第二十四話 歴史から消された神話級属性
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「透明属性……」
フェルナンドは、誠の手元に残る淡い光を見つめていた。
先ほどまで騒がしかった会場は、今では不気味なほど静かになっている。
「ガルド」
「はい」
「魔術儀の記録だけではなく、王国魔導史の資料も持ってこい」
「まさか……調べるのですか?」
「この属性について、私は一度も実物を見たことがない」
フェルナンドは相当慌てていた。
一方の誠はというと――
「ルミナ」
「なに?」
「次の試験って何するのかな?」
「?」
誠は本気で分かっていなかった。
その頃、ガルドは王国の古い資料を持って戻ってきた。
分厚い魔導書。
表紙には、古い文字でこう書かれている。
『王国魔導史・禁忌指定資料』
「禁忌……?」
「本当に開いてよろしいのですか?」
「構わない」
フェルナンドが本を開く。
そこには現在知られている七属性についての記録が並んでいた。
七属性のさらに下。
本来なら存在しないはずの項目。
『透明』
フェルナンドの目が細くなる。
その説明には、短くこう記されていた。
『属性を持たず、属性そのものに干渉する異端の魔力』
さらにページをめくる。
しかし――
そこから先の数ページが、綺麗に切り取られていた。
「……誰かが消した?」
「その可能性があります」
ただ、最後に残された一文を見つめていた。
『この属性は、血によって――』
そこから先は読めない。
ただ、フェルナンドが誠へ視線を向ける。
「まさか……」
フェルナンドの脳裏に、数年前に受けた一つの報告が蘇った。
七原色の道化師
世界各地で暗躍する謎の集団。
彼らはかつて、こう言っていた。
『この世界を混沌へ導くために集まった者たちだ』
当時は、ただの狂言だと思われていた。
しかし――
フェルナンドは別の記録も知っていた。
王国が極秘に保管している古い予言。
『世界が再び混沌に包まれる時、一人の魔導士がこの国に現れる』
その魔導士について詳しい記述はない。
ただ、一つだけ残されている。
『七つの理から外れた者』
フェルナンドの手が止まった。
(七つの理から外れた者……)
そして今。
目の前には、七属性のどれにも属さない少年がいる。
測定不能。
透明属性。
存在そのものを隠した魔法。
壊れた測定水晶。
さらに――
プライマリー・クラウンズが活動を始めた時期。
予言に記された「混沌」の兆候。
すべてが、妙なほど重なっている。
(まさか……)
フェルナンドは誠を見つめる。
しかし、すぐに考えを振り払った。
(いや、決めつけるのは早すぎる)
(この少年が予言の魔導士だと判断するには、まだ情報が足りない)
もし間違っていれば、ただの十歳の少年を王国全体の騒動に巻き込むことになる。
逆に――
もし本当に予言の魔導士だったなら。
世界はすでに動き始めている。
「この件は慎重に扱う」
フェルナンドは言った。
「誰にも話すな」
「はい」
ガルドは深く頷いた。
「透明属性についても?」
「ああ
「今のところは、私とお前だけで把握しておく」
「承知しました」
フェルナンドは魔導書を閉じる。
「フェルナンドさん?」
「なんだ?」
「僕、普通に魔術儀受けていいんですよね?」
「ああ」
魔術儀はまだ終わっていないからな。
その時だった。
会場の奥から鐘の音が響いた。
――ゴォォォン。
受験者たちが一斉に振り返る。
試験官ガルドが前へ出る。
「第二試験、終了!」
「これより第三試験の準備を開始する!」
受験者たちから歓声が上がった。
「次は何だ?」
「まだ試験があるのか!」
二人は次の試験会場へ向かって歩き始めた。
その背中を、フェルナンドは見送る。
歴史から消された属性、姿を消した一族、七原色の道化師。
そして、王国に伝わる謎の予言。
まだ何一つ確定していない。
だが――
確実に何かが動き始めている。
「……魔術儀が終わるまで、何も起きなければいいが」
しかし、その願いは。。。
誠が次の試験会場へ向かった、その瞬間。
王都の遥か彼方。
誰も知らない場所で――
赤紫色の仮面が、ゆっくりと笑った。
「見つけた」
「ようやく……見つけたよ」
その声は、誰にも届かなかった。
魔術儀は、まだ終わっていない。
そして世界の歯車もまた、回り始めていた。
(つづく)
ここまでお読みいただきありがとうございます!
ついに明らかになった、「透明属性」
ですが、まだまだ謎だらけです。
そして今回、少しだけ登場した七原色の道化師」**と王国に伝わる予言。
誠はいったい何者なのか、ぜひ次回もお楽しみに!
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