第13話「新しいパワーユニット」
そんな歓喜に湧いているころ、日本、East Fuji Technical Center。
「VERTEXさんとの提携でここまで設計できた。まだ向こう(イギリス)にはこのことは話してない。向こうが必要と連絡してきたときには完璧なパワーユニットであるように。故障する可能性を絶対に潰す。」
そしてVERTEX JAPANの工場ではトヨタが設計したパワーユニットが高負荷テストに臨んでいた。
その様子を斉藤代表も見守っていた。
「じゃあ始めろ。」
「わかりました。」
スタッフがスタートボタンを押す。
するとパワーユニットが唸り始める。
すぐにパワーユニットは高回転域に達する。
「1万回転突破!」
「デプロイメント起動!」
もう1人のスタッフがデプロイメントモードを切り替え、バッテリー内の電力をパワーに変換する。
さらにパワーユニットのパワーが引き上がる。
そしてパワーが下がっていく。
「目標値に到達できました。これでBスペックとしてトヨタに引き渡しできます。」
F1ベルギーGP後、ピットガレージにて。
パルクフェルメからマシンが返還され、ピットに戻ってくる。
それを見ながら今日の振り返りをしていた田邊。
守谷に今日の決勝レースで感じたことを話していた。
「やっぱり、ストレートでのパワーが足りない感じがするんですよね」
「そうだよな〜…バッテリーのパワーだけじゃカバーしきれない。そろそろ新型も開発してもらってもいいかな…」
そうして田邊との振り返りを終えた守谷はスマホを取り出し、East Fujiにいる部下に連絡を取る。
〈久しぶり、篠原くん。お願いがあるんだけど、PUを開発してほしい〉
すぐに返信が来る。
〈待ってました!もう開発出来てます!〉
守谷は驚く。
「はっや。もう出来てるん?」
〈来月にはオックスフォードの拠点に2基新造PU持っていけるかもしれないです〉
「わかった、っと。」
本当に翌月、オックスフォードの拠点に2つ新造PUが届く。
パワーユニットが入っているコンテナを見ながら迷う。
「誰にこの新型PUを搭載するか…」
トヨタの4台の中でチャンピオンの可能性が高いのは田邊飛花。
EFSで連覇の経験もあり、F1でも上位争いの可能性があるエイデン・タケダ・フィーレン。
堅実な走りで着実な結果を出してくれるキャロル・ストベルグ
未熟なところはあるが、輝くところのある安達響希
飛花に載せることは確定
あと1基は誰のマシンに載せるか。
「田邊に載せることは確定だが…もう一つもベテランに載せるべきか…でもそうすればデータはたくさん揃えられる。」
「ただ、ルーキーに載せてみるのも面白いかも知れない…」
「よし、安達にもう一つを載せよう。」
理由はルーキーなりの走りで新型PUの機能性はどうなるか
この新設計のパワーユニットが搭載されるのはイタリアGPから。
パワーが出しやすくなったパワーユニットの真価が試される。




