第五話 森の異変
「ひ、東の森から何かが来るぞーーーっ! 早く逃げろ!」
誠たちが初めての魔法成功に沸いていたその直後。
森の奥から、王国の下級魔導士たちの必死の絶叫が響き渡った。
数分前まで一斉に魔物を狩っていたはずの彼らは、今や装備をボロボロにし、なりふり構わず誠たちのいる野営地に向かって全力で走ってきている。
森の奥から、何やらとんでもない魔物が現れた。
「な、何があったのよ!?」
ただ事ではないことをルミナと誠は察し、安全なところに一時避難させた。
「一体森では何があったのよ。」
ここの森では絶対にでない、特級魔獣『ジャイアント・スネークケース』が出たのさ
下級魔導士は絶対に太刀打ちできない。せめて中級魔導士が束にならないと勝てないような存在だ
今、下級魔導士の一人が王国へ援軍を呼びに行ってる。それまでここを持たせる予定だったが流石に
私たちじゃ無理だった。
この世界では魔獣が存在している。魔獣には五つのランクがある。下から、下級魔獣、中級魔獣、上級魔獣、特級魔獣、神獣の計五つのランクがある。
その中で今回は特級魔獣がいたのであった。
一方、そのころ誠は一人でまたのんきに考えていた。
(ジャイアント・スネークケース?王国の魔導士なら余裕で倒せないの?魔術儀受けたらもうとっくに真の魔法に目覚めてないの?)
誠がそんなとんでもない勘違いを脳内で炸裂させていると、森の木々が爆音と共に何本もなぎ倒された。
「ひぃっ……! 来た、来ちまったぞ!」
下級魔導士はガタガタと震え出す。
地響きを立てて突進してくる巨大な大蛇の姿だった。その圧倒的な質量と禍々しい魔力は、まさに特級魔獣の名にふさわしい絶望感である。
もう戦うしかない
ルミナやるよ
二人の前に立ちはだかる巨大な大蛇『ジャイアント・スネークケース』。
その禍々しい姿を前に、ルミナは緊張に表情を強張らせ、誠は相変わらず「これ、早く片付けて早く引きこもりたいなぁ」と別の意味でやる気を燃やしていた。
「いくわよ、誠! 私の全力、見せてあげる!」
誠とルミナは空の瓶に魔力を込め始めた。
ルミナが鋭い声を上げ、空の瓶から引き出した固有のカラーインクを宙に躍らせる。彼女のインクは鮮やかな赤。流れるような動きで、瞬く間に火属性の魔法陣を空中に描き出していく
一方、誠も人指し指を突き出し、自分のボトルからインクを引っ張り出した。
誠の目には「ただの透明な水」にしか見えない原初の魔力液『魔流水』。だが、それを操る誠の指の動きは、ルミナのそれとは次元が違った。
「なっ……!? ちょっと、何その速度!?」
誠は空中には目にも留まらぬ速さで、複雑な幾何学模様の魔法陣が編み上げられていく
誠は先ほど覚えたばかりの基本を忠実に守り、人差し指を大蛇へと向けた。
ルミナ魔法陣書き終えた?
前に覚えた結解魔法で魔獣を閉じ込め、ルミナの火魔法で魔獣を蒸し焼きにしてやろう
「ルミナ、合わせるよ! 『レイ・オブ・ライト』!!」
『フレア・バースト』
ルミナの叫びと共に、彼女の魔法陣から激しい爆炎の渦が解き放たれる!
下級魔導士たちが「おおおっ!」と歓声を上げる
やったか?
いやまだあと少しだ
続けて魔法を連発した
ルミナの放った『フレア・バースト』の大爆発が収まると、そこには黒焦げになり、『ジャイアント・スネークケース』が横たわっていた。
やったー私たち勝ったのよ。
誠はまた変な勘違いを考えていた
(いや、特級魔獣弱くない?そんなものなの?これほんとに特級魔獣?王国の魔導士さんたちが大袈裟に怖がってただけじゃないのかなぁ…)
誠がそんな失礼極まりない感想を抱いているとも知らず、ルミナと下級魔導士たちは「やった、倒したんだ……!」と涙目で歓喜していた。
だが、現実はそこまで甘くなかった。
突如、黒焦げになっていたはずのジャイアント・スネークケースの巨体が、赤黒い魔力を吹き荒れさせながら跳ね起きた。特級魔獣の生命力はそう簡単に消滅しない。それどころか、怒りで完全に暴走モードに入っていた
「ひ、ひぃぃぃ! 怒らせちまった! もうおしまいだぁぁ!」
絶望が戦場を支配し、大蛇がルミナたちにめがけて一気に噛みつこうと突進してくる。
そのとき王国に行っていた魔導士が帰ってきた。
なにやらとんでもない人を連れてきたようだ
(つづく)
ここまでお読みいただきありがとうございます!
2026/06/12(金)に四話目で日間ランキングすべてと連載中で
280位と174位にランクインしました
ありがとうございます。
誠はまだ魔法を完璧には使えていない中とんでもない魔獣に遭遇しました。
誠とルミナの魔法では完璧に倒せていません。そんなピンチの瞬間、王国からとんでもない「あの人」を連れてきたようです。
次回、ついに宮廷魔導士パレット・エイトが参戦!?
ここから魔獣は倒せるのかどうか? 次回に期待です!
天才なのに勘違いすぎて凡人疑いされる
絶賛連載中です。ぜひブックマークを押し、次回も読んでください!




