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時渡りと屯所 -其の参-




「じゃあ行こうか」


「…はい」


声をかけられ、並んで歩き出す。


この人があの“沖田総司”なんだよね…。


新選組一番組の組長。幕末や新選組が好きなら知らない人はまずいない、幕末の有名人だ。


色素の薄い少し長めの茶髪を頭の中間で結っていて、背はうちより少し高め。そして色白。


「なに?」


じーっと沖田さんを見ていたら、涼やかな目と目が合った。


見てるのバレてた。


「いや、別に…」


「ふぅん、まぁいいや。着いたよ」


誠屋からしばらく歩くと、見えてきたのは立派な門を構えた壬生浪士組、のちの新選組の屯所。


「おおお…!!!」


やっぱり現代に残っているものとは威圧感が違う。


「ほら、ぼけっとしてないで行くよ」


「はいっ!」


屯所の門をくぐって、足早に歩く沖田さんの背中をひたすら追いかける。


こっちは前川邸の方だよね。


現代では前川邸の中は一般には非公開になっていて、見られるのは門と土間のところだけなんだよね。


「わぶっ」


「なにしてるのさ」


「すみません」


物珍しさにきょろきょろと見渡しながら歩いていれば、沖田さんが立ち止まったことに気づかず、ぶつかってしまった。


冷めたような目で見られ、肩を縮こまらせる。


「……調子狂うなぁ。近藤さん、総司です。ただいま戻りました」


沖田さんは不服そうに呟くと、目の前にある部屋に向かって声をかけた。


「総司か。入っていいぞ」


すると、中から低い男の人の声が返ってくる。


今、沖田さんが呼んだ“近藤さん”ってあの人だよね?幕末で壬生浪士組の屯所で、近藤さんってあの人しかいないよね?


そう!!

壬生浪士組、のちの新選組局長の近藤勇さん!!


「どうしよう。ものすごく目が輝いてるんだけどこの娘」


呆れた目を向けてくる沖田さんは見なかったことにしよう。


「総司、どうかしたのか?」


「なんでもないです。ちょっとしっかりしてよ」


部屋の中に向かってそう返しながら、沖田さんがうちの肩を揺らす。


「憧れの人に会えるので興奮してるだけです!!そんなことより沖田さん!早く入りましょう!」


「あーそういうことね。はいはい」


沖田さんが部屋の襖を開けた。

そこにはこちらを見つめる数人の男達と、


「あ"」


「…なんだよ」


むすっとした表情でこちらを見つめるうちを気絶させた張本人がおりました。


「だっ!?」


とりあえず、おもいっきり頭を殴っておいた。


うん!ちょっとだけすっきり!!


「いっきなり何すんだこの野郎!!!」


「あんたこそ、いきなりうちに何してきたんだこの野郎!!!」


男が勢いよく立ち上がって睨みつけてくる。


そんなことでビビると思うなよ!!


もう一発かまそうと拳を握り締め、殴る体勢を取る。


「ムカつくからもう一発殴らせろ!!」


「嫌に決まってんだろ!?つーか女だったら、もうちょいおしとやかにしろよ!!」


「はあ!?うちがおしとやかなんて無理に決まってるでしょうが!!気持ち悪い!!」


「それは言えてる!!そんなお前はオレも嫌だわ!!」


「はあ!?なんなのほんとに!?」


「なんでそこにキレんだよ!!自分で言ったことだろうが!!」


なにコイツ!!イライラする!!


お互いに頭突きでもかます勢いで、ガンを飛ばし合いながら大声で怒鳴り合う。


「………おい」


「マジであんた誰!?いきなり気絶させるとかありえないんだけど!!」


「……おい」


「お前が通報しようとすっからだろうが!!つーか、そこに話戻んのかよ!!」


「…おい」


「戻すに決まってるでしょうが!!美祢さんに聞いたけど魂の巫女って何!?」


「おい」


「それを今から全部話してやるから黙れよ!!」


「……てめぇもな神條(しんじょう)


「ああ"!?」


神條と呼ばれた男の後ろに、ゆらりと青筋を浮かべた黒髪の男が立つ。


威嚇するような声を上げながら振り返った男の顔が、真っ青を通り越して真っ白になったのがうちにも分かった。


「え、ちょ、土方さん?」


冷や汗を垂らす男に向かって黒髪の男が拳を振り上げる。


「いや、ちょ、ま、ぐあッ!!」


「!?」


そして脳天にクリーンヒット。

男が悲鳴を上げて畳に倒れ込んだ。


衝撃的な光景におもわず息が止まる。


え、この人生きてる?


長い黒髪が特徴的な男が、畳に沈んだ男を見ながら舌打ちをする。


「土方君。神條君を殴るなりなんなりするのは構いませんが、天宮君が驚いていますよ」


優しげな糸目の男が、黒髪の男に微笑みかけながらそう諭す。


いや、待て待て。殴るなりなんなりするのは構わないって言ったぞ、この人。


しかも仏のような微笑みを浮かべながら。

なにそれ、怖すぎない?


「んなこと知るか!だいたい、なんでこいつらは昔っからこうなんだ!?まったくもって変わってねえじゃねえか!!いちいち突っかかりやがって!!」


今、“こいつら”って言った?

まったくもって変わってねえ?


もしかして、沖田さんだけじゃなくてこの人達もうちのことを知ってる?


あと土方?この青筋を浮かべてる人が!?

あの鬼の副長、土方歳三!?本物!?


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