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俺と称号と新スキル、あと方向性。

村にある高台の下、あまり人通りが少ないその場所。


そこで以前にボロ負けした相手であるモルドと俺は戦っていた。


「ッ五連撃‼」


モルドのスキル発動を本人の声と視界の端にに映る小さなメッセージウインドウで確認しつつ、俺はそのモルドの攻撃へと対処する。


ガッス‼

「…っし!」


一撃目は上段の右フック!俺はその右フックを左手の甲で弾く!


「おおぉ!!」


右フックを弾いたことで、少しの油断が出来てしまったのか、弾いて通り過ぎたと思った右手に後頭部を掴まれてしまう!


ダダッ!

「ぐぅ⁉…って⁈」


掴まれた頭を強引に前へと引き寄せられると視界に飛び込んで来たのは、モルドの右膝だった!


俺はその右膝を掴まれている頭を中心に捩り躱す‼


ダン‼ダ!

「ッく!っと⁈」


だが躱した直後に三、四撃目が襲い掛かってくる!三撃目に下から掬い上げるような左足による蹴りが胸元へと襲い掛かる。それを俺が胸の前に腕を交差することで受け止めることで堪える!


しかし続けて来た右蹴りにより防御を砕かれる!


ダンッツ‼

「ちぃ‼⁉かっは⁈」


強烈な蹴りにより崩され開いた両手の隙間、僅かしか空いていない空間へと、モルドは狙いすました正拳突きを穿った‼


「ぃてぇーッツ‼」


「ハァハァ…、レックス、また俺の勝ちだな⁉」


大の字に地へと仰向けに倒れている俺を上から見降ろしつつ言った。


「新しいスキル、覚えたんだな?」


「言ったろ?お前が強くなるよりももっと俺は強くなってやるって!」


あぁ、確かに一番最初に戦った時に言っていたか…。


その時のことを頭の中で思い出し、あの時の悔しさが胸に蘇ってくる。


「…言ってたけど、前戦ってから三週間で新しいスキルまで覚えてくるとは思わねぇーよ、普通」


「…っく、くく!そこが俺が村一の天才って言われる理由だな!ひゃっははは‼」


腰元に両腕を構えながら大仰に言うモルドに、胸の中にあった悔しさが一気に霧散して行く。


「誰もんなこと言ってるの聞いたことはねぇよ」


「レックスのいないとこで皆言ってからさ!」


「……俺の居ないとこでいう意味なんてあんのか?」


俺にだけ聞こえないようにそんなこと態々言わないだろうよ。と内心飽きれながら言った。


「あ、あんだよ!……ん?あれってティックス達か?」


「あぁ、みたいだな。……また3日後でいいか?」


モルドの声に村の方へと顔ごと視線を向けると、村の中央広場の方から此方へと向かって歩いてきている三人組を見つけた。真ん中に銀、左右に赤と青の髪色、間違いなくティックス達だろう。


このまま此処にいてはこいつ等の遊びのメンバーにされかねない。そう思った俺は、モルドとの試合で身体に残っているダメージの回復を待たずに、その場から起き上がり、モルドに次の試合について約束を取り付ける。


「あぁ、3日後な!って!また一緒に遊ばないのかよっ!?」


俺の行動にまた一人で何処かにいこうとしているのが解ったのか、モルドは多少驚きを含んだ超えで俺にそう尋ねてきた。


「ガキの遊びに付き合ってられるかよ」


「いや、お前も俺らと一つしか年齢違わなくね?」


そんなモルドの一言に答えることなく、俺は出来る限りの早足でその場を去る。


下手にモルドに付き合っていると三人が来てしまい抜け出せなくなると思ったからだ。



レックスが去って暫くしてモルドの元に着いたティックスは、開口一番にモルドに兄について訪ねる。


「…兄さん行っちゃったんだ。たまには一緒に遊んだらいいのに」


ティックスの弁にミリアムが不思議そうな顔をしつつ、ティックスとモルドの顔を交互に見ながら聞く。


「遊ぶってレックスと?ティックスとモルドが言ってたけど本当にレックスって話せるの?」


「ミィーリィーアァ??だから何度もそうだって俺が言ってんだろ?」


ミリアの質問にモルドが顔を出し凄ませながら名前を呼ぶと、ミリアの肩に両手を置きながら言い聞かせるように説く。


「あたしが話しかけた時は一言も喋らなかったし、それにレックスって、ねぇ!フレア?」


モルドの態度に若干その身を背後へと移動させようとするも、肩に手を置かれてるため出来ない。その代わりという訳ではないが、ミリアは自分の横にいるフレアへと会話を投げることで、モルドの気を自分から反らそうとする。


