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流星疾走  作者: 夕霧沙織
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36章 二人の不自由な少女―――41万時間以上、42万時間未満の何時か




―――ねえクラン!?二人で力を合わせて―――を殺しましょうよ!


 盗んだママチャリで疾走する運転手は湧き上がる高揚感から、えらく物騒な言葉を叫んだ。


―――この『眼』の力を使えば簡単だわ。自由になった私達とディーさんの三人で、毎日面白可笑しく暮らすの。ほら、凄く良いアイデアだと思わない!?


 アルコールで上気した頬を尚真っ赤にしながら、ベアトリーチェ嬢は自分のプランに酔う。羽目を完全に外した上機嫌に、ペダルを漕ぐ両脚も羽が生えたように軽やかだ。

 そんな今にも空中へ飛び立ちそうな荷台に乗るクランベリー・マクウェルは、そっと遥か後方の街を見やる。残してきたラフ・コリー(の主に拾い食い)を気にしつつ、小さく欠伸。絡めた両腕から腰へとその震動が伝わり、もうおねむ?女学生は苦笑した。


―――ねえ、やりましょうよ!きっとこの宇宙のためにもなるわ。それともいっそ、一から新しく創り直しちゃう?


 パッ!両手をハンドルから離し、頭上に現れ始めた星空を仰ぐ。


―――私が神様なら、この何倍も星を浮かべるわ!今よりもっと近くの、触れるぐらいの所にね!!

―――こら、手離し運転は危ないってば……乗り気な所悪いけど、ベアトリーチェ。私にも一応愛着って物があるんだよ。


 旧世界の少女はそう呟き、遥か年下の友人に小さく頭を下げた。 


―――それに、まだ『その時』じゃないし。だから………ごめんね。



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