第四話 誠の魔法
誠ぼちゃん大丈夫ですかーーー
馬車の外から、ひっくり返ったような使用人の絶叫が聞こえてきた。
あまりの慌てぶりに、誠は窓からひょこっと顔を出す。
誠はのんきだった。
本人は「万年筆がないから、不格好にインクが飛び出しちゃった大失敗」だと思っている。魔法陣をサラサラとお絵かきしただけで、火球が出るような派手な現象が起きなかったため、やっぱり自分は何も撃てない凡人だと安心すらしていた。
しかし、馬車の外の現実は違った。
「お、お坊ちゃま……今、一体何をおやりに……!?」
御者席にいる使用人は、ガタガタと全身を震わせ、腰を抜かしたまま完全に硬直していた。
「あちゃー、やっぱり車内を汚しちゃったと思って心配させちゃったかな。それか、僕が凡人すぎて魔法が不発に終わった情けない気配が漏れ出ちゃったか……」
よし、やっぱり僕には魔法を撃つ才能はないや。王都に着いたら最低評価をもらって、即引きこもり直そう!
誠の乗った馬車は、本人が気づかないうちに発動した超高等結界に守られながら、何事もなかったかのようにゆっくりと進み出す。
だが、しかし本人は魔法が使えないと思っているが実は半分魔法が発動できていたのだ
ただ、自分の魔法のことについて全く理解がなっていなかっただけだったことに
そんなことをしていたとき。
馬車で森を進んでいると何やら王国の魔導士が何かをしていたようだ。
停まりなさい!
ここは今魔物の住処になっていて、強力な魔物がたくさんいる。あなたたちは危険なので別の道を行ってもらう。
だけどこの道を通らないと王都までは2カ月はかかってしまう。『魔術儀』に遅れてしまう。
どうにかできないんですか?
一週間王国の魔導士が遠征に来ている。一週間後なら魔導士たちが森の魔物を完全に駆除してると思う
それまで待て
まあ、一週間なら、なんとか『魔術儀』には間に合う予定だな
一週間、このあたりで野営しよう。
使用人は馬車を止め、近くで野営することになった。
野営の準備をしていると
とある、一人に出会った
[謎の人物]あんたも魔導士に止められて、近くで野営するの?
そうだけど。
[謎の人物] 私『魔術儀』に行く予定でこの道を通ってるんだ、君も?
うんそうだよ
同じなんだ。てか同じ『魔術儀』に行くなら自己紹介をしよう
私、ルミナ!ルミナアルファコードていう
君は
僕は真逆誠
へぇー変わった名前だね
よろしく!
これからどうするの誠
僕は一週間近くで野営するよ。ついでに魔法の練習も
ふーんいいじゃない
私も魔法の練習に付き合っていい?
いいけどなんで?
魔法自分めちゃくちゃ得意だから、人の魔法も見てみたいから
いやでも、自分魔法使えなんですよ。魔法陣と魔力を瓶に注入できるけどそこから、魔法が発動しなくておかしな感じになってしまうんだよ?
わかった今日はもう遅いから、また明日魔法見に来るわ
ありがとうルミナ
こうして新たな仲間ができ、誠はこれから魔法は使えるようになるのか?
誠は野営の準備が終わり、もうすぐ就寝をするところだった
今日はいい日だったな。こんな引きこもりに優しくしてくれる人がいるなんて、想像もしなかったよ。
明日に備えて今日はもう寝る、おやすみなさい。
早朝なにやら魔導士たちが動き出していた。魔導士たちが一斉に森の魔物を狩っていた
おはよう。ルミナ昨日はよく寝れた?
意外に寝れたよ。やっぱ家のベットが一番いいけどね。
さて魔導士たちが魔物を狩ってる間に私たちは『魔術儀』に向けて魔法の特訓よ
誠昨日言ってたことなんだが、一回あんたの魔法見せてみて
わかった。失敗しても文句言わないでね?
いくよ
誠は空の瓶に魔力を集め出した。ボトルの中からひゅるひゅるひゅるっ!とインクが出ていた。
誠が指を動かした。一瞬で巨大な幾何学模様の魔法陣ができ上がっていた。でも魔法は打てなかった。
なによそのあんたの魔法。おかしいすぎるでしょ
万年筆はどこにあるのよ。まさか指で書いてるの。まってまって?頭が追い付かないけど
誠言いたいことがある。あんたは魔法はできているけど、半分できていない。魔法陣はかけているけどそこから呪文が必要なの。
「え? 呪文……?」
「そうよ! 魔法陣を書くだけじゃ魔法はただの『絵』なの! そこに、世界に命令を下すための【呪文】を口にすることで、初めて魔法が『撃てる』のよ! 逆に言えば、あんたそれ、呪文もなしにそこまで書いたの!? 万年筆もなしに!? というか、そのインク何色よ!? 透明って意味不明なんだけど!?」
ルミナはあまりの衝撃に、誠の肩をガシガシと掴んで前後に揺さぶった。
頭が良すぎるルミナだからこそ、誠がやっていることの恐ろしさが分かってしまい、完全にパニックになっている。
(あ、そっか……! 魔法陣だけじゃなくて、声に出して呪文を言わなきゃいけなかったんだ! 前世のゲームやアニメでも、みんな技の名前を叫んでたもんな。僕、十年間ずっと無言でお絵かきしてたから、火も風も出なかったんだ!)
「教えてくれてありがとうルミナ! じゃあ、今度は呪文も一緒に試してみるよ」
誠は人差し指を森の方向へと向け、優しく微笑んで呪文を口にした。
『レイ・オブ・ライト』
誠の周りには白い結界が張り巡らされた。
え、成功した。
やった初めて魔法使えたよ
「ル、ルミナ……?」
誠が隣を振り返ると、ルミナは口を限界まで開けたまま、白目を剥いてその場にバタリと倒れ込んでいた。
「うわあああ!? ルミナ!? 大丈夫!? 」
数時間後 ルミナ大丈夫?
あんた何よその魔法頭おかしいじゃない?
え?そうかな
そうかなじゃない。威力よ威力、何よ、あのバカでかい結界やばいんだけど
そうかな、普通だと思うよ
普通じゃない一般の魔導士は味方二人、三人結界で守れたら上出来なの
10人以上も入れ結界作れるの『八導宮廷八色』くらいだよ
遠くでは、森で魔物を狩っていた王国の魔導士たちが、突如出現した「大きな結界」を見て、腰を抜かして大パニックになっていたが、誠がそれを知る由もなかった。
まあ、それはそれでいい
初めて魔法使えたーー嬉しいよ。
ルミナありがとう。
いやいいのよ。すごかった。私より何倍もやばいじゃない
そんなことをしていたとき森の方では、
これは、このあたりにはでないはずのモンスター
ジャイアント・スネークケース
私たち下級魔導士じゃたち打ちできない
もっと強い魔導士を呼んできて。
私たちがここは持たせる
はやく!はい!!!
そうして誠たちは森の騒動に巻き込まれていくのであった
(つづく)
ここまでお読みいただきありがとうございます!
森の中での騒動そして誠の規格外の魔法。
この先一体どうなってしまうのか?
この先の展開もぜひ読んでください!




