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眠れぬ夜と灰色の朝。  作者: 阿月
27/35

焦り。

 朝のワイドショーはいきなり衝撃的なニュースからスタートした。

 松岡の死体が見つかったのだ。

「ちっ」

 思わず舌打ちをする。

 まだ見つからないはずだった。

 これでは、きっとヤツらに警戒される。

 素知らぬ顔のまま、父さんの出勤を見送ると、僕は学校に電話した。

 そして休むことを伝える。

 声を枯らして、ひどい熱があることにして、二、三日は休むことにした。

 どうせ。この二、三日でケリをつけないと。

 とりあえず、私服で家を出る。

 倉庫から古びたヘルメットを取り出し、母さんが使っていたスクーターを引っ張り出す。

 そしてエンジンをかける。

 さすがに、かかりがよくない。

 何度もキックしてようやく軽快な音になる。

 安物だけど、一応革製のグローブをして走り出した。

 手段は考えていない。

 さて、どうするか。

 

 

 千種区の辺りは坂が多い。

 だからわざわざこんなスクーターをひっぱりだしたんだけど。

 春山の家を探しててれてれとスクーターを走らせる。

 すると、高台の、一際大きな家が目に入った。

 表札にはローマ字でHARUYAMA。

 僕はそのまま素知らぬふりで通り過ぎる。

 忍び込む、か。

 とりあえず、近所の公園か、駅かスーパーか。

 スクーターを置く場所を探そう。

 幸い、近所に大きなスーパーマーケットがあった。

 僕はそこにスクーターを置く。

 ヘルメットをしまい、徒歩に切り替える。

 ついでに、入り口のラックにあった無料情報誌を二十冊ほど掴む。

 それを小脇に抱え、今度は徒歩で春山邸へ。

 一応、ポスティングのアルバイトのふりをしてみたのだけど。

 どこまで、ごまかせるやら。

 春山邸の裏側の方を目指して歩く。

 すると、そこには高い壁。そして監視カメラ。

 セキュリティはばっちりという雰囲気だ。

 さて、どうする。

 どうするんだ?

 どうするあてもなく通り過ぎる。

 途方に暮れて、日が暮れた。

 まさにそんな感じだった。

 ついでに足を伸ばして、最後の一人、近藤の家の方へと行ってみた。

 こちらもかなり大きなお屋敷だった。

 こちらも高い塀に覆われて手も足も出ない。

 やはり、家にいる時、というのはターゲットにできない。

 そう結論づけるしかない。

 僕がスーパーヒーロー並みに身が軽かったり、もしくはアメリカ映画のヒーローみたいに大量の銃火器を持っていたならば。

 決してその限りではないのだが、それは僕にとっての幻想だ。

 そんな幻想にうっかり乗ってしまったら、そこには最悪のケースが待つ。

 もっとも残り五日。

 無茶はできないとは言え、のんびりもできない。

 どうする?

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