05 ボルト島
05 ボルト島
ボルト島に着いた。
暗号は、タヌキの暗号だった。
ネクスト島からボルト島までは、朝出発して夜には着くというくらいのスピードだった。
「…眠いわ。」
「そこらへんでぱったり寝ないでくれよ。」
「そんなこといくら何でもしないわよ。私を何だと思っているの……黙り込まないでよ。」
「ごめんごめん。」
そんな話をしながら、いつも通り青い鳥に付いて行った。
その声は、魔女とすれ違ったときに聞こえた。
僕たちは、青い鳥についって行っていた。
少し道幅が広くなってきた。
そして、カーブを曲がり切った時に見えたのが。
紺色の衣に長い杖。どう見ても魔女らしき人物。
好樹は歩くスピードを変えないように気を付けて、平静を装って歩いた。
だが。
「お前さん、あの娘の正体を知っているかい?」
魔女の声は頭の中で響いているような感覚だった。
その直後。好樹は全身に激しい痛みを感じ、うずくまった。
魔女とすれ違ってから数分が立ち、ようやく痛みと吐き気が治まってきた。
バレッタは大丈夫かと振り返ると、バレッタは蒼白な顔をして立ち尽くしていた。
「バレッタ。大丈夫か?」
「ええ。何とか。」
「にしても、あの鳥見失っちゃったな。どうする、みーくん。」
みーくんは少し間をおいてから答えた。
「…目の前に小屋があるでしょ。」
「うん。」
「あの鳥、あそこに三十秒程度とどまっていたんだ。」
「そうか。ありがとう、みーくん。」
「どういたしまして。…ミント、あまり面倒ごとに巻き込まれないようにしてよ。こっちもミントの負の感情を遮断するの結構疲れるんだから。」
「分かった。」
そして、僕たちは小屋へ向かった。
前回と同じ、立方体に三角屋根が付いた小屋。
「えっと、じゃあ今回もバレッタは外で待っててね。」
「分かったわ。」
「じゃ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
好樹は小屋の扉を開け、中に滑り込んで目的の紙を出口の扉に向かいながらポケットに押し込む。小屋を出た、その瞬間。
小屋の中心(正方形である底辺の対角線が交わるところ)を中心に、半径が小屋の底辺の一辺くらいの長さの円が小屋の周りの地面に引かれ、それが光った。
「魔法…!」
好樹は円の中で足を止めた。
「好樹、走って!こっち!」
必死に叫ぶバレッタ。
好樹の中で恐怖に焦燥感が勝った。
足を踏み出したその瞬間。
円の中が沈んだ。
いや。円の中にあった土や小屋が垂直に、下に動いた。
好樹選手、ジャンプ。
穴の端に手が届いた。下なんて見る気にならない。
これは、崖から腕一本でぶら下がっている状態。
(こんな時、助っ人が来るものである。…お願いします神様。誰か僕を助けて下さい。)
そう思った好樹の手に触れたのは。
誰でもない、バレッタの小さい手だった。
(バレッタ、一緒に死にたいのか?ああ、『一蓮托生!死ぬ時は一緒だ!』って言っちゃったか。バレッタは覚えていないだろうけど。)
そんな思考が好樹の頭の中を駆け巡る。
(取りあえず、バレッタだけは生きてほしい。)
そう思い、好樹が声をあげようとしたとき。
「うおっこらしょー!!!」
とても女の子とは思えない掛け声とともに好樹は窮地を脱した。




