プロローグ2
「あぁー、レックス?」
「…なに?」
「本当に話してるな、ジェイミ、これは俺の夢か何かか?」
恰幅のいい母親とは違い、父親の方は見た目こそ優男に見えるが、半袖のシャツから見える腕には、ボディービルダー並の筋肉が搭載されており、その身体が細いのではなく、引き締まっていることが分かる。
そして俺達兄弟は、父親似であることがわかった。母親の顔は不細工ではないが、十並である、スタイルは昔はどうか知らないが、今はボッテリとしており、その外見は肝っ玉母ちゃんという言葉がよく似合う。
対して父親は髪は銀髪を短く刈り上げ、顔はハリウッド俳優並、身体も無駄な脂肪など全く無さそうで筋肉もりもりである。
「トム、私も最初はそう思ったの、でも頬を摘まんでも、頭を壁に打つけてみても痛いだけだったわ」
あぁ、それで彼女の額に先程はなかったのに、戻って来たら何時の間にか擦り傷があったのか…。
「…ジェイミ、で、どうする?」
家族会が始まってどれくらいの時間が過ぎただろうか?
俺の体感では、軽く二時間は経っているんじゃないかと思う。朝飯も食べずに良くやるものだ。
まあ、そのお陰で身体の主の情報を集めることが出来た訳なのだが、どうやら俺は生まれてこの方12年、一言も話したことが無いそうだ。
母親や父親、弟であるティックスが、いくら話し掛けても、うんともすんとも言わなかったそうだ。そして自分からは何ら行動を起こすとはないが、頼めばば手伝いをしてくれる程度で、それくらいの知能は有ったそうだか、それ以外は毎日、ただ一人で川に行っては、何時間もほぅーっと水の流れを観察している様な子だったらしい。
曰く、頭に障害を持って産まれた知恵遅れの子と言うのが、家族及び、その他の村の人達の俺に対する認識らしい。
「ど、どうするって、私に言われても…まあ、驚きはしたけど、喋れる様になったのはいいことよね?」
身体の主の話を聞いて、内心、少し安心している俺だった。
自分が他人に憑依したと、気付いてからずっと頭の中にあった考えが、この身体の主の未来を自分が奪ってしまったのではということだった。
未来に夢を懐いて生きている少年と、日々を何も考える事なく、ただ過ごしていた少年とでは、その重さが違う様な気がしたのだった。
いや、例え知恵遅れであろうとも、生きている人の未来を奪ったことに変わりはない、俺はこれからの人生をこの身体の主の分まで生きよう。
それが彼への贖罪になるとは思わないが、そうすることしか、今の俺には出来そうにない。
「うん!僕もそう思う!」
「問題ないってことか、ならもういいか」
俺が色々と考えている内に、家族会の方も話しが纏まった様だ。
さて、これから俺の新しい人生が始まる。




