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黄昏時、俺は生きた  作者: 田中ソラ
最終章 討伐
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第五十四話 最終討伐作戦、開始

「さ、準備はできたかね」


 四日後、八月一日、午後十七時。


 黄昏時まで残り一時間を切った頃。俺達は作戦開始の合図を待っていた。


 それぞれの想いや意思、力強い勇気を持ちこの場に立っている。


「作戦開始の前に、少し話があるんだ」


 おもむろに語り始めた不時さん。その顔には少しの迷いが残っているように感じた。


「ここまで着いてきてくれてありがとう。感謝の言葉をここで述べさせてもらうよ」


「そんなこと……」「司令官」


 少し動揺しているような、だけど何も動揺していないような。矛盾が残る行動をしてしまった。


「私は最高司令官として、皆を導けていただろうか。人生の先輩として、皆を励ませていただろうか」


 不時さんが始めて不安を零した。


 不安そうで、揺れている瞳。今にも泣きそうな子供のような顔。


 初めて見る不時さんの表情は、とても悲痛なものだった。


「俺は、俺は不時さんがいてよかった」


「河野君……」


「俺がここまで口出しできるのは不時さんのおかげだし、アルファ出現日からこれまで犠牲者があまり出ていないのは不時さんの判断が良かったってのも必ずあるはずだ。俺は不時さんがいて、絶対に良かったと思ってる」


「俺も、俺もです!」「僕だってっ」


 それぞれの想いを口に出す隊員。


 そんな隊員を見て、不時さんは涙を零した。


「今までありがとう。君達に生きて会えると嬉しいよ」


 ヘルメットを被り、そう零した不時さん。


 ここにいる全員が生き残れる保障は一切ない。


 誰が死んで、誰が生きて。


 誰がこの日本を作り直していくかなんて分からない。


 だけど皆分かるんだ。


 “この先、作り直される日本は安全だってことを”


「では作戦を開始する」


「「「了解!!」」」


 皆、それぞれの想いを胸に隠し、アルファ討伐への道を駆けた。



「こちら河野。隊長達に告ぐ、最終確認だ。下級アルファは目を隠していればやり過ごせるが、上級アルファ。すなわち背中に十字架があるアルファはある程度の認識はできる。十分に気をつけて行動するように」


 最終作戦会議で俺や小香が知りゆる情報は全て渡した。


 それでも、分からないことは多い。


 だからその場その場で対応していかなければならない。


 方角や数メートル単位でも状況は違う。


 ここから先は自ら判断するしかないんだ。


『こちら第一部隊隊長。アルファの群れを確認。東に注意』


 部隊は全部で十部隊ある。こちらには四百人ほど残っているから一部隊、四十人ほどだ。


 部隊事に隊長がおり、ある程度のことはその隊長が指揮している。


 俺は不時さんと草壁さん、小香で構成されている特別部隊にいるため、ある程度指示する隊長がいるわけではない。


 だから全、隊長と通信できる無線機を持っているし、不時さんや小香とすぐに相談もできる。


 俺はこの部隊の中で、重宝されてしまったのだ。


「はぁ。俺なんか……」


 俺なんか、重宝される分際ではない。


 だけどもし、俺がアルファに取り込まれてしまえば確実にこちら側は不利になる。


 こうなることは見えていたはずだ。だけど、どこか普通に扱ってくれることを望んでいたのかもしれない。


 もう、普通じゃないのに。


『小香だ。河野殿、よいか』


「どうした?」


 突然、小香から無線が飛んできた。


 何か緊急なことでも起きたのか?


『河野殿は、普通だ。普通じゃない我が言うんだ。絶対に普通だ』


「……」


 小香には俺の心はバレてしまっていた。


「フォローしてくれてありがとな、小香。気を遣わなくて大丈夫だ」


『気なんか……』


「俺のことなんかどうでもいい。作戦に、アルファ討伐に集中しよう」


『……分かった』


 プツっと切れた無線。この辺りにアルファはいないのか、自分の呼吸音しかしない空間。


 どこか、自分だけ世界が違うような気がしてくるほど、静かだった。


「行くか」


 ライフルを背に背負い、目の前に置いていた対空砲を押した。

勉強、しんどいなぁ~

小説を書いて、投稿するのが最近一番の楽しみです。

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