08 暗号解読 サン島バージョン
03 暗号解読 サン島バージョン
「好樹の中には…地下世界にとどまるっていう選択は無い、の?」
バレッタは力強く、悲しそうにそう言った。
薄暗い、通路の中で。
好樹はため息をついた。
ここは宿。命からがら逃げてきた。
(確かに、バレッタのことが好きだ。隠しているが、好きだ。
隠せているかどうかは別として。でも、現実世界に戻らなければならない。
僕が現実世界に戻らないと、困る人がたくさんいるからだ。しかし、バレッタと会えなくなるのも嫌だ。
……自分勝手だよな。僕は。
別にバレッタとは恋人でも何でもないんだし、相手がこっちを好きってこともないだろうに。
あれ?
バレッタは何であんなこと言ったんだろう。
まさに僕がいてほしいとでもいうような言葉を。
……図々しい、よな。
本人は『何でもない、ただ同年代の人がいてくれてうれしかっただけ。』
って言ってたのにな。)
「ミント。そんなことをつらつら考えるよりも、暗号を解こうよ。」
「そんなこと…って。いいよ、やろう。」
『かなきにくちはちにちからなる』
「…さっぱりわからない。」
「…ミント、みーくんもう解けちゃった。」
「…答えは何?」
「少しは自分で考えようよ。」
「もう考えた。でも分からない。結論、教えて。」
「へりくつはいいから。…じゃあ、ヒントをあげよう。」
「いらない。解き方とこたえを教えて。」
「頑固だなあ。なら解き方から教えよう。」
「…うん。」
「これは、パソコンのキーボード入力の設定をかな入力にして、ローマ字入力したものだね。」
「と、言うと?」
「例えば、ちをAに変えられるってことだよ。」
「なるほど、ちとAは同じ位置にあるもんね。」
「…なんか今日は物分かりが良いね。まあ、そうやっていくと『次はファイア島。』となるんだよ。」
「あ、解けた。…ありがとう。そしておやすみ。」
「寝るなー!」
「…なんか懐かしいね。」
「ほんとだね。」
「ほんとに懐かしいね!」
「最近、本なんて読めてないからね!」
「…寝ようか。」
「おやすみ。」
「寝るなー!」
「何で!?」
こうして、夜は更けるのであった。




