40 数センチの距離と希望 祭典編
林月は前を歩く菲娜について、ひたすら前へと歩いていた。菲娜も時々振り返り、後ろにいる林月を見ていた……
「ねえねえ、何か食べる?せっかく来たんだし、何か食べようよ!」
菲娜は笑いながら言った。
林月はとても優しい菲娜を見て、笑った。
「分かったよ。でも、実は何を食べればいいのかも分からないし、それに来るのも初めてだから、ちょっと緊張するし、少し怖いんだよね……」
林月は少し弱々しく言った。
菲娜は林月を見て、軽くため息をついたが、その後また笑った……
……
「はい、これあげる!」
菲娜は近くの屋台で買ってきた焼きトウモロコシを一本、林月の前に差し出した……
林月は菲娜の手にあるトウモロコシを不思議そうに見た……
「えっ……なんでトウモロコシ?祭典で一番有名なのってトウモロコシなの?!
他のものかと思ってたんだけど、なんでトウモロコシなの……」
林月は大声で言った。
菲娜は少し呆れたように林月を見た……
「そう?私は結構好きだけど……」
菲娜は言った。
林月はトウモロコシを食べながら、菲娜について歩いていた……
その後、菲娜は林月をいろいろな場所へ連れて行った……
二人はホットドッグや焼きイカ、焼き串などを食べた……
「ねえねえ、菲娜、違うって。なんで食べるものがこんな串に刺さったものばっかりなの?他のものも食べようよ!
いや、それより、菲娜。君の歯って折れてたんじゃないの?どうやって噛みちぎったの……」
林月は笑いながら言った。
菲娜は不思議そうに林月を見た。
「えっ……歯のこと?そういう細かいことは気にしなくていいの……
もう……
それより、あなたも何が食べたいのか言ってないじゃん。
てっきりこういうものが好きなのかと思ってた……
まあいいや。それじゃあ林月、何が食べたいの?!」
菲娜は少し慌てながら言った。
「えっ……何を食べるか……
うーん……まあいいや。今はちょっとお腹いっぱいだし、それならかき氷を食べに行こう!」
林月は笑いながら言った。
「えっ、お腹いっぱいって言ってなかった?まあいいや、行こう。かき氷を売ってるところがあるか見てみよう!」
菲娜は笑いながら言った。
二人は祭典の会場をそのまま歩き続けた。
「そういえば、菲娜。今回の祭典って花火があるんだよね?どこでやるの?!」
林月が言った。
菲娜は辺りを見回した。
「うーん……分からないな。でも、祭典の告知には時間が書いてあったと思うよ。たぶん七時過ぎくらいかな。まあ、まだ早いし、ゆっくり行こうよ!」
菲娜は笑いながら言った。
林月は菲娜の笑顔を見て、言葉では言い表せない不思議な感覚を覚えた……
花火か。
しかも、すごく仲の良い仲間と一緒に。
こんなこと、昔は考えたことすらなかったな……
でも、菲娜って仲間なのか、それとも親戚なのか、それとも友達なのかな?
まあ、いいか……
それにしても、この祭典は長すぎないか。
しかも、こんなに賑やかな場所に来るのも初めてだ……!
……
一方その頃、夜璃は祭典の一角に立ち、焼きトウモロコシを食べながら、行き交う人々を眺めていた……
本当に美しい光景だな。
こういう感じも本当にいい。それに、空も少しずつ涼しくなってきたし、なんだかいい感じだ……
夜璃は近くからBluetoothイヤホンを取り出して耳につけると、イヤホンから夜璃が一番好きなアイドル、クーミの音楽が流れ始めた……
好きな音楽を聴きながら、周りの景色を眺める。
本当にいいな……
夜璃はスマートフォンを取り出し、自分のSNSを見た。
フォロワーなども増えていない。
以前、いくつかの出来事があって、私はこのすべてのことを怖いと思うようになり、自信もなくしていた。
でも今は、もうそれほど怖くないみたいだ……
夜璃が前を見ていると、そよ風が優しく夜璃の頬を撫でていった。
髪の香りと祭典の雰囲気が重なって、この優しくてリラックスした感覚が、本当に心地いい……
夜璃は隣を見て、軽く笑った。
こんなふうに、ゆっくり休んで、リラックスするのは久しぶりだ。
祭典のイベントにはもう長い間参加していなかったけれど、それでもどこか、生活を奪われたような敗北感が残っている……
でも今は、何かに縛られているような感覚はもうない。
なんだか自分がすごく軽くなったみたいで、今にも空に浮かんでしまいそうだ……!
