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KING  一度は諦めた舞台で。  作者: 銀乃矢


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第20話「教え」

3台が走り出していく。

それをピットガレージの中から見守るアンドレッサ。

彼は少し悔しそうだが、彼なりに結末を見守ろうと決めていた。


ベテランだろうとやはり苦しいコンディション。

フェラーリの永野もたまらずスピンアウト。

「くそっ」

なんとか復帰しようとするも、雨で濡れた芝がトラクションを奪う。

抜け出すことができず、結局マシンを降りることになった。


アタックを1回終え、バッテリーの充電をしていた田邊に無線が入る。

『永野がスタックした、永野がスタック、赤旗になるからピットに戻ってきて』

「了解」


サーキットを走っていたマシンたちが戻って来る。


田邊のマシンがガレージに引き込まれる。

飛花はピットに戻って来て、ブレーキバランスをいじったり、デプロイメントモードを再設定し、次のセッション再開に備える。


その時無線が入る。

『アスカさん、さっきの走行なんですけど』

「アンドレッサ?どうしたの」

『6から10コーナーまででライン取りが少しずれてます。もう少しエイペックスにつくタイミングを早くしてみてください。そうすればコーナーの脱出速度が少し伸びます。試してみてください』

「あら、ありがとう。やってみるよ」

まさかのアンドレッサからの教えを得られた。


5分後、予選が再開する。

ピットレーン出口の信号も青になり、予選再開を待っていた10台のマシンたちがぞろぞろとピットレーンを出てくる。


「この位置がどうなるか…前に詰まらなければいいけど…」

雨の降り方は変わらない。


水煙が巻き上がる。

視界は絶望的。

でも、世界トップクラスのレーサーたちだ。

視界がなくとも自身の勘、経験からまるで前が見えているように走り抜けていく。


そしてタイマーが0になり、ストレート上ではチェッカーフラッグが振られる。

予選終了の合図だ。


そしてこの雨で誰もが諦め気味の走行をする中、田邊だけがまるでアイルトン・セナのように雨の中を疾走していく。


世界中のファンたちが田邊の渾身のアタックに釘付けになる。


モニターに表示されるセクタータイムは最速を意味する紫の文字で表示されていた。


「すげぇぞ…田邊、今までで一番最速のタイムを出せるんじゃないか…?」



「乗れてる…なんだか、レールの上を走ってるみたい。」

飛花はマシンの完成度の高さに感動していた。


そしてホームストレートに向けて加速してくる。

フィニッシュラインを通過する。

1位。

最速のタイムを記録する。

そして国際映像には前のマシンが巻き上げた水煙を切り抜けてくる飛花のマシンが映し出されていた。

それはまるで、ヒーローのよう。



予選の結果、EFTCの田邊がポールポジション、エイデン5位、VERTEの安達が7位、アンドレッサは予選に出走できず、24位となった。


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