新世界
籍を入れて数日後。
祝いの花束を持ってやって来たカズマは、まさか会ったその日に結婚決めるとは思わなかったと言ってクロのつくったハヤシライスをがつがつと食いながら祝福の光を降らせた。
「お前も器用になったな」
その雨を俺は薄く張った傘で受ける。
「フミさんのおかげだよ。あの経験が無かったらこんなに早く上達しなかったから」
カズマはハヤシライスを平らげ窓辺で就寝する川を見た。
そこにはシロクロカスミちゃんが川の字になって寝ていた。
シロとクロは2次成長的なものに突入したらしく微妙に男らしく女らしくなった。でもシロはかわいいし、クロはふてぶてしい。カスミちゃんは俺の子を妊娠中だ。
早いって? まあ、色々あるんだよ。
「で? 結婚が決まった理由は何なんだったんだ?」
「お前が言ったヤツだよ」
俺はくくくっと笑った。
「俺? なんか言ったっけ?」
首を傾けて悩むカズマの耳に顔を近づけて一言、蛇だと囁いた。
「え? ええ? マジで? 誘惑の蛇関連?」
「そうだ。正確には俺の蛇が蠱惑、カスミちゃんの蛇が誘引。ついでに言うとシロが魅惑でクロが誘導」
「ちょっ、あの子たちにも蛇が?」
「お前にもいるんだぞ。まあ、おいおい分かるから言わないが」
「おまっ、気になるじゃねーか。でももっと気になるのは数日でどうやってカスミちゃん孕ませたんだよ」
「それも蛇関連だ。だが、禁則事項が多いから俺はお口にチャックしちゃうぞ」
俺は黒い棒を生成してバツを作り口に貼り付けた。
「それも気になるうー」
そう言って笑い合っていると窓の方からごそごそと音がした。起きてしまったか。
「おあひょうごやいまず」「おはよう。トウサマ。撫でて」「フミさあん、怖い夢見たあ」
はいはい、順に撫でますよー。
そんな光景を大笑いして見ているカズマにはあとでケリが入った。クロから。
それを見て俺たちは笑った。
酔ったカズマを家に帰した次の日、俺は会社に辞表を出した。
引き継ぎもつつがなく終わり有給消化の断りで一波乱あったが無事退職をする事ができた。
貯めたカネを上の口座に移動させカネへの憂いも無くなった。
それからしばらくしてカスミちゃんが子を生み、それを喜ぶ間もなくシロとクロだけじゃなく俺たち家族まるごとにオファーが来た。
それは、新たな世界への、旅立ちだ。




