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第十六話 王国最強との闘い

「では始めよう。」


フェルナンド・アルディスが演習場の中央へ歩き出した。


円形の演習場。


周囲には何重もの結界。


王国最高峰の魔導士だけが使用を許される特別演習場。


そこへ誠も歩いていく。


周囲には受験者、受付員、兵士、魔導士たちが集まっていた。


誰もが誠を見守る。


相手は王国最強。


対するのは測定不能と判定された十歳の少年。


誰も、この勝負の結末を想像できなかった。


周囲はなにやらザワザワしていた。


あれ本当に勝てるの。


まさかあんな小さな少年が無理無理。


周囲の魔導士たちは誠をけなしていた。


フェルナンドが微笑む。


「安心しなさい。」


「これは勝敗を決める戦いではない。」


「君の力を見せてもらうだけだ。」


誠はほっと胸をなで下ろした。


「よかった……。」


「僕、戦いはあまり得意じゃないので。」


その言葉に会場中が心の中で突っ込む。


(特級魔獣を止めた人が何を言ってるんだ。)


ゼノだけは無言だった。


フェルナンドは右手を軽く上げる。


「条件は一つ。」


「私に向かって、君の魔法を使いなさい。」


誠は困った顔になる。


「でも……。」


「ケガしたら危ないですよ?」


フェルナンドは笑った。


「その心配は必要ない。」


「私は王国最強だ。」


「少なくとも一撃で倒れるほど弱くはない。」


(王国最強なんだから、大丈夫かな。)


「分かりました。」


「じゃあ軽くやります。」


誠は小さく息を吸った。


誠が偶然生み出した、新たな攻撃魔法。


『不発の魔弾(バグ・バレット)』


周囲から見れば、何も起きていないように見える。


だが実際には、透明な魔力弾が高速で放たれている。


存在そのものを認識できない一撃。


誠は右手をゆっくり前へ向けた。


「じゃあ……いきます。」


「不発の魔弾(バグ・バレット)」


何も起こらない。


観客席がざわつく。


「……あれ?」


「不発か?」


「魔法が出てないぞ。」


「なんだよ、測定不能って言うから期待したのに。」


「普通の子じゃないか。」


しかし、その瞬間だった。


フェルナンドの表情だけが変わる。


(……来る!)


誰にも見えない。


誰にも感じられない。


だが、王国最強の勘だけが危険を察知した。


フェルナンドは反射的に右腕へ炎を集中させる。


「炎王障壁(フレイム・イージス)!」


紅蓮の炎が何重もの防御壁となって展開される。


次の瞬間


ドンッ!!


誰も見えない何かが炎の障壁へ激突した。


バキィィン!!


一枚目の障壁が砕ける。


二枚目。


三枚目。


四枚目。


次々と破壊されていく。


「なっ!?」


観客席から悲鳴が上がる。


見えない。


何も見えない。


なのに、王国最強の防御魔法だけが破壊されていく。


そして五枚目の障壁で、ようやく衝撃が止まった。


演習場は静まり返る。


フェルナンドは砕け散った炎を見つめ、息を吐いた。


「……なるほど。」


「見えないだけではない。」


「存在そのものを隠した魔法か。」


「え?」


「僕にはいつも通りだったんですけど……。」


王国最強ですら測りきれない少年。


その正体は、まだ誰にも分からなかった。


(つづく)

ついに始まった、王国最強・フェルナンドとの特別審査。

誠の魔法は、この戦いでどこまで通用するのでしょうか。

そして、魔術儀まであと少し――。


ぜひ次回もお楽しみに!


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