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Eresia Online ~とある少女の配信録~(体験版) ver.0.12  作者: 春ノ花子
第1章:ゲームスタート
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2-17 パーティ募集

「うーん、やっぱり無理でしたか」


 赤い光の輪を出しつつ始まりの街の広場でリスポーンした私は、ゴーレム戦の最後に試したことを思い出してため息をつきました。


『てか最後のアレって何をしようとしてたの?』


「あれはですね。ちょっと素手パリィを試してみようかと思って」


『……はい?』

『またなんかアリーシアちゃんが頭おかしいこと言い出した』


 《ウェポンパリィ》は双剣用のアーツですけど、《パリィ》自体は汎用のアーツなので全武器――正確には攻撃判定のある行為全般に対して効果があります。

 これには当然パンチやキックといった格闘も入るので、つまり理屈の上ではゴーレムの攻撃を素手でパリィすることだって可能なはずなんですよ。

 ということを力説したら、またリスナーさんから頭おかしい扱いをされました。……解せぬ。


「まぁその辺りは今後の課題ということで。で、ゴーレム戦が終わって新しく覚えた《アローパリィ》の詳細は……なるほど。どうやら遠距離物理攻撃に特化したパリィみたいですね」


 アローとは言うものの、物理攻撃でさえあれば何でも対象にできるみたいですね。と言うことは極端な話、銃弾やミサイルだってパリィできることになりますけど……これ言うとまたリスナーさんから頭おかしい扱いされるので黙っておきましょう。


「さて、確認も終わったことですしこれからどうするか……。私1人だとあのゴーレムを攻略するのは難しそうですし」


 多分首切りの双剣の耐久値がMAXだったとしても、ロックゴーレムのHPを削り切るのは無理だと思うんですよね。

 となると何か別の攻撃手段を増やすか、誰かの手を借りるか。


「まぁ、無難な選択肢としては誰かとパーティを組むってことなんですけど……」


 そもそも同レベル帯のボスモンスターはソロ討伐するようなものじゃないですし。

 問題があるとすれば、現状パーティを組んでくれるような知り合いがいないことですね。

 ……あれ? というか、未だフレンドリストに登録されてる人間が0ってかなりヤバイのでは……?


『冒険者ギルドに行けば臨時パーティを募集してる奴がいるんじゃね?』


「ああ、なるほど。その手がありましたか」


 そういえば冒険者ギルドの説明を受けた時に受付嬢さんがそんなことを言ってました。

 アドバイスをもらった私は早速冒険者ギルドに向かいます。


「えーっと、パーティ募集なんかは2階のラウンジでやってるんでしたっけ」


 階段を上ったラウンジはぱっと見、喫茶店のような感じになってました。

 いくつも並んだテーブルとイス、壁の一面には1階と同じように掲示板(クエストボードと区別するためにこっちは募集板というらしい)があって、パーティ募集などの情報はここに掲示するっぽい。