でも、現実もそんなに多くの時間を与えてくれないんだろうな。
これから、またどんなことが起こるんだろう……
夜璃は隣を見た……
すると突然、夜璃は何かを思い出したように、またスマートフォンを取り出し、SNSで探し始めた……
叔父さんだったか、それとも誰かが言っていた気がする。林月の奴もSNSをやっているんだよね。
もし間違っていなければ、もしかしたらここで彼を見つけられるかもしれない……
夜璃は何度も検索を続けた……
あいつもやっているはず。
私は、あの男のことをもっと知りたい。
何度も調べ続けて、ようやく林月によく似たアカウントを見つけた。
そこにはアニメや、様々な翻訳の投稿があった……
そして、彼の最新の投稿やその他の様々な投稿を見ていると、林月の本当の気持ちが少し伝わってくるようだった……
夜璃はSNSの内容を見つめ、心の中に強い興奮と喜びが込み上げてくるのを感じた……
なるほど、そういうことだったのか……
夜璃は少し笑みを浮かべながら、すべてを見つめていた……
夜璃はため息をつき、それから笑った。
「まあ、いいか。
でも、あの人のことがだいたい分かった気がする。
ここでもう一度、彼を見つけられたらいいな。
もう、本当に……私、どうしちゃったんだろう……」
夜璃は笑いながら、手に持っていた焼きトウモロコシを一口かじった……
うん……
でも、私、祭典に来てまでなんで焼きトウモロコシなんか食べてるんだろう?
それに、この店のトウモロコシ、なんでこんなに硬いの?
あまりにも美味しくないんだけど……
……
祭典の騒がしい音が、青春の熱気とリラックスした雰囲気を感じさせ、そこに浸りたくなるような感覚を生み出していた。
「そういえば、林月。最近、祭典には財布を盗むスリがたくさんいるって知ってる?だから、やっぱり気をつけたほうがいいよ!」
菲娜は林月のほうを見ながら言った。
林月は少し疑問そうな表情で菲娜を見た。
「うん、そうなのか……
でも、なんで今それを言うの?それに、祭典に泥棒が出てくるような展開なんて、他のアニメでもとっくにやってるし、もう古いネタだよね……」
林月は手を振りながら、笑って言った。
菲娜は自分の財布を持ちながら、笑って言った。
「そう?私はちょっと注意しただけだよ。もう……。だって祭典は人が多いからね。もし本当に盗まれちゃったら、何もなくなっちゃうよ……」
「うん、それもそうだね!」
林月は頭をかきながら言った。
「そういえば、花火ももうすぐ始まるね。楽しみだね!
