第二十三話 伝説の姿を消した神話級属性
「伝説だけを残して姿を消した――神話級属性。」
誠は首をかしげる。
「……神話級?」
そして、いつものように周囲を見回した。
「あれ?」
「僕、また何かやっちゃいました?」
ルミナは頭を抱えた。
(またそれ言ってる……!)
しかし、今回は誰も突っ込まなかった。
それほどまでに、会場の空気が異様だった。
七色に輝いていた魔法陣。
その中心で、誠の手だけが淡い透明な光に包まれている。
赤でもない。
青でもない。
光でも闇でもない。
すべての色を含んでいるようで、どの色にも当てはまらない。
係員は震える手で測定結果を確認していた。
「……ありません。」
「え?」
ガルドが聞き返す。
「何がない?」
係員は資料をめくる。
何度も。
何度も。
古い記録まで確認していく。
そして、顔を上げた。
「この反応に該当する属性がありません。」
「七属性すべてに反応しているのに、どの属性にも分類されていない……。」
受験者たちがざわめき始める。
「どういうことだ?」
「七属性全部に適性があるってことか?」
「そんなの聞いたことないぞ。」
「でも透明属性って……。」
その言葉に、別の魔導士が反応した。
「透明属性……?」
年配の魔導士だった。
彼は顔を青ざめさせながら、一歩前へ出る。
「まさか……。」
「知っているのか?」
ガルドが尋ねる。
魔導士は答えず、古い記録書を取り出した。
何十年も使われていないような、分厚い本だった。
ページをめくる。
一枚。
また一枚。
そして――
手が止まった。
「……これだ。」
そこには、古い文字でこう記されていた。
『透明属性』
その下には、さらに説明が続いている。
『属性を持たず、すべての属性に干渉する異端の魔力』
『既存の魔法体系に属さない』
『確認例―極めて少数』
『現在――存在確認なし』
伝説だと思っていた……。
何百年も前に記録から消えた属性だ。
「その先には何と書いてある?」
魔導士はページをめくった。
しかし――
そこから先は破れていた。
「……ここまでです。」
「肝心な部分が残っていません。」
くそ、もうちょっとだったのに、、
特級魔獣の攻撃を防いだ結界。
測定不能になった水晶。
そして、先ほどの不発の魔弾。
すべてが一本につながり始めていた。
誠。
「君は自分を凡人だと思っているか?」
「もちろんです。」
即答だった。
フェルナンドは思わず笑った。
「そうか。」
「なら――」
「これから君が何者なのか、一つずつ確かめていこう。」
「僕、普通の魔導士になりたいんですけど……。」
ルミナが叫ぶ。
「無理だと思う!」
えぇ!?
会場に笑いが起こった。
しかし――
フェルナンドだけは笑っていなかった。
彼の視線は、誠の手元に残る透明な光へ向けられていた。
(もし伝説が本物なら。)
(この少年は――)
その先を口にする者はいなかった。
まだ誰も知らない。
消えたはずの神話級属性が、再びこの世界に現れた意味を。
魔術儀は、まだ終わらない。
むしろ――
ここからが、本当の始まりだった。
(つづく)
ここまでお読みいただきありがとうございます!
神話級属性とは一体何なんだーー次回もお楽しみに
天才なのに勘違いすぎて凡人疑いされる絶賛連載中です




