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眠れぬ夜と灰色の朝。  作者: 阿月
9/35

おしまいの日。

「笹原」

 それは二限の授業が終わったタイミングだった。

 担任の馬場が僕に声をかけてきた。



「はい?」



 返事をしてそっちを向くと、馬場はずいぶんと似合わない表情をしていた。

 似合わない表情とは真面目な顔ということ。

 年がら年中、がははと笑っている豪快な先生が、ずいぶんと真面目な顔をしている。

 

 似合わない。

 こんなにも似合わないものなのか。

 と、余計なことを考えていると馬場が僕の肩を掴んで促した。



「ちょっと来い」

「え? もう三限始まりますよ」

「いいから来るんだ」



 僕は引きずられるように立ち上がった。



「ちょっ……ちょっと馬場先生」

「いいから」

 引きずりつつ、委員長の水川に声をかける。

 

「笹原は俺が連れていくから。次は英語だから村田先生だよな。俺が連れていったと、そう伝えてくれればわかるから」



 何だって?

 何か、ひどく大事になっている気がする。



 嫌な予感。

 何か……。

 

 

 おかしい……。


 眩暈が……する。



 おかしい……。

 おかしい……。

 

 視界が……崩れていく。



 一体……何が……。

 吐き気がして。



 僕は……。

 

 

 僕は……。

 

 吐き気が治まらないうちに、僕は一つの扉の前に辿り着いた。



「校長室……」



 色が……?

 世界の色が……。


 何だ?

 気持ち悪い。

 気持ち悪い。

 何?

 

 僕がいったい何をした?



「校長、笹原を連れてきました」

 馬場の声が、ずいぶんとざらついたものになっていた。



 校長室の中には校長と教頭。そして、英語担当の間瀬。たしか、先輩のいる二年二組の担任だ。



 それと……見たことのない二人の男。




 何が……起きた?



「君は二年二組の佐藤君と親しかったそうだね」

「え?」




 先……輩?




「昨日、どうしていたかね。佐藤君とは会っていたのかね?」

 



「え……」




「どうだったのかね?」




 校長はもう一度、言った。

 少し疲れたような、だけど鋭い視線で僕を見た。

「な……何があったんですか……?」

 



 校長は一つ、ため息をついてから、口を開いた。

 


 

「君には先に伝えておこうと思ったのだよ。どうか気を強く持って聞いてほしい」

 

 校長は渋い顔で言った。


 

 

 

 

 

 

 


「佐藤君が死体で発見されたのだよ」

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