第五十五話 違う世界線の主人公
「なぁ衣月。これからどうなんの?」
「それ本当に知りたいか?」
「うん」
少年は言った「この先が知りたい」と。
見舞いに来たもう一人の少年は自分でプレイせず、先を知りたいという少年に驚いていた。
「たしかに先を知ったら面白くないかもしれない。けれどこの前も言ったけど自分の名前でプレイしてるからどこか他人事に思えなくて、先を知って安心したいんだ」
「なるほどな。たしかにゲームの親友の名前は俺と同じ名前だしな」
「尚更、ね。同じ病院に入院してる、僕の好きな子も主人公の好きな子と同じ名前だし」
「あ~そうだったな」
「研究者が発表した、別の世界があるって証明はもしかしたらこのゲームかもね。境遇は違うけど名前が同じ、親友同士だったり、好きな子だったり。もしかしたらこのゲームは僕達が違う世界線になった姿かも」
「……」
「妄想しすぎた? 変だよね、少し同じことがあっただけでこうなるなんてさ」
「別に変じゃねぇよ。俺は別の世界があるって信じてるから最初からこのゲームが別の世界のことを題材にしてるかもって心のどこかで思ってた」
「衣月も同じだったんだね。嬉しいや」
「おう。最後教えてやるよ」
「うん」
「最後は____」
「……そうなんだ。死んじゃうんだね、あの子」
「あぁ。知りたくなかったか?」
「ううん。どうせ知っちゃうんだよ、心構えが先に出来てた方が良かったから教えてくれてありがと。最後は苦しい展開になるけど絶対に最後までプレイするって約束する」
「あぁ、約束な」
小指で約束を交わす姿。
どこかで見覚えのある光景。
少年が言うように、彼らは本当に水谷達が別の世界になった人物かもしれない。
「よし」
少年はゲーム機を開き、ゲームを開始した。
少年の胸にある人工心臓は今だ動き、少年の命を繋いでいた。




