第二十五話 第三試験・誠の魔法がまた規格外だった
「第二試験、終了!」
「これより第三試験の準備を開始する!」
受験者たちから、疲れたような声が上がる。
「やっと終わった……」
「次は何の試験だ?」
「まだあるのかよ……」
誠も息を吐いた。
「ふぅ……」
「結構疲れたね」
隣にいたルミナも頷く。
「うん……」
「でも、ここまで全部合格できてる!」
ルミナは嬉しそうに笑った。
「この調子で最後まで頑張ろう!」
誠も笑顔で答える。
しかし――
誠には一つだけ気になっていることがあった。
(透明属性……)
(神話級って言われてたけど……)
誠は自分の手を見る。
そこにはもう、透明な光は残っていない。
(結局、僕は普通の魔導士じゃないのかな……)
少しだけ不安になる。
(いや、考えても仕方ないか)
(とりあえず魔術儀を最後まで受けよう)
その頃。
会場では第三試験の準備が進められていた。
巨大な魔法陣が、演習場の床へ次々と展開されていく。
さらに係員たちが大量の魔導具を運び込んでいる。
「何をするんだ?」
受験者たちがざわめく。
やがて、ガルドが再び前へ立った。
「第三試験の内容を説明する!」
会場が静かになる。
「第三試験――」
「魔法構築試験だ!」
「魔法構築?」
ルミナが横を見る。
「誠、嬉しそうね」
「うん!」
「僕、魔法陣作るの好きなんだ!」
ルミナは少し驚いた。
「そうなの?」
「暇なときによく作ってたよ」
「……暇なとき?」
「うん」
誠は何気なく答える。
しかし――
その会話を聞いていたフェルナンドが反応した。
(魔法陣を……作っていた?)
フェルナンドは誠を見る。
これまでの記録が頭をよぎる。
測定不能。
透明属性。
不発の魔弾。
そして、あの異常な魔力制御。
(まさか……)
ガルドが説明を続ける。
「第三試験では、こちらから指定された魔法陣を一つ選択してもらう!」
「その魔法陣を完成させ、実際に魔法を発動させろ!」
「制限時間は三十分!」
受験者たちが魔法陣の前へ移動していく。
それぞれの台に、複数の魔法陣が表示される。
火属性。
水属性。
風属性。
土属性。
光属性。
闇属性。
難易度もそれぞれ違う。
「初心者向けから上級者向けまで用意してある!」
「自分の実力に合ったものを選べ!」
誠は魔法陣を眺める。
(どれにしようかな)
簡単そうなものを探す。
すると、一番端に小さな魔法陣を見つけた。
「これにしよう」
ルミナが覗き込む。
「それ、一番簡単なやつじゃない?」
「うん」
「目立ちたくないし」
ルミナは苦笑する。
(まだそれ言ってる……)
誠は席についた。
目の前に表示された魔法陣をじっと見る。
(なるほど)
(ここをこうして……)
(でも、この構造だと魔力効率が悪いな)
誠は無意識に魔法陣を書き換えていく。
一つ。
二つ。
三つ。
本来なら変更してはいけない部分まで、次々と修正していく。
本人にとっては、
「ちょっと使いやすくしただけ」
だった。
しかし――
離れた場所から見ていたガルドの顔が変わった。
「……ん?」
フェルナンドも目を細める。
「ガルド」
「はい」
「あの少年を見ろ」
「……はい」
二人の視線の先。
誠の魔法陣は、もはや最初に用意されていたものとは全く違う形になっていた。
しかも――
七属性すべての魔力回路が組み込まれている。
ガルドが息を呑む。
「これは……」
フェルナンドは呟いた。
「まだ発動していない」
「それなのに、あの魔法陣だけで周囲の魔力を取り込んでいる……」
誠はそんなことに気づいていない。
「よし」
「完成!」
誠は満足そうに笑った。
そして――
魔法陣へ魔力を流し込む。
淡い光が演習場を包む。
次の瞬間。
ゴォォォォン!!
巨大な魔法陣が空中へ浮かび上がった。
受験者たちが一斉に振り返る。
「な、なんだ!?」
「何が起きてる!?」
誠だけが首をかしげる。
「……あれ?」
「ちょっと大きくなっちゃった?」
ルミナは叫んだ。
「ちょっとどころじゃないわよ!!」
そしてフェルナンドは、空中に浮かぶ巨大な魔法陣を見つめていた。
その表情には、驚きが浮かんでいた。
「……あれは」
魔術儀第三試験。
誠はまたしても――
自分では普通の魔法を作ったつもりだった。
(つづく)
ここまでお読みいただきありがとうございます!
本人は「ちょっと使いやすくしただけ」のつもりですが、周囲から見れば完全に規格外……。
そして、誠の魔法陣に反応したフェルナンド。
果たして第三試験は無事に終わるのでしょうか?
次回もぜひお楽しみに!『天才なのに勘違いすぎて凡人疑いされる』絶賛連載中です!




