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伸ばす手。
ベッドに倒れ込んだ僕は夢を見た。
先輩の夢だ。
先輩が助けを求めて、だけど僕の伸ばす手は。
手は。
手は。
届かない。
届かない。
あと少しなのに。
ほんの少し先に。
先輩の手が。
「先輩!」
僕は跳ね起きた。
そして、目の前に。
先輩がいた。
「先輩……?」
僕の言葉に先輩は驚いたように僕を見つめた。
そして。
「か……馨くん……あたしが見える……の?」
泣いていた。
泣いていた。
あの先輩が泣いていた。
「先輩!」
僕は手を伸ばして先輩を抱き締めようとして……。
そのまま倒れ込んだ。
「あれ?」
いや、たしかに、今……。
振り返ると先輩が浮かんでいた。
浮かんで……。
「は、初めてあたしのことが見えた。見つけてくれた」
先輩は泣き笑いの顔で僕に言った。
「え……えへへ。化けて出ちゃった」




