76章 魔人復活―――0:03:00
バッ!「!!?」「何だ!?」
ポケットから頭上に放り投げた、最後の切り札。その緑の舞いに、暫し目を奪われた旧友は―――零れ落ちそうな程『魔人眼』を見開き、今にも卒倒しそうになった。
「こ、これは何の冗談なの……!!?」
「違う」
私の否定に、老婆は唾を飛ばして激怒する。
「あぁ、悪巫山戯も大概にして!幾らあなたでもあんまりだわ!!こんな物、捏造に決まっている……!!」
「真実から目を逸らして、下らないお芝居に酔っているのはそっちでしょ?―――私言ったよね、こんな事無意味だってさ」
キッパリ告げた、その瞬間。赤い『魔人眼』からポロ、ポロ……濁りが剥がれ落ちる。そんな錯覚を覚える程、明らかに輝きが増した。その煌きは四十七年前よりも強く且つ、純水のように澄み切っている。
「嘘……本当に………本当、なのね?」
「ええ、私達の友情に賭けて」
ガチャン。サブマシンガンを取り落とし、止め処無く流れる涙はキラキラしてて綺麗だ。その震える肩に、愛息の元上司が手を置く。
「今更謝っても謝り切れませんが、ニー夫人……キム君の事、本当に申し訳ありませんでした!!!」
土下座寸前で謝罪した元復讐対象に、己を完全に取り戻した旧友は自然に微笑んだ。
「いいえ、ビーツェ車掌。私こそ初運行でとんだ御迷惑をお掛けしました。ミアちゃんとジャック君も、散々怖がらせてごめんなさいね」
「お婆ちゃん……?もう、いいの?」
頭を撫でられつつ、突然の豹変振りに優しい少女は首を傾げる。
「いいのよ。だからスターレイン号には、これからもバリバリ働いてもらわなきゃ」
そう晴れ晴れと言い切ったベアトリーチェは腕を伸ばし、自ら停車レバーを倒した。




