01 目的地。
*この島の名前は友人(だといいのですが)のD.Sさんに付けてもらいました。
01 目的地。
朝が来た。
好樹はみーくんにたたき起こされ、美味しくもない朝食を胃袋に流し込んだ。
チェックアウトの様な事をして、バレッタの家へ。
「あ、好樹。…おはよう。」
「おはよう。」
(…?どうした?元気がない?わけでもない。反省している?だったらこんな恥ずかしそうにはしない。うん?何があった?顔を赤らめて、下を向いている。…うわあ、『バレッタ』マイナス『おてんば要素』プラス『恥じらい』イコール『ただの可愛い女の子』なんだって!やめて、可愛すぎる!村長さんに申し訳ない!)
その時、村長が家からにゅっと出てきて、好樹の耳に口を近づけた。
「あ、そうそう。バレッタの方から告白してきたときは、付き合っていいからね。それじゃ、頑張れー。」
(ぎゃー!)
冷たい声が聞こえた。
「ミント、うるさい。みーくんにはダイレクトに感情が伝わるってこと忘れてないよね。」
(そんなこと言ってられるか!うう。)
この瞬間、好樹の頭の中は白くなった。
好樹はバレッタを意識し始めた。
あの女のことを考えていると、口がぽかんと空いてしまう。あの女のことを思っていると、べっとの上で枕を抱えてゴロゴロと転がってしまう。あの女を好きになってしまってから、顔を直視できなくなった。あの女のことを、気づくといつも考えている。その他もろもろ生活が適当になった。疲れやすくもなった。あの女に関することならば何をしていてもどきどきが続き、体力が普通の何倍も消費されている感覚を味わう。
村長は、昔を思い出して甘くほろ苦い気持ちを反芻していた。
「…。」
「…。」
好樹とバレッタはぼーっとしたままもじもじしていた。
「こほん。」
みーくんのわざとらしい咳払いで二人とも我に返る。
好樹は深く深く深呼吸。強制的に脳内ミュージックをテンションが上がる曲に変更。
「えーっと、バレッタ?」
「はいっ!?」
(やーめーてー!)
「魔女の森ってどこにあるか分かる?」
「はわわわわ…ままま魔女の森はライジングボルトサンファイアネクストサンシャイン諸島にあります。」
(わー!人見知りキャラ!?弱いんだよー!)
みーくんが小さな声で突っ込む。
「弱いも何も、免疫なんて皆無のくせに。」
(もうやめて。ライフが…ライフが…!)
「零。」
(ギャー!)