そういえば、こうして一緒に花火を見に行くのも初めてだよね。それに、今のこの雰囲気もすごくいいね!」
菲娜は笑顔で言った。
林月は菲娜を見た。
今の菲娜には、どこか不思議な優しさがあり、頼りたくなるような感じがした。以前のような強気な雰囲気は、もうなくなっていた……
林月は菲娜を見ながら、嬉しそうに笑った……
「ねえねえ、菲娜じゃない?!」
その時、近くから誰かが菲娜のほうへ声をかけた。
林月と菲娜は疑問そうにそちらを見た……
そこには、浴衣を着た二人の少女が立っていた。
そのうち一人の少女は金色の長い髪に染めていて、ギャルのような雰囲気の女の子だった。明るく菲娜に向かって声をかけている。
もう一人の少女は比較的落ち着いていて、彼女も菲娜のほうを見ながら、顔に笑みを浮かべていた。
二人は手をつないで、ゆっくりとこちらへ歩いてきた……
「ねえねえ、本当に菲娜だ!もう、そういえば最近どうして学校に来てないの?メッセージを送っても返事がないし、私たちがどれだけ心配したと思ってるの!!」
金髪ギャルは少し怒りながら、そして疑問そうに言った。
「そうだよ。私たちだって心配するんだからね!」
落ち着いた青髪の少女も頷きながら言った。
菲娜は彼女たちの心配そうな言葉を聞き、自分の頭を触りながら笑った……
林月は一旁で菲娜と友達が楽しそうに話しているのを見て、自分に何ができるのか分からなかった……
でも、菲娜の友達ってみんな女の子なんだ。意外だな。
いいな……
いや、違う。むしろ、最初からそういうものなんだよな。
笑……
金髪ギャルが突然、菲娜の歯を指差して疑問そうに言った。
「ねえ、菲娜。歯、怪我して折れちゃったの?この間、一体何があったの?
家のあのクソみたいな親戚にやられたの?前に言ってた親戚の人たち?
一体誰がやったの?!」
金髪ギャルは少し慌てた、そして焦ったような口調で菲娜に言った。
菲娜は少し笑みを浮かべながら言った。
「違うよ、あなたたちが思ってるようなことじゃないよ……
でも、あの面倒な親戚がいるのは確かだけどね。
違うよ。ただ、その中の一部だけ……
でも、今のところは大丈夫だよ……」
菲娜は笑いながら言った。
「でも、菲娜、買いすぎじゃない?!」
落ち着いた青髪の少女は菲娜の手にある食べ物を見ながら言った。
菲娜は笑いながら頷いた。
「そういえば、その親戚たちや、あの人たちは本当に大丈夫なの?
だって菲娜はすごく話しやすい人だから、ああいう男の人たちは菲娜の外見だけを見て、勝手に菲娜のことを決めつけちゃうんでしょう!
本当は菲娜の心の中のことなんて、全然気にしない。
ああいう男の子たちって、時々本当に嫌になっちゃうでしょう?
私たちが菲娜と知り合ってからずっと、ずっと心配してたんだからね!」
金髪ギャルは少し怒りながらも、心配している気持ちが込もった口調で言った……
林月は一旁で彼女たちの会話を見ていた。
そうだったのか。菲娜の心の中にある恐怖や、今までずっと抱えてきたことは、とっくに彼女たちに話していたんだな。
彼女もずっとこういうことに耐えていた。ただ、俺にはあまり話してくれなかったんだ……
いや……
この感じ、なんだか変だ。
彼女たちが言っている親戚や男の人って……
まさか、俺もその中に入っているんじゃ……
そうか……もしかしたら、そうなのかもしれない。
だって、こうなったことの半分は、俺のせいで菲娜が傷ついたんだから。
俺は彼女の本当の気持ちすら知らない。
そもそも、もしかしたら……
林月はその場に立ちながら、緊張と不安で何度も唾を飲み込んだ……
「そういえば、菲娜。一緒にいるその男の子は誰なの?
菲娜を傷つけた親戚なの?
まさか、今その人に束縛されてるの?!」
金髪ギャルは慌てながら、林月のほうを指差して言った。
林月は前を見ながら、どうすればいいのか分からなくなった。
前に出て、彼女たちにちゃんと説明するべきなのか……
それとも、今すぐ振り返って逃げるべきなのか……
もう、本当に面倒だ。
俺はこういう感じが一番嫌いなんだ……
昔、学校で女の子と同じグループになったことがあった。
その結果、その女の子の友達から気持ち悪いゴミみたいに扱われ、ゴミを見るような目で見られたんだ……
今、どうすればいいんだ?