 覗いてみるとパーティ募集以外にも、取引依頼や生産依頼、プレイヤー主催のイベントなんかの情報も載ってます。


「おっ、ちょうどいいのがありますね」


 【急募】鉱山街までの臨時パーティ募集、前衛推奨、募集人数残り1人。募集期限はゲーム内時間で今日の夜まで。生産主体のメンバーで鉱山街に向かうため戦力を募集。

 募集終了時に顔合わせのため、このラウンジに集合して連携や役割の確認をする、と。


「えーっと応募は……よし。後は夜の顔合わせですね」


『その時は配信するの?』


「あー、顔見せの時は配信無し。その時に確認を取って大丈夫だったら後で配信します」


 配信に映りたくない人もいるでしょうしね。ちゃんとその辺は配慮しないといけません。


「さて、夜までちょっと時間があることですし、今の内にクロさんたちの工房に行ってゴーレム戦で減った武具の耐久を回復してもらいましょうか」


 というわけで、一旦冒険者ギルドを出てクロさんたちのお店へ移動します。


「こんにちは~」

「おやアリーシアさん、どうしました?」

「どうもシロさん。装備の耐久値を見てもらいたくて」

「中へどうぞ」


 中に入ると、珍しくカウンターにクロさんの姿。

 どうやらシロさんとお茶をしてたみたいです。


「兄さん。アリーシアさんが武器の耐久を見て欲しいんだって」

「はぁ? こないだ作ったばっかりだろうが。どんな雑な使い方したんだよ?」

「いやぁ雑に使ったつもりはないんですけど……」


 そう言って、カウンターの上に首切りの双剣と初心者の双剣を置きます。


「……首切りの双剣はともかく、こっちのはお前達渡り人が最初から持ってるやたらと耐久値が高いやつだろう? それがなんでこんなにボロボロになってんだ?」

「ちょっと荒野のゴーレムとやり合いまして……」


 ここで双剣を受け取ってから荒野でのアレコレまでを詳しく説明すると、何故か2人から呆れた視線で見られました。

 うーん、この視線はグラスランナーの集落でもよく向けられてましたね……。


「……まぁ、事情は分かった。そもそも双剣ってのは他の武器に比べて耐久値が減りやすいから、予備の武器か修理キットを持ち歩くのが普通だぞ」

「修理キット?」

「お前、それすら知らないのかよ……」


 クロさんによると修理キットはその名の通り装備の耐久値を回復させるアイテムだとのこと。


「それだと鍛冶屋の仕事が無くなるのでは?」

「修理キットで表面は綺麗になってもダメージは蓄積されていくからな。ちゃんと鍛冶屋でメンテナンスしないと壊れやすくなるんだよ」

「なるほど」


 日頃のメンテナンスは自分でやったとしても、定期的なメンテナンスはプロに任せた方がいい。多分表面に出ていないマスクデータ的な部分が関係してるんでしょう。

 とりあえず修理には丸1日かかるとのことだったので、武器を預けて店を後にします。


「お、ちょうど暗くなり始めましたね」


 時間を見て冒険者ギルドへ。ラウンジのテーブルの1つにそれっぽいグループがいたので、近くに行って声をかけます。

 男性1人に女性が4人。特に固定メンバーというわけでもないらしく、まずはそれぞれ自己紹介。


「儂は地雷也。一応今回の臨時パーティのまとめ役をやっとる」


 地雷也さんは髭を生やしたドワーフの男性ですね。

 メインがクラフトマン、サブがファイターで、今回のパーティではタンク役を担当するとのこと。


「ボクはMugko! 同じグラスランナー同士仲良くしようね!」


 Mugkoさんはなんとグラスランナー! しかもボクっ娘!

 クラスはメインがシーフ、サブがレンジャーで、基本は短剣でのヒットアンドアウェイ、距離がある時は短弓で攻撃も行うらしいです。


「あの、私、みみみっていいます」


 みみみさんはもこもこした羊獣人の女性。

 この世界の獣人はどの程度動物的な見た目を備えているかに差があり、その度合いを『ケモ度』で表現します。ケモ度1でケモミミや尻尾、ケモ度2で牙や爪が鋭くなり、ケモ度3だと体の一部が毛皮になったりするそう。

 みみみさんは全身が羊っぽいもこもこした毛で覆われているので、多分ケモ度3ですね。

 クラスはメインがマジシャン、サブがクラフトマン。このパーティの魔法アタッカーになります。


「あちきはネコさんにゃ!!」

「『さん』まで名前なんですか?」

「そうしておけば全員からさん付けで呼ばれるからにゃ!」


 そんな理由……?

 ネコさんはケモ度2の猫獣人。クラスはメインがレンジャー、サブがクラフトマン。

 すでに鉱山街には到達済みで、今回はみみみさんにお願いされて護衛として参加したそうです。


「私は伊佐美と申します」


 伊佐美さんは着物を着た黒髪の和風美人さん。

 武器は薙刀で、生産は料理を嗜んでいるそうです。

 メインがクラフトマン、サブがフェンサーで、今回のパーティだと前衛アタッカーになりますね。

 そして最後は私の番。


「私はアリーシアといいます。メインはシーフで、サブはまだ取ってません。見ての通りグラスランナーのシーフですので、道中ではともかくゴーレム戦ではダメージは期待できません。なのでその時は回避盾兼アイテムヒーラーをしようかと思ってます」

「回避盾って……大丈夫なのか?」

「まぁゴーレムの攻撃は基本当たりませんし」


 一応ゴーレムには1度挑んでいること、その時にダメージが出せずに死に戻りしたこと、基本的な攻撃なら全て対処可能であることを説明します。


「そういうことならよろしく頼む。儂もサブタンクがいるのは助かるしな」


 というわけで私はサブタンクに就任。

 その後、簡単な打ち合わせをして、明日の予定を確認しその場で解散します。


「じゃあ、明日はリアルの20時頃にはログインするように」

「了解です」

「わかったにゃ」

「はいは〜い」

「それじゃあ皆さん、また明日」

「あの、じゃあ失礼します」


 私もラウンジがらギルドの1階に降りて。


「さて、もう少しだけ頑張って明日のボス攻略のためにやれることをやっておきましょうか」

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