第五十六話 黄昏時
『こちら第二部隊隊長。隊員は一名を残し、全滅です……』
『こちら不時。了解した』
次々に背中に十字架がある上級アルファに殺されていく仲間達。
悲報を聞ける仲間もいれば、聞けない仲間もいた。
悲報は止まることを知らず、一向に減らない。
「っ」
「ぐわぁああああ」
対空砲を撃ち、周辺にいるアルファを木っ端微塵にしてゆく。
対空砲の威力は凄まじく、当たればアルファの急所である頭を簡単に破壊した。
「狙いどころは正解だったな、生見さん」
裏切り者として、処理されてしまった生見さん。
対空砲の存在はもしかしたら生見さんがいなければ分かっていなかったかもしれない。
「どうしてだったんだろうな」
その心理はもう、解明することができない。
謎のまま消えていった……。
「ぐわぁあああ!!」
「っくそ」
撃っても撃ってもキリがない。
「嘘だろ」
ここで弾切れだ。幸い俺の周りにはまだ下級アルファしかいない。
俺はフードを被り、目を隠した。
「?」
俺の存在が認識できず、俺のことを探しているアルファ達の足元を通り抜け、俺は空に鎮座している巣へ向かい走る。
「河野殿」
「小香か。無事か?」
「我は大丈夫だ。さ、急ごう。そろそろ黄昏時だ」
腕時計を見ると、あと五分ほどで十八時を針が指す所だった。
「これ以上仲間の悲報を聞くことはできない。だが今の状況で上級アルファ達は交信するか?」
「こちらに仲間を呼ぶためにするかもしれない。時間は未知。長くて三十分、短くて五分と言ったところか。黄昏時になる前にできるだけ女王に近づいておかなければ」
「そうだな」
こちらに向かってくるアルファの頭を狙い、弾を発射する。
「上手いな河野殿。何かしていたのか?」
「んなわけぇねだろ。物騒すぎる」
才能があったのか、あまり練習しなくても的に当てられた。
鞄に大量の弾を用意しているため重いが、それなりにアルファに対応ができる。
アルファの急所が頭だって教えてくれたのは死んだ仲間達だ。
彼等は今の俺や俺達が生きていくための、戦うための手段を見つけてくれた。
本当に感謝しかない。
「っふん」
小香が手を横に振ると、沢山の結界が出てきアルファ達の頭を砕いた。
『こちら不時。河野君、今どこにいる?』
「こちら河野。小香と合流して一直線に女王がいる巣へ向かっている」
『そうか。こちらも周りのアルファが対処でき次第すぐに向かおう』
「頼む。黄昏時が来るまでにできるだけ女王に大人数で接近しておきたい」
『了解した。こちらから各隊へ無線しておこう』
「あぁ」
上級アルファが来ると小香と協力し、頭を破壊する。
それを繰り返していると時計の針は十八時を指していた。
「あれが、黄昏時……」
あまり気づかなかったがビルの隙間からはオレンジ色の日の光が差していた。
その光はとても美しく、幻想的だった。
それと同時ぐらいに巣の近くから沢山の青い光が見えた。
「あれが交信か」
状況を見てすぐに理解できた。
「あれだけの数が交信してくれると有難い。すぐに向かおう」
「おう」
巣までは残り二百メートルほど。
すぐに向かい、女王と戦い小香に聖生を破壊してもらわなければ。
『こちら第三部隊隊長。巣がある周辺に到着しました! どういたしますか?』
「こちら河野。小香と一緒にそちらに向かっているが先に始めていてくれると有難い」
『了解! では女王討伐を始めます』
先に到着した第三部隊が先に女王への攻撃を始めてくれるようだ。
俺と小香も急がねば。




