01 バレッタ夢
01 バレッタ夢
朝が来た。
バレッタは戸を叩く音で目覚めた。
ここは…宿か。
また好樹が起こしに来てくれている。
「ふぉきたわよ。」
寝ぼけている声で――いつも後から思い返すと恥ずかしくなるが――好樹に言った。まあ、言わないといつまでも叩き続かるからそれよりはマシだろう。
もう二度と、好樹の手を血だらけにさせてはならない(好樹は木製扉のささくれに手を引っ掛けた。)。
「バレッタ、三十分後にまた来るからね。準備しておいて。」
「はいはい。」
バレッタはベッドから出る。
(ちょっと寒いな。)
二着用意し、洗っては交換している服。その片方は、昨日洗って干してある。
ちゃんと乾いていたので、着る。今着ていた服は、今日の夜洗うためにナップサックへ入れる。
準備ができたので、好樹の部屋へ。…ノックするとすぐに出てきた。
「どうぞおあがりください。」
「どうもありがとう。」
丸机に向かい合った椅子が二つ。
二人は椅子に座る。
「…宿の朝食まではあと何分くらい?」
バレッタの質問に、みーくんが反応。
「あと十三分四秒だよ。」
「ありがとう。…好樹、ちょっと話いい?」
好樹は頷く。
「いいよ、朝食までに終わるんだったら。」
「あのね…。」
バレッタは、魔女の声のことを話した。
「それでね、『お前さん、魔女だね。ふうん、ガードと回復能力か。いつか、手合わせ願うよ。』って言ったのよ。」
好樹が思案顔。
「…まあ、朝食に行くか。」
「ええ。」
ご飯は美味しかった。
今、好樹は受付の人と話している。聞こえないけど、多分次の目的地だろう。
そのうち、好樹が戻ってきた。
「バレッタ、ちょっと今から安い乗合馬車を予約してくるから、ここで待ってて。」
「え?馬車で行くの?」
「…次はちょっと遠いんだ。馬車で行こうと思う。くれぐれもここから動かないでくれ。」
「私を子供だと思っているの?…未成年か。」
そういって、好樹とバレッタは別れた。
こうやって落ち着いてみると、いろいろなものや人がある。
机に椅子、電飾と電球の数々、老若男女、小柄な人から大柄な人まで。
大柄な人が近づいてきた…あれ?
すごく近い。十センチもないくらい。
「ちょっとついてきてもらおう。」
そういわれ、担がれた。暴れても、相手にダメージを与えられている様子はない。
もうダメか。これからどうなるんだろう。
バレッタは湿った布切れを顔に押し当てられ、気を失った。
バレッタが気が付いた時、バレッタは煙の臭いを察知した。
体を動かして逃げようと思っても、体が動かない。…はりつけにされている。
下を見ると、火が付いている。そうか、火あぶりにされるのか。
好樹が前でこちらを見ている。声を出そうとしたが、さっきの大柄な男の隣に居るのでやめた。
多分二人はグルなんだろう。好樹は私を助けようとしない。
その時、私の足に鋭い痛みが走った。燃えているんだろうけど、もう寒いくらいだ。
暑さと寒さの区別がつかない。私の体が光り始めた。
その光は炎を消し、私の足を癒し始めた。直後、飛んできた矢が私の胸を貫き、数十秒後に私の心臓を止めた。
バレッタは飛び起きた。
(ここは…宿?)
どうやら夢だったらしい。好樹が起こしに来てくれている。
「バレッター。朝だよー。」
日付や宿の形から考えて、夢なのは間違いない。
「ふぉきたわよ。」
わざと取り繕って、バレッタは着替えを始めた。




