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そこは異界の騎士学校  作者: ◆smf.0Bn91U
魔法と魔族編
38/52

明確になるやるべきこと

 今日もまだ体調が悪いです……ちゃんと完治できなくて申し訳ないです。

 そのため明日も更新お休みします……。

 魔傷石のあの小ささ――女の子の手の平に収まるぐらいのあの大きさは、実は中々考えられているのでは、と思う。


 大きければ大きいほど壊しやすい。

 しかし小さければ小さいほど、石に掛けるエネルギーは絞り込まなければいけない。

 ましてかなりの重量を誇る質量だ。

 物理的に破壊するのなら、常にあの小ささにツルハシをぶつけ続ける精度が必要になってくるだろう。

 少なくとも、遠距離から攻撃して破壊するのはかなり難しいはずだ。


 もちろん細く一点に、強いダメージを与え続けるのだから、それなりに壊れやすいのかもしれない。

 ただあの小ささであの重さだと考えると、それでも中々に骨が折れることは間違いない。


 こちらの世界でもそうだが、小型化、というのはそれだけでスゴい。

 なんせ重さにさえ目を瞑れば、戦場の最前線に放置したって構わないということになるのだから。


「で、異常は無かったんだよね?」


 地下室を出て鍵を掛け直したジルを見て、俺は改めて確認を取った。


「うん。あれだけ正常に機能しているんだから、地下からの侵入の線は消し去っても良いと思う」

「となれば、外からの侵入か……」

「地上にも魔傷石が置かれていたりするからね。そちらの方もチェックしてもらいたいんだけど……」


 貴族の決まりがある以上、彼自身が調べるわけにもいかない、か。

 だからと言って俺じゃあどこをどう見れば正常に機能しているかなんて分かりようも無いしなぁ……。


「一応、最も怪しい修練場の奥にある森の中の魔傷石は、今日にでも調べてもらえる手はずになっているんだ」


 修練場……という場所に、俺は行ったことがない。

 なんでも下級生の時に行く訓練場のような場所で、そこではただただ体力を付けるためのトレーニングと武器の振り方や防御の仕方などの基礎を叩き込まれていたのだとか。

 俺達の午後の授業を午前と午後に分けて丸一日させられるようなものだろう。

 で、あらゆる武器を扱わせることで適正を見出し、二年生の時にどの学科に配属してもらうかを決めている。

 そこからさらに一年間、学科による訓練と基礎訓練を続けて……ようやく上級生になれる、といった感じだったか。


「でも、森の中か……確か、街を囲う壁まで続いてるんだよね?」

「うん。だからこそ、侵入経路としてはそこが一番怪しい」

「その外壁に見張りとかはいないの?」

「あの高い壁を人が飛び越えるのは至難の業だし……それに森から侵入したってことは、すぐ校内に入るってことだからね。夜は修練場と校舎の間に見張りがいるはずだから、そこに人がいれば異常にはすぐに気付くだろうって魂胆なんだと思う。まあ、僕はそれじゃあ生ぬるいと思うけど」


 確かに、俺自身も生ぬるいと思う。

 なんというかこの学校の教師陣や運営陣は、どこか物事を楽観視しているきらいがある。

 例の貴族に向けてやる戦術授業と言い、平和ボケしているような感じというか。


「で、その森の中の魔傷石は誰が見に行ってくれるの?」

「ナーディアート殿だ」

「…………」


 それは……なんという、平和ボケ筆頭。

 あの貴族だということを驕りに驕っている、自分以外を下に見ているプライドの高い彼……か。


「……本当に今日中に行ってくれるの?」

「そこはまあ、彼次第だろうね」


 そう答えてくれるジルの顔には、苦笑いが貼り付いていた。


◇ ◇ ◇


 しかしまあ、個人的な状況を考えれば、ナーディアートがそこの担当だったのは大きいのかもしれない。

 魔物が入ってきたとされる箇所は確かに分からない。


 だがもし、本当にどこかの魔傷石が、その侵入してきた魔物が原因で破壊されていたなら……?


 それが誰の企みであれ――それこそカシェルの友人であり帰りたがっている魔物の仕業であれ、そこでも魔法が使えるということに他ならない。


 目指すべき場所が訓練場で、しかも魔法を発動している間見守っておかなければならなかったことを思えば、もう一箇所魔法を使える場所が増えるのは大きい。


 それこそ訓練場で目立つようなことをしている間に、その魔法を使える場所で逃げてもらうことだって可能だ。


 ありがたいことに、今の俺はまだ魔物を殺した存在として目立てる。

 カシェルやマリンが協力してくれる間なら、生徒や教師陣を注目させることなんて容易いはずだ。……方法は少しも思いつかないけど。


 それにナーディアートなら、少し突付けば彼が探しに行った箇所の魔傷石があるままなのか、容易に聞き出せそうだ。

 無理でもこちらから再戦を条件にして教わることだって出来る。……その後思いっきり怪しまれそうではあるが。


 しかし、リフィアと俺のこの状態を打破するために、魔騎士科の誰かを紹介してもらいたければ、これぐらいはしてカシェルに恩を売っておいたほうが良いだろう。


 本来、ここまで露骨に動けば学校側から注意でもされそうだが……何というか結局ここまでしても、学校側からは何のお咎めも無いような気はする。


 もちろん、根拠はある。


 学校側からリフィアに、魔物と戦ったという噂は本当なのか、と聞いてこなかったその理由……それはおそらく、学校側からそんなことを問い質せば、それだけで「魔物が入ってきた」と生徒たちに教えてしまうことになる。


 つまり「ただの噂話」が、学校側が疑うほどの「信憑性のある話」にランクアップしてしまうということ。


 おそらくソレを避けるために、俺は学校から何も訊かれなかった。


 魔傷石関連も同様だ。


 学校側から何の手出しもしなかったのは、動けば魔物侵入の話が輪郭を帯びてしまうため。


 だから貴族を介し、秘密裏にコトを進めようとした。


 そんな所だろう。


 だから俺が魔傷石のことを探ろうと……学校側からは、何も出来ないはずだ。

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