第14話「比較」
練習走行前最後のミーティング。
「じゃあ、今日の練習走行はこのプログラムを各々こなしてもらう。」
そしてスタッフたちがミーティングルームを後にしていく。
「あ、田邊、安達、ちょっと残れるか?」
「大丈夫ですよ」
「僕も大丈夫です」
「実はお前ら2人に新設計のパワーユニットを搭載することが決まった。」
「そ、そうなんですね」
「ぼ、僕に?」
「あぁ、ベテランの飛花とルーキーの安達でどんなデータの差があるかを比較したい。」
「わかりました」
「新しいパワーユニット楽しみです!」
練習走行が始まる。
新設計のパワーユニットを搭載した2台のタイムと、従来のパワーユニットを搭載したエイデンとキャロルのタイムは
コンマ数秒の差が出る。
「すごいな…新しいパワーユニット、速くなってる。これ、1周でこの速さなら数十周走ればかなりの差になるぞ…」
練習走行が終わり、マシンがピットで分解される。
そのタイミングでサイドポッドも取り外され、パワーユニットが丸出しになる。
キャロルがマシンのフィーリングをエンジニアに共有する。
そして、パドックのモーターホームに戻ろうとした時、キャロルは安達のマシンの違和感に気づく。
「あれ、このパワーユニット、排気系の取り回しが俺のと違う…」
そのことが気になったキャロルは安達に聞いてみることにした。
「あ、安達、お前、俺のマシンのとパワーユニットが違う気がするんだけど、何かしてる?」
「いや、守谷代表が勝手にやってるんじゃない?」
「そうか…」
そして、2チームの統括をする守谷に話を聞きに行く。
「ミスター守谷。安達のマシンに何かしたのか?」
「なんだ、急に」
「教えてください。安達のマシンに乗っているPUのエキゾーストパイプの取り回しが違ったんです」
「…」
「実は、今週、安達と田邊のマシンにスペック2のパワーユニットを搭載したんだ」
「…!」
「アスカへの搭載は納得できるが、なぜアダチ?マシンを壊すリスクだってある」
「ベテランたちの走りのデータは揃ってる。だから今回はルーキーからデータを…」
「ふざけるな!あんたがそんなことしてるからトヨタは勝てないんだ!あのPUだって俺に搭載してくれればポイントだって大量に獲得できる!」
「今回は決定事項だ。この3連戦でデータが揃えばお前のマシンにも搭載する。」
怒りのあまり、右手を強く握り込む。




