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てがみ。
「先輩」
僕はふわふわと浮いている先輩に声をかけた。
「あの歌、聞かせてもらえませんか?」
「歌?」
「冬の手紙」
一瞬困ったような表情。
ひょっとしたら。
もう覚えていないかもしれない。
だけど。
僕は先輩を信じて少しだけ覚えているサビの部分を口ずさむ。
すると。
その刺激のせいなのか、先輩は続けて歌い始めた。
フルコーラス。
歌詞は一通りついていた。
歌詞をメモしていく。
そして、一通り書き留める。
「じゃあ、少しいいですか?」
夜中なので、ボリュームは抑え目に。
その上で僕は鍵盤を叩く。
先輩の歌っていたメロディー部分を弾く。
「え……」
僕は先輩を見つめ、一言口にした。
「曲、作らせてください。先輩の曲を」
先輩は少しだけ押し黙り、それから、頷いた。
僕は鍵盤に手を伸ばした。