「わ、私に振られても困るよーぉ。………そういえばこの間会ったときは私のアイサツに頷いてた様な気がする」


「っな!だから言ってんだろ!?レックスは喋るって!しかも結構なお喋りさんだ」


ミリアの思い通りにモルドはミリアからフレアの方へと向くと、腰に手を当て威張りながらそう言った。


「あはは!確かに昔の兄さんと比べたらお喋りさんだよね!」


モルドの言ったことが可笑しかったのか、ティックスは口から息を吹き出すように笑ってから自分の兄のこんなところが前とは変わったという話を、モルドに対して話し出した。


そんなティックスに対するモルドも此処数週間で仲良くなったレックスについて、ティックスが知らないことを話しだした。


「ふーん、今度レックス見たら話しかけてみよっと」


「………レックスが話せるなんて聞いてないよぉ。私の秘密いろんなこと教えちゃったのに…」


「どうしたのフレア?」


ティックスとモルドが楽しそうにレックスについて話すのを見ていたミリアは、そんな会話に入りたくて仕方がなかったが、レックスと未だに会話をしたことがなかったため出来なかった。


そのため、今度あった時は、自分もレックスについて話せるようになるために沢山話し掛けようと心の中で決意したのだった。


そんなミリアムの横でフレアがブツブツと小さな声で独り言を話しているのが聞こえたため、そのことを当の本人へと訪ねる。


「な!なんでもないよティックスくん‼」


「なに慌ててんのよフレア?」


「んん!ぜんぜっん!慌ててなんかないよ‼」


「慌ててんでしょうが!なに?なにがあったの?レックスと何かあったの?」


慌てて言い返してくるフレアに当初はそこまで興味もなく、何となく気になり聞いたミリアであったが、余りにも慌てふためくその姿にどんどんと興味が注がれていく。


そのため、更に問いただす。


「そ、そんなことないよ!レ、レ、レレ、レレレレックスなんてホントに関係ないんだからッツ‼」


「やっぱりレックスが関係あるのね!言いなさい!ことと場合によるなら手伝ってあげるから!」


「い、いいよぉ!手伝いなんて必要ないんだからーぁ!」


いっこうに言わないフレアに苛つき、ミリアはフレアへと詰め寄るが、フレアはそんなミリアから距離を取ろうと後退する。


そんな繰り返しにより、二人はどんどんと元いた場所から遠ざかって行ってしまう。


「「………」」


そんな二人を少し前から見ていたティックスとモルドは、かしましく騒ぐ少女二人が遠くなって行くのを見送ってから暫し沈黙し呆然としていたが、モルドがその沈黙を破り話し出すことでまた時は動きだした。


「いや、あいつどう見ても慌ててんだろ。なぁ、ティックス?」


「…あはは、そうだね。何処まで行くんだろうね二人とも、取り敢えず追いかける?」


「ん、あぁ、そうだな。このまま此処に居ても仕方ないしな」


ティックスの提案に此処に二人きりでいても仕方ないと考えたモルドは直ぐにその提案に乗ることにし、二人の少女の後を追いかけることにした。





「タスクメニューオープン、ステータス画面」


モルドと別れた後、行く当てもなかった俺は、まだ痛む節々を休ませるために一度、道の脇で休むことにした。


そしてその休んでいる間に、自分がこの数週間で何処まで強くなったのかを確認するため、タスクメニューを開きステータス画面を表示させる。


Name レックス

Lev 6

HP 100

MP 12

PW 60

AT 55

DEF 39

SP 99 →109 →129(称号補正)

INT 62


Total point 10point

Next level 1600point


レベルはあれから走り込みや、筋力トレーニング、河原で魚を獲ること、後はモルドと戦うことで2レベルも上がった。


そして称号については、韋駄天をマスターして新しい称号を得ることができた。


それがこれだ。


称号:韋駄天


スキル名称及び効果

①加速+3

加速+2の効果に身体能力の上昇が追加。


②超加速

加速+3の効果に身体制御が追加。脳内分泌物の増減、脳内リミッター解除が可能となり、身体能力の限界以上のスピードがだせる。極限状態の加速使用はスキル使用者の身体に負荷がかかり過ぎるため危険。