でも、相手は菲娜の友達だ。とりあえず先に逃げたほうがいいかな……
菲娜は金髪ギャルが指差した方向を見た。
「喔、彼のこと?
彼は前にあなたたちに話した林月だよ。
彼は私をたくさん助けてくれた人なんだ。
ずっと前からあなたたちに紹介したかったんだけど、ずっと時間がなかったんだ!」
菲娜はとても嬉しそうな口調で言った。
隣にいた二人の少女も林月のほうを見て、その後、ゆっくりと林月のところへ歩いていった……
林月は自分に向かって歩いてくる二人の少女を見て、緊張しながら彼女たちを見つめた……
「え……えっと……ちょっと待って、なんでこっちに来るの……」
林月は手を後ろに回し、少し緊張していた……
そして金髪ギャルは素早く林月の目の前まで歩いてきて、顔には少し興奮した表情を浮かべていた……
「おお!君が菲娜の言ってた親戚だよね?
こう言うのはちょっと違うか。でも、まあ、彼女の親戚みたいなものだよね!
菲娜、君のことをよく話してるよ!
いつも他人のために自分のすべてを捧げてるとか、菲娜は君のことがすごく好きなんだって!
そういう意味の好きじゃないよ……
でも、君の話をすると、いつもすごく嬉しそうにして、興奮して、ずっと話し続けるんだ。
こんな菲娜を見ることなんて、本当に珍しいんだから!
だから私たちも、ずっと君に会ってみたかったんだよ!!」
金髪ギャルは興奮しながら、嬉しそうに言った。
林月はとても驚き、衝撃を受けた表情で前を見つめ、身体からもたくさんの冷や汗が出てきた……
「え……えっ、そうなの?本当に?!」
「うん、もちろんだよ。
菲娜が言ってたよ。君は、彼女の人生の中で一番彼女を変えた人なんだって!」
金髪ギャルは真剣に林月を見ながら言った。
林月は前にいる金髪ギャルと菲娜を見た。
二人とも期待と嬉しそうな笑顔を浮かべながら、俺を見ていた……
どうやら、俺は物事を考えすぎていたみたいだ。
昔の自分を、いつまでも引っ張り出してくる必要なんてなかったんだ……
でも、菲娜は本当に俺を信じてくれているんだな。
なのに、さっき俺は菲娜をあんなふうに疑ってしまった。
もう……俺は一体何をやってるんだ……
しかも、さっき菲娜を泣かせてしまった。
本当に……
その時、林月はまた、自分自身を何度も疑い、後悔と自責の深淵へと落ちていった……
林月は前にいる人たちを見つめ、顔には戸惑いが浮かび、心の中でも絶えず自分を責め続けていた……
その時、菲娜は林月のほうを見て、何かに気づいたようだった……
彼女はため息をつき、手を振った。そして林月のそばへ歩いていった……
林月は突然自分のところへ歩いてきた菲娜を見て、一瞬どうしていいのか分からなくなった……
隣にいた金髪ギャルと青髪少女も、疑問そうに菲娜のほうを見た……
菲娜は林月を見て、深く息を吸った。
そして、力いっぱい林月の肩を叩いた……
「えっ、どうしたの……菲娜、何するの!?」
林月は慌てて言った。
菲娜は林月の肩を強く掴み、真剣に林月へ言った。
「あなた、馬鹿なの?またあの、ずっと自分を責め続ける深淵に落ちたの!?
もしかして、さっき私が泣いたからなの?
あなた、馬鹿なの?私はこんなことで怒ったりしないよ!何回言えば分かるの!?
誰もあなたが悪いなんて思ってないんだから、もうそこであれこれ考えすぎないで。
自分の心の中の気持ちをちゃんと信じて、それから私たちのことも信じてよ。
少しずつ、そこから出てきてよ!!
自分が何か言い間違えたからって、全部自分のせいだと思わなくていい。
それを信じればいいんだよ。自分の心に従って、頑張ってみてよ!!
