第二十話 「第一次試験」
「それでは受験者諸君!」
「第一試験――」
「魔力制御試験を開始する!!」
試験官ガルド・レインの声が会場中へ響き渡った。
すると、係員たちが一人ずつ小さな透明の水晶玉を配り始めた。
誠も一つ受け取る。
手のひらに乗るほどの大きさ。
透き通った球体は淡い光を放っていた。
試験官が説明を始める。
「第一試験は魔力制御試験。」
「魔力量を競う試験ではない。」
「この水晶へ魔力を流し込み、指定された色まで変化させてもらう。」
水晶の上へ魔法陣が浮かぶ。
色は六段階。
白,緑,青,黄,赤,紫
試験官は続ける。
指定された色で止められれば合格
強すぎても弱すぎても失格だ。
「魔導士に必要なのは魔力量ではない。」
「魔力を正確に扱う技術だ。」
誠も安心する。
(よかった。)
(これなら目立たない。)
(ほどほどに流せばいいだけだ。)
一方、ルミナは拳を握る。
(絶対成功する!)
試験官が右手を上げる。
「それでは始め!」
その合図で受験者たちは一斉に魔力を流し始めた。
あちこちで水晶が光る。
「やった!」
「青までいった!」
歓声や悲鳴が飛び交う。
ルミナも慎重に魔力を流す。
水晶はゆっくりと色を変え……
そして指定された色で止まった。
「やった!」
係員が頷く。
「合格です。」
ルミナは思わず笑顔になった。
「よかったぁ……。」
そして、ついに誠の番になる。
誠は水晶を見つめる。
(少しだけ。)
(ほんの少しだけ流そう。)
(絶対目立たないように。)
誠は指先から、ごくわずかに魔力を流した。
色が徐々に変わっていく。
そして指定された色で止まった。
係員が水晶を何度も確認する。
異常なし。
規定値どおり。
「……合格です。」
合格しちゃった。
僕は凡人じゃないの
「やったじゃない、誠!」
ルミナは嬉しそうに笑う。
一方、その様子を少し離れた場所から見ていた試験官ガルドは、フェルナンドへ小さく声をかけた。
「フェルナンド様。」
「例の少年ですが……。」
フェルナンドは静かに頷く。
「ああ。」
「あの水晶は特殊製だ。」
「魔力を一定以上流そうとすると、自動で制御される。」
ガルドは驚く。
「では、あの少年は……。」
フェルナンドは誠を見つめながら微笑んだ。
「自分で気づかぬうちに、限界寸前まで魔力を抑え込んでいた。」
「制御技術だけなら、すでに宮廷魔導士級だ。」
本当に何者だ
そして試験官が再び前へ出る。
「第一試験、終了!」
「これより第二試験の準備を開始する!」
魔術儀は、まだ始まったばかりだった。
(第二十一話「第二試験」へ続く)
ここまでお読みいただきありがとうございます!
魔術儀は、まだ始まったばかりです次回の試験もお楽しみに
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