眠れない夜。
家に帰ってから松岡の事件に関して、検索してみた。
単なるニュースのページがほとんど。
警察からのリークでもあれば面白いのに。
そう思いつつ、マウスをほうり出してベッドに横になる。
警察に通報するだろうか?
いや、有り得ない。
おそらくは、近藤と二人で対処しようとするだろう。
僕ならそうする。
それがチャンスだ。
「まだ?」
空中に先輩が現れた。
「まだ、生きてるの? あいつらは」
目が遠くを見ている。
焦点が合ってない。
何を見ているのだろう。
ヤツらか……。
それとも……。
「くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす」
笑っていた。
「先輩?」
「あなたもあいつ? あたしに何をしたいの?」
「先輩……」
「くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす」
笑いの向こうに狂気。
「殺すの。殺すの。絶対に」
先輩の中の人であった部分が壊れていく。
少しずつ、少しずつ。
だから。
壊れきる前に。
怨念を。
消し去らないと。
僕は暗い部屋の中、いつまでも僕を見ようとしない先輩と二人きり。
そうして朝を待つ。
眠れない夜を過ごす。
さすがに学校に行く気なんかはなく。
僕は黙々と準備をした。
市街戦になるのは確実。
いざという時のため、あちこちに逃走用のアイテムを仕込む。
と、言っても二個所ほどのコインロッカーに着替えの入った鞄を放り込むくらいだけど。
武器も用意した。
スタンガンは一度使っているので避ける。
代わりにナイフだ。
ガーバーのフォールディングナイフ。
それとペッパースプレー。
いわゆる目つぶし用の催涙スプレーだ。
これは一回こっきりの口紅サイズ。
女装も考えたけど、やはりここはスピード優先。
ジーンズにナイロンのジャケットを羽織る。
足もとはいつもの軍用ショートブーツ。
ワンショルダーのバッグにもろもろ放り込んで、いざ。
でかけることにしよう。