難しいことなのは分かってる。だって私も同じだから。
私にもどうしてなのか分からない……
でも、感情っていうものは、分からないからこそ面倒なんだよ!
だから、大丈夫!
そういうことだよ!」
菲娜はそう言った後、嬉しそうに笑った!
林月は驚いたように前を見た。
菲娜、金髪ギャル、そして青髪少女は、みんな一緒に林月のほうを見て、優しく林月に微笑んでいた……
……
「もう、本当に。怖かったんだね。大丈夫だよ、私たちと友達になろう!
私の名前は雅弘。これからもよろしくね。怖がらなくていいよ、私はあなたを食べたりしないから。それに、私たちも菲娜にはたくさん助けてもらってるんだよ。だから、怖がらなくていいからね!」
金髪ギャルは林月の手を握り、嬉しそうに言った。
「お……そうなの……
雅弘か。いい名前だね。実は、女の子から変な人だと思われるのが怖かったんだよね。君が大丈夫って言うなら、それでいいかな!はは……は……」
林月は雅弘の手を握りながら、少し気まずそうに笑った。
「あら、もう。何を怖がってるの?ただ性別が違うだけじゃない。私たちだって人間でしょう?同じ人間なら、そんなことで怖がる必要なんてないんじゃないかな……
それと、私の名前は牌子。これから機会があったら、よろしくね!」
青髪少女は少し冷たい口調で言った。
「は?!本気で言ってるの?!
それだけでいいわけないでしょう。性別っていうのは、すごく怖くて面倒なものなんだよ!?!」
林月は大声で言った。
牌子は林月を見て、そして落ち着いた様子で言った。
「そう?私はそうは思わないけど。だって、あなたの考え方で見るなら、私は実際そんなに悪くないと思うよ……
本当に人を嫌いにさせるような人だからこそ、性別によって対立するんじゃないかな。そういうことが確かに存在するのは分かるけど、結局は人によると思うよ!」
「そうなのか……」
林月は彼女たちを見て、張り詰めていた心を静かに緩めていった……
「そういえば、なんで菲娜は浴衣を着てないの?それに、どうして私たちに祭典に来ることを言ってくれなかったの?もう!」
雅弘は笑いながら菲娜に言った。
「えっと、それはね……」
菲娜と残りの二人は、そのまま話し始めた。
そのため、隣にいた林月は自分が何をすればいいのか分からなくなってしまった……
林月は暇そうにスマホを取り出し、自分のSNSアカウントを見てみた。
すると、いつの間にか新しいフォロワーが一人増えていた。
しかも、その相手のアイコンもクーミのアイコンを使っていた……
林月は疑問に思いながら相手の投稿を開いた。
そこには、アニメやコスプレに関する投稿がたくさんあった……
「誰だ?でも、なんで突然フォローしてきたんだ?しかも、俺の投稿全部にいいねまでしてる。俺のアカウントなんて、ほとんど誰も見ないはずなのに……」
林月は疑問そうにその投稿を見つめていた……
その時、林月が中の内容を疑問そうに見ていると、隣から鋭い女性の叫び声が聞こえてきた……
「きゃ……!!泥棒よ!祭典の泥棒!!」
その声を聞いた後、帽子を被り、上着を着た男が一旁から走ってきた。
その手には、今しがた盗んだ財布が握られていた……
その泥棒は菲娜のそばにぶつかるように走り抜けた。
菲娜が手に持っていた財布とスマホも、うっかり地面に落ちてしまった。
その泥棒はそのまま菲娜の財布を拾い、隣へ向かって走り去っていった……
菲娜も不意に地面へ転んでしまい、膝を地面に擦ってしまった!