称号:疾風迅雷

SP100以上、韋駄天スキルの超加速を習得すると覚える称号


スキル名称及び効果

①二段蹴り

強力な脚力を利用した二段蹴り。中段右から上段左へ続く連続攻撃。


②三段蹴り

強力な脚力を利用した三段蹴り。二段蹴りの後に再度右足で真上から踵落としへと続く連続攻撃。


③飛脚+1

爪先のみ利用した歩法により、圧倒的な速力を得る事ができる。


「…称号を一つ目を疾風迅雷、二つ目を韋駄天にしたことで、スキルを使用しなくてもモルドのスピードには着いて行ける様にはなったな」


「でもまだ疾風迅雷スキルが使いこなせいか、いやそもそもが韋駄天スキルの超加速すら上手く扱えてないか…」


「超加速、圧倒的な速さを得られる代わりに身体に負荷がかかり過ぎる。っていうか脳を制御してってのが意味が分からん」


「そもそもがリミッター解除はわかるとしても、脳内分泌物の増減ってのが意味が分からん」


日本という高い教育水準のある世界に居たからこそ、人間が本来の身体能力の2、3割りしか使用してないってのはテレビとか学校で聞いたことある。それが無意識に掛けてる脳内リミッターの影響だってのも含め。


しかし脳内分泌物の増減ってのはなんだ?アドレナリンを出せばいいのか?まあ確かに出せば早くはなった気がするが、1分も経つと急激にスピードが落ちるし、何より頭が痛い。


使いもんになりゃしないスキルだ。まあ、俺の使い方が間違っている可能性はあるが…。


「結局は少しずつ試して調べていかないことにはどうしようもないんだろうな」


その間にもモルドがドンドンと強くなっていくと思うと気持が焦るが、時間が掛かるものは仕方ない。


「…ティックスが言う通り、親父に習っても良いのかもしれないが、俺は特殊みたいだしなぁー」


親父を含め、ティックス、モルドはスキルは武道や剣術の型の稽古をただ繰り返し続けることで覚えると言っていた。


簡単にいうと、武道家スキルの二連撃では、只管に右手からの顎への掌底から高くジャンプし踵落としという動作を何度も繰り返すことで覚えるものだそうだ。ティックスの剣術もそうだった。


だが俺はどうだ?

韋駄天にしてみても自分よりスピードが早い相手から逃げ続けることだったし、疾風迅雷にしても韋駄天スキルを極めて覚えた。


疾風迅雷スキルの二、三段蹴りと飛脚+1などは、疾風迅雷の称号を覚えると同時に使用可能になっていたのだ。


「稽古が必要ないとは言わないが、型の練習を繰り返すことは俺には必要はないみたいだ」


そう俺の場合はスキルを覚えてしまえば声に出す、いや慣れてしまえば出そうと思うだけでスキルが発動し、完璧にそれを繰り出せるのだから、ティックス達の様に型を繰り返してスキルを覚えて、さらにスキルを完璧なそれとするために反復練習する必要がないのだ。


「…だから親父に教えてもらうってのも違うんだよな」


ならばどうやって強くなるのか?


「スキルの連続使用と複数同時使用だろうな」


理想としては韋駄天スキルの超加速状態で疾風迅雷スキルの飛脚+1に二段蹴りとかか…。


とてつもなく身体に掛かる負担が大きそうな気もするが、もっと身体を鍛えて基礎能力を上げる。そうして徐々に超加速のレベルを上げてスキル使用に身体を慣らしていく。


「まあ、一まずの目標としては、超加速状態で自分の限界までスピードを出せるようになることか…」


そうすれば複数同時使用も夢物語ではなくなるだろう。


確かこの世界での成人は15歳だった筈だ。そうすれば俺が村を出ると言っても文句は言われないだろう。


今の俺の年齢は11歳、成人まで後4年。いや、早い子達では12歳で出稼ぎに出る子も居ると言っていたから、来年には村を出れるかもしれない。


「…今年も入れて村を出るまでに2年、必ず今より強く、モルドよりティックスよりも強くなってやる!」


俺は決意を新たにし、何時もの修行場である川原へと一人、ゆっくりと歩いて向かって行く。

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