親切心…?
明日は更新できないです……。
でもあと一話でキリが良くなりそうなので、今からもう一話書きます。
「…………」
可愛らしい笑顔、だとは思う。
だけど俺は、それにどこか違和感めいたものを覚えた。
「ま、ただ知的欲求が高いだけの人だと思ってくれて良いから。なんなら色々教えてくれたお礼に、何か教えてあげようか?」
色々教えたつもりも無いんだけど、それならば、ということで、一つ気になっていたことを訊ねた。
「それじゃあ、魔法について調べられる所ってどこ?」
「魔法? なんでまた」
「それこそ知的欲求」
「ふ~ん……ま、魔物と戦って何かあった、ってことかな」
そう独り言を呟いた後、人差し指を口元へと当て、「う~ん……」と少しばかり唸る。
「魔法について調べられるところって言ったら、それこそ図書室だけど……でもリフィア、文字読めるの?」
「…………」
しまった。そういえば俺、この世界の文字を一文字も読めない。
「ああ、いやいや。バカにしたとかじゃないんだよ?」
俺の無言をどう受け取ったのか、カシェルが申し訳なさそうに口元に当てていた手をワタワタと振る。
「ほら、貴族ならともかく、平民の人たちは文字の読み書きが出来ない子が多いからさ。この学校でも、一部の学科じゃない限り教えないし。リフィアは教わってるのかなぁ、って思っただけで、他意は無いんだよ? ホントに」
「いや、そんなこと気にしてないって」
むしろそんな世界で「文字を知っていて当たり前」とばかりに話を進めるほうが、俺としては失礼な気がする。
「まあこちらとしても、だからこそ聞いたってのはある。悪いけど、まだ文字をスラスラとは読めないからさ。それでも知れるところをむしろ教えて欲しかったの」
本当のリフィアは読めるかもしれない以上、全く読めない、とするのは後々矛盾になるかもしれないので、そう答えるしか無い。
「そっか。となれば、魔騎士科の生徒を紹介できれば良い……んだけど……そうだなぁ……リフィアさえ良ければ、あたしが教えるけど?」
「えっ? でもジルと同じ学科ってことは、槍騎士科だろ? 魔法には重きを置いてないんじゃ……」
「まあ、魔騎士科よりかはね。だから教えられる内容も“ある程度”になっちゃうけど……まあ、使い方しか教わってないんなら、それでも十分かなって」
「ふ~ん……それも例の“知的欲求”?」
「まあ、そんなとこかな。ただあたしの場合、ジグゼイル様と同じ学科って言っても、選択科目が違うから。馬を走らせ敵戦線へと突撃する馬術を取るか、盾を構えて自陣の前衛で守る盾術を取るかで、あたしは後者を取ったの。で、さっきみたいな何もしなければ姿を見えなくする魔法とか、そういうのを前衛で使えたら面白いかなぁって思って、色々と独学で勉強してるって訳」
なるほど……さっきのあの槍の後ろに隠れていたのは魔法に依るものか。だからリフィアの本能でも感知出来なかった、と。
で、声を上げたからすぐに認識できた……おそらくは少しでも動けばすぐに見えてしまうが、一歩も動かず声を発しなければ全く見えない、とか、そんな魔法だろう。
その魔法がどれだけの難易度を誇るのかは分からない。
だが図書室で調べ物をするよりかは、彼女と話をするほうが良さそうだ。
「それなら、教えてもらえるか?」
「もちろん、いくらでも教えてあげる。でもここだとそろそろ人が来そうだし、移動しない? さすがに他の生徒も、リフィアとナーディアート様の戦いについて話すのも終わるだろうしさ」
確かに、ここは更衣室のような場所だ。今までマリンを除いて誰も入ってこなかったのが偶然の産物と言っても良い。
まして今は、本来ならば自主訓練の時間。そろそろ友人同士の話を終えて、誰かが来てもおかしくはないだろう。
まあ、魔法を教わるだけだからここで話を聞いていても良いのだろうが……どうせならこの流れで、建物の構造を把握しておくのも悪くはない
「って言っても、どこに行くつもり?」
「そうだなぁ……まあ勉強するようなものだし、それこそ図書室にでも行こうか」
笑顔で答える彼女に先導されるように、俺は男子の憧れである女子更衣室(っぽい武器ばかりが置かれている場所)を離れた。