しかし、菲娜もすぐに手を伸ばして泥棒の袖を掴み、隙を見て止めようとした。
だが、泥棒に力いっぱい振り払われてしまった。
そして泥棒も、その隙に素早く走り去っていった……
「おいおい、菲娜、大丈夫か?!」
林月は急いで菲娜に尋ねた。
菲娜は手を振りながら、林月に言った。
「うん、今のところ私は大丈夫。でも、私の財布もあの泥棒に盗られちゃったよ。もう……
幸い、スマホは持っていかれなかったけど、本当に最悪だよ……!」
菲娜は地面に落ちたスマホを拾い、立ち上がろうとした。
その時になって初めて、自分の膝から血が流れていることに気づいた……
隣にいた雅弘と牌子は、すぐに慌てて菲娜を支えた……
林月は歯を食いしばり、菲娜に言った。
「大丈夫だよ、菲娜!
すぐに戻ってくる。俺が泥棒から財布を取り返してくるよ!」
林月はそう言うと、泥棒が逃げていった方向へ走ろうとした。
「おいおい、ちょっと待って、林月。無理しなくてもいいよ。今から行っても追いつけるか分からないし、それに相手がどんな人なのかも分からないんだから。警察とかを待ったほうがいいよ!」
菲娜は目の前の林月を止めようとした。
しかし、膝が痛くて前へ進むことができなかった。
「大丈夫だよ。俺を信じて、菲娜!
絶対に君の財布を取り返してくる。それに、祭典の花火が打ち上がる前には、必ず戻ってくるから!」
林月は笑いながら、菲娜に親指を立てた!
そう言うと、すぐに泥棒が逃げていった方向へ走っていった……
菲娜は遠ざかっていく林月を見つめ、ため息をついた……
「もう、あいつったら。本当に、いつも一人で無理するんだから!」
菲娜はため息をつきながら言った。
「でも、あの子って本当にいい人だよね、菲娜!
私たちは先に警察に連絡しよう。でも、あの子、本当にいい人だね。菲娜がああいう気持ちになるのも分かった気がするよ、笑!
だって、夢はパワー!だからね!」
雅弘は前方を見ながら笑って言った。
……
一方、ゴミ箱を探していた夜璃は、ゴミ箱のそばに座っている人を見つけた……
彼女は夜璃と同じように浴衣を着ていたが、ゴミ箱のそばに座り、頭を下げ、しゃがむような姿勢でそこに座っていた。
そして、その周りの地面には、タバコや酒瓶、ゴキブリ、そして様々な昆虫があちこちにいた……
夜璃は疑問そうにその方向を見つめた。
どうして彼女はこんなところに座っているんだろう?こんなことをしていたら、浴衣が汚れちゃうんじゃないかな……
夜璃は疑問に思いながら近づいていき、手に持っていたゴミをゴミ箱に捨て、そのついでにこっそりとその人の姿を見た……
夜璃が相手の顔をはっきり見ようとしたその時、相手もすぐに顔を上げ、夜璃のほうを見た……
二人はそのまま見つめ合い、夜璃も相手の姿をはっきりと見ることができた……
相手はピンク色の長い髪をした少女だった。右側には大きな髪飾りをつけ、片側だけポニーテールにしている。
どこか冷たそうに見えるが、それでも少し弱々しさを感じさせる少女だった……
年齢は私と同じくらいみたいだ。私はてっきり、変な不良かと思っていた……
「え……あなたは……」
その少女は疑問そうに口を開いた……
夜璃は少し慌てながら、急いで笑った。
「いや、私はただ通りかかってゴミを捨てただけだから。ごめんね……
なんだか悲しそうに見えるね。それじゃあ、邪魔しないでおくね……
でも、その浴衣ってたぶんレンタルだよね?こんなところに座ってたら、ちょっと……」
夜璃は慌てながら言った。
その少女は夜璃を見ながら、口を開いた。
「うん、ごめん。分かった……
でも、実はこの浴衣は自分で買ったものなんだ。レンタルじゃないよ!
