツモ、お前たち、なぜ二人でラブラブデートなどしているんだ?」と。
勘違いしないでほしい。ナンパしたわけではない。雄冬に行くと言った途端、「今日は彼女になってあげる。デートしよ!」と、彼女に拉致されたのだ。年上は大好物ときている。抵抗する理由など、どこにもなかった。
当初は増毛の宿に戻る予定はなかった。しかし、亮子さんが「国稀を売っているところを教えて」と譲らない。結局、渋々宿に電話を入れ、予約を入れることになった。
今になって冷静に振り返ると、僕は完全に亮子さんの「便利ーくん」だったようだ。だが、そんなふうに振り回される旅もまた、悪くない。
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雄冬岬白銀の滝




