03 最後の城 下
03 最後の城 下
好樹とバレッタは依然として城の中をこそこそ進んでいた。
先ほどと違うのは、好樹が耳まで真っ赤になっていたり、バレッタがむすっとしていたりすることくらい。
「ミント、もうすぐ着きそうだよ。」
みーくんの『(自称)気配感知魔法』のおかげで、ここまでスムーズに城を登ることが出来ている。
「ミント、着いたよ。」
最後に階段を上ると、城の一番上まで来た。
…バレッタは依然としてむすっとしている。よほど怒っているのだろう。
てっぺんには梯子が付いていて、それは天井に開いた穴から出ている。
横についている『03:29』はこの梯子が無くなるまでのタイムリミットだろう。
「……さて、バレッタ。そろそろ帰るよ。」
「本当に、行っちゃうの?」
「すまないが、行かなければならない。」
「そう…。」
「残念だ。せっかく君のことが好きだと言えたのに。」
「あ、そういえばお父さんとの約束、破ったわね。…仕方ないわ。待ってる。」
「待たないでくれ。冗談きついぞ。」
「そんなこと言われたら、死ぬまで待ってるわ。」
「やめてくれ、戻れる保証もないのに…。」
………と、なることなんてありえない。
泣きじゃくるバレッタ。それを必死に慰める好樹。
そのうち、光り始める梯子。好樹は梯子を数段登る。
「じゃあ、さようなら。」
「いつまでも待っててやるから絶対帰ってきなさい、この野郎!」
「ええっ。そんなこと言われても。」
『ガコン』と音がして、梯子が好樹ごと上昇を始める。
「ちゃんと生きて帰ってきなさいよ!」
「そんなこと言われても…って言うか叫ぶとバレるんじゃないの?」
「あ、そうね。」
メガネから声が聞こえる。
「ミント、ちゃんと防音はしてあるから。」
「そうか、ありがとう。」
「将来、爆発しそう。」
その後も、好樹の姿が見えなくなるまで、思う存分の大声でやり取りは続いた。