そういえば、私もどこかであなたを見たことがある気がする。あなたって学校の生徒会の人じゃない?!」
その少女は大きな声で言った。
夜璃は驚きながら、目の前の少女を見つめた……
「え……どうして知ってるの?!」
ピンク髪の少女は立ち上がり、自分の頭を触りながら言った。
「そんなの当たり前じゃない?!学校でイベントをやった時とか、他の時にも見たことがあるよ!
もう、何をそんなに驚いてるのよ!」
夜璃は少し気まずそうに笑った……
やばい、気まずすぎる。全然話題がない……
夜璃は目の前のピンク髪の少女をじっと見つめ、彼女の髪と髪飾りを指差しながら言った。
「そうなんだ?そういえば、あなたの髪飾りもすごく可愛いね。どこで買ったの?!はは……」
ピンク髪の少女はそれを聞くと、自分の髪飾りを触りながら言った。
「おお、これは今日の祭典のために用意したものだよ。私も今日初めてこうやってつけたんだ!
あ、そうだ。実は私も今日初めて女性用のハイヒールのサンダルを履いたんだ。初めてこういうものを履くから、本当に緊張したよ!」
ピンク髪の少女は嬉しそうに話した。
夜璃は相手の嬉しそうな姿を見ながら、何を言えばいいのか分からなかった……
夜璃は目の前の少女を見て、どこかで会ったことがあるような気がした。
どこか不思議な懐かしさを感じるのに、どうしても思い出すことができなかった……
「まあいいや。それより、なんで一人でこんなところに座ってるの?!」
夜璃は尋ねた。
「お……ただちょっと緊張して、悲しくなってるだけかな。だって、クラスではいつも変な人として扱われてるから。
やっと一緒に祭典へ行ってくれる人を見つけて、すごく嬉しかったんだけど、もうこんなに時間が経ってるのに、その人はまだ来ないんだ……」
ピンク髪の少女はそう言った。
いじめられてるとかかな?私の昔と少し似てるかも。そうなんだ……
夜璃は少女の肩を叩いて慰めようと近づいていった。
しかし、少女はすぐに避けた……
「え……なんで……
なんで避けるの!?」
夜璃は疑問そうに言った。
「え……いや、だって急にそんなことされたら緊張するから。
私は他の人に身体を触られるのが怖いの。実は、誰かが近づいてくるだけでも怖く感じるんだ……」
ピンク髪の少女は慌てながら言った。
「おお、そういうことだったんだ。ごめんね!
そういえば、あなたは何組なの?同じ学校なら、友達にならない?!」
夜璃は笑顔で言った。
ピンク髪の少女は、夜璃の笑顔で優しい表情を見つめた。
しかし、少女は緊張した不安そうな表情を浮かべた……
「え……それは、ちょっと難しいかな。
私は普通の学生じゃないから。実は少し問題を抱えてるんだ。だから、私とは関わらないほうがいいと思う……」
ピンク髪の少女は慌てて夜璃を止めた……
夜璃は目の前のピンク髪の少女を見て、笑った。
「そう?じゃあ、大丈夫だよ。実は私も、何もかも怖くなることがあるから……
まあいいや。あなたが友達を待てることを願ってるよ!
じゃあ、私はまだやらなきゃいけないことがあるから。それじゃあ、祭典を楽しんでね!」
夜璃はそう言うと、振り返り、反対側へ歩いていった……
ピンク髪の少女は夜璃が遠ざかっていく姿を見つめ、静かにため息をついた……
「もう、あの子、本当にいい子だな。
でも、私のあの本当の姿を知ったら、きっと嫌悪して逃げていくんだろうな……
結局、私は女の子と話すのが苦手なんだよね!」
少女はそう言うと、反対側へ歩いていった……
そして、少女のスマホに表示されていたチャットメッセージには、相手が「本当に自分が彼女と祭典に行くと思っていたのか」と少女を嘲笑するような返信が表示されていた……
どうやら、私の人を騙す力はまた上達したみたいだね……。
更新おめでとうございます!
鍵先生がこの言葉を見てくれるかは分からないけど、私も頑張って更新したよ!




