第二話 王国出発準備
この世界には人は生まれつき、自分の魔力に固有の「色」を持って生まれてくるのだ。
【属性】があって人は生まれつきそれぞれにカラーの魔法しか使えない。
基本的には一人一色。複数の色を持つ者は存在しない。
それぞれのカラーの頂点に君臨し、国を支える最強の魔導士たちが、王国最高峰『八導宮廷八色』と呼ばれている。
ちなみに、僕の魔力はというと。
やっぱり何度見ても「透明」だな。この世界はカラーがなければ何も魔法が使えない、
部屋の鏡の前で、僕は手にじっと魔力をこめる。そこにあるのは完全に透き通った、色を持たない透明な魔力だった。
つまり、僕は属性がない、何の色にも染まれない。ただの無能力者(凡人)なのだ。
前世の知識があるとは言え、世界はそんな甘くないようだ。
まあ、だからこそ、僕みたいな凡人は、最低評価をもらって、さっさとこの部屋に引きこもり直すのが一番なんだけどね。
僕はのんきに笑いながら、明日からの王都への準備に備えて今日は旅の荷造りを始めた。
いくら馬車移動とはいえ、こんな辺境では、王都までは1カ月はかかる。引きこもりにとっては、移動時間の退屈さは死活問題だ。
よし、道中の暇つぶしように、ちょっとした魔導書や魔道具でも作っておこう。
魔導士なら、自分の色に合ったインクしか使わない。この世界の魔導士は、普段はインクが入っていない空の瓶を持ち歩き、そこに自身の魔力を込めて、固有のカラーインクを注入する。
そして、そのインクを使って空中に万年筆で魔法の呪文(魔法陣)を書くことで、初めて魔法を放つのだ。
「……うん、やっぱり何回やっても『ただの透明な水』だな」
僕がこの十年間、暇つぶしに魔力を込めて作りまくった『透明なインク(?)』のボトルが、ゴロゴロと転がっている。
僕は大量の透明な液体を、一つの大きな瓶へとドボドボと注ぎ込んでいった。誠はただの「部屋の片付けと暇つぶし」のつもりだった。しかし彼自身は、まだ知らない。
誠が部屋で大量のボトルにインクを溜めていた(作り置きしていた)」という行動自体が、世界の常識から外れたおかしな行動「天才の異常性」を
普通の魔導士は「使う直前に必要な分だけ注入する」普通はボトルに魔法を入れるだけでも一苦労なのに
誠は次々と魔力を注いでいた
この世界において、すべてのカラー(属性)を極限まで高め、それらを完全に均等な割合で融合させた時にのみ生まれる、伝説のインクが存在することを。
それはすべての属性を内包し、すべての魔法が神話級の威力を放つことができる
神話の時代に失われた原初の魔力液『魔流水』(まりゅうすい)。
あまりの魔力の濃密さに、凡人にはただの「透明な水」にしか見えないという、世界の理を覆す究極の神水だったのだ。
誠の魔力は無能な「透明」などではなく、すべてのカラーが完璧に混ざり合った結果の「透明」だったのだ。
あまりの魔力の濃密さに、魔力の当事者である誠にはただの「透明な水」にしか見えないが、他人が見れば世界を滅ぼすほどの光を放つ、世界の理を覆す究極の神水だった。
でも魔法使えないしな
普通はボトルに自分の魔力をこめ、空中に万年筆で魔法の呪文を書いて放つのに僕はそれがなぜかできない
(彼はまだ知らなかったこのあと王国にて初めて魔法の使い方を知り自分がただ使い方を間違っていたことを)
[使用人] 誠おぼちゃま、そろそろいいですか、馬車で王都に行きますよ!
はーい。今行く!
ここまでお読みいただきありがとうございます!
次回、いよいよ誠が馬車に乗り、王都へ出発をするところです。道中厄介ごとに巻き込まれたり、新たな登場人物との出会いがあったり。一体誠の身に、何が起ころうとするのか……!
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