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KING  一度は諦めた舞台で。  作者: 銀乃矢


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第23話「安達の奇跡」

過酷な暑さの中、レースが進む。

その時、守谷のもとに衝撃の無線が届く。


『ミスターモリヤ…気持ち悪い…』

「まずい…熱中症の可能性がある…」

「どうします?守谷監督」

「リタイアさせる。アンドレッサをピットに戻してくれ」

「わかりました。」

隣のエンジニアがアンドレッサを呼び戻す。


70号車が戻って来る。

そしてガレージに引き込まれ、アンドレッサが降ろされる。

ぐったりした状態であったため、メカニックが背負っていく。


「とにかく体を冷やしてあげて!」

アンドレッサがレースをリタイアした後もレースは続いていく。


しかし、田邊はスタート直後の接触によるスピンから順位を取り戻そうとしていた。

そしてエイデンは接触の影響でタイヤがパンク。

EFTC勢は全滅。

VERTEの安達が唯一表彰台を狙える4位を走行していた。


『安達、今4位、4位だ。後ろのメルセデスとの差は2.4秒。前のフェラーリとの差は1.3秒。』

永野のミラーには赤と黒のVERTEのマシンが見え隠れしていた。



「あれってトヨタのレーサーだよな。すげぇな。でも、ルーキーがベテランに勝てるかなぁ?」


安達は果敢に永野にアタックを仕掛ける。

「オーバーテイクモードオン!」

安達がステアリングのボタンを押すとフロントウイングとリアウイングが稼働し、オーバーテイクモードになる。

同時に、バッテリーからモーターに供給される電力量が増加し、加速していく。


安達は1コーナーで永野のイン側に飛び込んでいく。

一気にオーバーテイク成功。



「きさまぁ!」

永野は失ったポジションを取り返そうと必死になる。

そして低速コーナーに来る。


「もらったぁ!」

永野は安達のイン側に強引に飛び込もうとする。

しかし、熱くなった永野は気づかなかった。

自分がオーバースピードでコーナーに進入していることを。


フェラーリのリアタイヤが滑り出す。

それに気づいた安達は即座に加速する。


そして真っ赤なマシンは進行方向に背を向けて止まる。

『安達、3位、3位だ!表彰台狙えるぞ!』

「っしゃあ!」


1位は松下、2位にハリソン・ジャクソン。

3位に安達の順でファイナルラップに突入する。



レース終了を告げるチェッカーフラッグが振られる。

1位で松下がレースを終え、今年のワールドチャンピオンを確定させた。

そして3位で安達が通過する。

『P3!P3!Good job!Well done!』

「Yeeees!」


3位のボードの前にマシンが止まる。

そしてマシンから勢いよく飛び降りた安達は初の表彰台獲得に感情を爆発させていた。


「やったぞぉー!」

そしてスタッフたちから激しい祝福を受ける。


3人が表彰台に集まる。

その時、安達が声をかけられる。

「安達くんだよね?すごいね、頑張った」

「あ、ありがとうございます」

松下と安達が握手する。


そして、表彰式を終え、VERTE F1チームが歓喜に湧く中、最終戦アブダビでのリベンジに燃えていた。


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