第1話「問題山積み」
しかし、国際映像によく映し出されたのはテールパイプから白煙を吹き上げるVERTE TOYOTAのマシン。
「おいおい…もう3基目だぞ…」
揉めているファクトリーのスタッフたち。
「予算も少ないから開発もまともにできない。」
ハンガリー GPを終えた時点で、13戦で9回のリタイア。
上層部は
「この結果だと〜、これは予算削減せざるを得ないよぉ〜」
「勝てないのならやる意味はない。」
といった声をぶつけてきた。
「1年目から勝てるわけねぇだろ…ましてやまともに開発も進まないチームで」
おそらく、上層部は2009年に猛威を振るったBRAWN GPのようなドリームチームを思い描いているのだろう。
夏休み明け。
「守谷代表、次の大会から故障箇所を改善したパワーユニットが投入される予定です。」
「わかった。」
新設計のパワーユニットがVERTEの2台に搭載された。
彼らは事態が好転することを願っていた。
しかし、現実は非情だ。
安達響希のマシンのパワーユニットがまた燃える。
「次の大会で安達は交換ペナルティか…」
安達のマシンはパワーユニットの変更可能回数上限を超えてしまった。
「でも、ストベルグがなんとかポイントを取ってくれたからOKか。」
イギリス、オックスフォードのトヨタF1拠点。
守谷は安達のマシンに搭載されていたパワーユニットの故障箇所を探る。
「なんでこんなにこのパワーユニット燃えるんだろうか。」
3基のあちこちが焦げたパワーユニットを見る。
MGU-Kという発電装置が壊れていることに気づく。
「MGU-Kか。どのパワーユニットもここが壊れてる。異常振動とかが起こっているのかも。」
「他には…」
エンジン全体を見るとまた壊れている箇所に気づく。
「ターボか。」
パワーユニットの開発者に聞いてみる。
「これ、素材何使ってるの?」
「1000系のアルミ合金です」
「そうか。ありがとう」
「1000系かぁ。壊れやすいなそりゃ」
1000系のアルミ合金は加工性が高いなどのメリットもあるが、熱伝導率も高い。
パワーユニットにとって熱害は死活問題。
「とりあえず、外部からの振動に耐えられるMGU-Kの開発とターボの素材を変更かな」
「ターボは7000系のアルミ合金に変更、MGU-Kは外部からの振動に耐えられる構造に再設計、っと」
East Fuji Technical Centerではスペック2としてこのターボとMGU-Kを見直したものを投入することで決まった。




